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ちゃんみな vs NENEのBEEF考 ― クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.41〉
おはようございます。こんにちは。こんばんは。 この記事がアップされている頃には参議院選挙の投票結果も出ている頃かと思いますが、皆様は投票に行かれたでしょうか? この記事を書いている時点では投票結果はわからないですが、選挙戦が近年のアテンションエコノミー※を象徴するような、各候補者と支持者(ファンダム)が「喧嘩」のようなコミュニケーションをオン/オフラインで展開しており、選挙の位相の変化を感じました。 ※編注)アテンションエコノミー……昨今の情報化社会において、人々の注意(アテンション)を惹きつけることをベースとする経済活動のこと。たとえば話題性の高いコンテンツによってYoutubeの再生回数を稼ぐことなど。 政治だけでなく社会全体が、そのアテンションエコノミーによる位相の変化を奇々怪々『なぜ喧嘩ばかりが流行るのか』では見事にTaiTan氏が見事に表現していたかと思います。 そんな「喧嘩」が流行る社会ですが音楽で「喧嘩」と言って思い浮かべるのはヒップホップにおけるBEEF※。 ※編注)BEEF……ヒップホップ用語で、ラッパー同士が楽曲等を通じて互いを批判・攻撃・挑発し合うカルチャーのこと。Beefという言葉は、ウェンディーズ社のCMが他社のハンバーガーの肉の小ささを「肉はどこ?(Where's the beef?)」と揶揄したことに由来する。 そして記事公開時には収束しているかもしれないが日本で直近に起こったNENEのちゃんみなに対するBEEFとそれにまつわる楽曲に関してご紹介します。 そもそも「NENE」「ちゃんみな」とは? ことの発端となったちゃんみなとNENEについて、簡単なプロフィールは下記の通り。 ちゃんみな トリリンガル・ラッパー/シンガー。 デビュー後、過激なリリックとポップセンスでヒットを連発。ドラマ主題歌や大型フェス出演も多く、若年層を熱狂させる Z 世代アイコン。近年SKY-HIが代表を務めるBMSG主催のガールズグループオーディションのプロデューサーとなりHANAを生み出した。 NENE ゆるふわギャングのメンバーでありソロでも活躍する女性ラッパー。 アンダーグラウンドシーンで支持を集め、ヒップホップ以外にもレイヴカルチャーにも接続しケミカルブラザーズの客演でも注目。社会風刺メッセージとファッションセンスが光り、自主レーベルで創作を完結するDIY精神。今回のBEEFはNENEが突如「OWARI」から始まった…… 今回のBEEFの概要 25年6月20日 NENE がディストラック「OWARI」を公開。ちゃんみな・SKY-HI・HANA・BMSGを名指しで痛烈批判。 発端は自身のアイデアやスタイルを無断利用されたとの憤りと、HIPHOP VS POPSの価値観衝突にあるとされる。 NENEは楽曲とMVで「電話しろよちゃんみな」など挑発的リリックを放ち、“音で返す” 勝負を要求。 一方、ちゃんみなはInstagramライブで「関係ないと思う」と述べ応戦を回避。ちゃみなが応戦に答えない中でSKY-HIが即興ラップで穏当なアンサーを示した。 NENEは「お前じゃないんだよな」とXで投稿。その後に2曲目のディス曲「HAJIMARI」をリリース。 論争が拡散する中、歌代ニーナが6月26日に「Mood Board」を公開し「コンセプトを盗まれた」とNENEを批判、さらに7月2日に「mood:bored」で追撃し第三勢力として介入 。 時系列としては下記(7/13現在) 日付 (2025) 主な出来事 発信者 6 月 20 日 ディストラック 「OWARI」を公開し BEEF 勃発 NENE 6 月 23 日 アンサー 「0623 FreeStyle」 を公開 SKY-HI 6 月 23 日 ちゃんみなが Instagram Live で「関係ないと思う」とコメント ちゃんみな 6 月 26 日 歌代ニーナ が告発曲「Mood Board」 を投稿し参戦 歌代ニーナ 6 月 29 日 NENE がディス第2弾 「HAJIMARI」 を公開 NENE 7 月 2 日 歌代ニーナが追撃曲 「mood:bored」 を発表 歌代ニーナ 7 月 3 日 GUESS JAPAN イベントでNENE が「OWARI」初ライブ披露 NENE 7 月 8 日 NENE が block.fm『INSIDE OUT #689』にゲスト出演しBEEFの真意を語る NENE 今回のBEEFのディス/アンサー曲について それぞれの楽曲について立場や好みで様々な意見が語られている。わたしはどちらにも肩入れしていないながら、音楽が好きでヒップホップも数十年聴いている立場としては、SKY-HIというプレイングマネージャーのプレイヤーとしての側面を見れたこと、そして歌代ニーナという才能を発見できたことが、今回のビーフでの収穫です。 OWARI/NENE ちゃんみな、HANA、SKY-HI、BMSGへのディス曲。冒頭の「自分でリリック書いてないのに~」の部分がHIPHOP外へもバズってミーム化。 https://www.youtube.com/watch?v=ZEOKLz2uiHA 0623FreeStyle/SKY-HI 郷ひろみ、一網打尽、混ざりもん、ゆるふわな平和ボケ……詰将棋的に精緻な回答とHIPHOPへのリスペクトを表現したリリックで構成されるアンサーは流石の一言。 https://youtu.be/LvVJNnLQaHQ?si=WhjdG_ykyhFYxNaq Mood Board/歌代ニーナ NENEのOWARIがそもそも自分のこの曲やコンセプトをパクっているという告発曲。この曲で彼女の存在を知った人も多数いるのでは? https://youtu.be/BBIQjNkApN4?si=RaLKPCR9JQgbiD0W HAJIMARI/NENE ちゃんみなに対してのディス曲から始まった今回のBEEFだったが、SKY-HIやBSMGの会社の姿勢やメジャーな音楽業界の搾取構造について論点の重心ずれる。 https://youtu.be/f9kxB1jhNoc mood:bored/歌代ニーナ 冒頭「お前じゃないんだよなぁ」からのNENEが過去SNSで挙げていた写真に映っていたバッグを手放し、NENEという名前つくったビートで始まり前半は日本語でラップして、後半は英語でラップし、曲調も前後半でビートも転調。 MVも含めて今回の騒動で一番クリエイティビティの高い楽曲なのでは?と思える。しっかり「パクりネタでパクりディスはだめよ」とBEEFの最中のストレートな攻撃力も持っている。 https://www.youtube.com/watch?v=IiWFlym2EOU しかし今回BEEFではNENEとちゃんみな周辺の対立だけでなく、BEEF話者のファクトチェックに話が及んだり、HANAとXGのファンダムの代理戦争にも使われるという多層構造が非常に現代的でした。 何はともあれ、BEEFで生まれた楽曲はそのラリーを踏まえるとセットで楽しめるので、登場するアーティストの過去曲含めてDigってみてください。 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

【クリエイターの就活】就活の数をこなすことのメリットとは?
[word_balloon id="unset" src="https://picon.fun/wp-content/uploads/2025/06/trouble_man_color-1-225x300.png" size="M" position="L" name_position="under_avatar" radius="true" balloon="talk" balloon_shadow="true"]「親からなぜ就活では数をこなせと言われます」[/word_balloon] [word_balloon id="unset" src="https://picon.fun/wp-content/uploads/2025/06/trouble_woman_color-1-239x300.png" size="M" position="L" name_position="under_avatar" radius="true" balloon="talk" balloon_shadow="true"]「就活の数をこなすメリットってなんですか?」[/word_balloon] このような悩みに答えます。 本記事の内容 ・就活の数をこなす3つのメリット ・就活の数をこなすための推奨アクションプラン この記事を書く私は、専門学校日本デザイナー学院、日本写真芸術専門学校のキャリアセンターで毎日平均2〜3人の個別相談を行うスタッフです。 就活を始めると同時に周囲から決まって受ける相談のひとつに、「就活は数をこなす必要性」に関することがあります。 私も新卒当時から就活で数をこなしていたかというと、まったく出来ていませんでした。 しかし、学生と多く面談をこなしていくうちに、いくつかの「共通点」が見えてきました。 そこで今回は、就活の数をこなす3つのメリットと27卒以降に向けた推奨アクションプランをお伝えします。 経験値の向上 メリットの1つ目は、多くの企業に応募し、選考を受けることで、就職活動全体の経験値が向上することです。 もう少し具体的にすると以下のようになります。 面接慣れ 面接を重ねるごとに、緊張が和らぎ、自分の考えをより論理的かつ明確に伝えられるようになります。 それと同時に、企業ごとの質問の傾向や、効果的な回答方法を肌で感じ取れるようになります。 ES(エントリーシート)作成能力の向上 多数のESを作成する過程で、自分の強みや経験をどのようにアピールすれば効果的かを学ぶことができます。 企業ごとの求める人材像に合わせて、ESの内容を調整するスキルも磨かれます。 自己分析の深掘り 多くの企業や職種について調べる中で、自身の興味や得意なこと、将来のキャリアデザインがより明確になります。 ちなみにこの「自己分析の深堀り」は、キャリアセンターでは半年以上時間をかけて行うことを推奨しています。 なぜなら、自己分析によって「◯◯のスキルが足らない」「◯◯の経験が不足している」といった課題が見つかった場合、選考が本格化する前にそれらの補う時間が確保できるからです。 内定獲得の可能性向上 メリットの2つ目は、単純に考えて、応募数が増えれば内定を獲得できる確率も高まるという点です。 こちらも2つの項目ごとに解説していきます。 巡り合わせの機会増加 就職活動は縁やタイミングも大きく影響します。数をこなすことで、自分に合った企業との巡り合わせの機会が増えます。 「練習」としての効果 不採用となった企業での経験は、次の選考での改善点を見つける貴重な「練習」となります。不採用になった体験からも多くを学び、次に活かすことができます。 またあなたに、企業=大手企業という志向がある場合は、規模にこだわりすぎて内定獲得の機会を損失している可能性があります。 リクルートワークス研究所従業員5,000名以上の大手のみを狙っていると就活で苦戦する傾向にあるとあります。 このことから「大手」という判断基準だけでなく、知名度の低い企業でも興味関心のある企業を見つけていくことが内定獲得率向上のカギになると言えます。 就活そのものが社会勉強である 最後のメリットは少し抽象的ですが、「数をこなす」過程で、「就職活動」という行為そのものが、社会の仕組みや多様な働き方を理解し、自身の価値観や適性を深く掘り下げる貴重な機会であるという側面は、意外と見落とされがちです。 例えば、多くの企業との接点を通じて、自分が何に興味を持ち、何を強みとし、どんな環境で働きたいのかが、より具体的に見えてきます。 これは、単なる「就活」の枠を超え、将来の人生設計を考える上での「羅針盤」となり得ます。 推奨アクションプラン 27卒以降に向けた推奨アクションプランとして、卒業前年度からクリエイティブ系業界に積極的に関わることを強くおすすめします。 具体的にはクリエイティブ系のアルバイトやインターンを探し、業界の大人と対話する機会を多く作ること。 そうすることで、あなたの「好き」が仕事になるか、自分のスキルや人間性が業界で通用するかどうか、というイメージがつきます。 イメージがつけば、それはあなたにとって「業界でやっていける自信」につながり、いざ就活となった時には、数をこなすことへの心理的障壁がぐっと低くなるでしょう。 まとめ 「数」をこなすことは、質を高めるための試行回数を増やすという意味で有効です。 たくさんの企業を見ることで、自分が大事にしたい価値観や働き方も見えてきます。 あなたが「ここで働きたい」と思える企業とご縁がありますように! 参考図書:自分で考え自分で描くキャリアデザイン 天川勝志 鈴木賞子 渡邉有紀子 著 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい× (作り方+分かり方)
横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい× (作り方+分かり方)開催中! 「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」「バザールでござーる」「ポリンキー」などの親しみやすいキャラクターの作者でもあり、これまでTVコマーシャルやNHK教育番組、書籍、ゲームなど、さまざまなメディアを通じて発信される斬新かつ親しみやすいコンテンツにより、1990年代以降のメディアの世界を牽引してきた佐藤雅彦さん。2025年2月に全館オープンした横浜美術館にて佐藤雅彦の初の大規模個展そして “作ることを考える” これまでにない全く新しい学びと体験の場として開催中です。 [caption id="attachment_25189" align="aligncenter" width="750"] 撮影:新津保建秀[/caption] [caption id="attachment_25190" align="aligncenter" width="750"] 撮影:新津保建秀[/caption] リニューアルオープンしたばかりの横浜美術館。佐藤雅彦さんの回顧展ともいえる今回の「世界初」となる展示では、これまでの創作活動の軌跡や、これまで彼が世界に送り出してきた多様なコンテンツを楽しみながら体感することができます。PicoN!編集部もワクワクと心を躍らせながら取材に伺いました。 佐藤雅彦さんインタラクティブアート作品「計算の庭」 美術館に入場するとまず目の前に現れる、「計算の庭」。こちらも佐藤雅彦さんによるインタラクティブアート作品です。数字が記されたカードを身に着け、「+8」「-4」「÷2」「×3」「+5」など計算のゲートをくぐりながら、自分の持っている数字を「73」に合わせていきます。 [caption id="attachment_25180" align="aligncenter" width="750"] 蔵屋美香さん(横浜美術館 館長)、佐藤雅彦さん、松永真太郎さん(横浜美術館 学芸グループ長 主席学芸員/佐藤雅彦展企画)(左から順)[/caption] [caption id="attachment_25179" align="aligncenter" width="750"] 横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景 佐藤雅彦+桐山孝司 ≪計算の庭≫ 展示風景[/caption] PicoN!編集部スタッフも挑戦…!ぐるぐると頭の中で考えながらゲートをくぐりゴールを目指します。「73」というゴールを目指すために、考え、迷い、参加者たちは右往左往。計算のゲートをくぐった経路はゴール後にプリントアウトされ、目的を果たすための思考やプロセスには実に何十・何百通りも選択肢や手段があり、そのプロセスを頭と心、そして体を使って楽しむことができる仕掛けになっています。 「作り方を作る」を伝えたいという想いが込められた佐藤雅彦展 [caption id="attachment_25194" align="aligncenter" width="750"] 横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景[/caption] 本展示は「作り方を作る」という佐藤雅彦さん自身が大切にされていることを展示作品を通じて来場者に伝えたい、という願いと想いが込められています。展示オープンの数時間前まで、試行錯誤しながら展示方法にこだわられたとのこと。 展示ではとてもユニークで独創的な視点からコミュニケーションデザインの方法論について、そして「作り方を作る」について学ぶことができます。これまで佐藤雅彦さんが手掛けてきた数々のTVコマーシャル、NHK教育番組、映画、美術館ポスター、アニメーション、書籍など実に幅広いメディア・媒体で多くの視聴者のもとに届きました。 [caption id="attachment_25178" align="aligncenter" width="750"] 横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景[/caption] 「Theater」では佐藤雅彦さんが電通のCMプランナー時代に制作担当され実際に放映されていたTVコマーシャルや広告をみることができます。誰もが目にしたことのある、聞いたことのある映像にキャラクター、音、そしていつまでも印象に残るキャッチコピー。 [caption id="attachment_25193" align="aligncenter" width="750"] [左]だんご3兄弟(NHK「おかあさんといっしょ」 より)[上]フレーミー[下]ぼてじん(上下ともにNHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館[/caption] 佐藤雅彦さんは、文章を読むことも苦手、音楽も苦手、キャラクターが作れるわけでもなく、大学卒業・就職時にデザインが描けるわけでもなかったとご自身の当時を語ります。しかしそんな彼がこれまでユニークで愛着の湧くキャラクターたちや音楽、効果音、キャッチコピーなど数々を生み出してきたのは、佐藤さん自身が研究し作り上げた「作り方を作る」方法論があるからこそなのです。 佐藤雅彦の「ネーミングを作るための方法論」ルール 「作り方を作る」方法として、キャラクターの名前や商品のキャッチコピー、TV番組名などの「ネーミング方法論」が紹介されていました。 [caption id="attachment_25188" align="aligncenter" width="501"] [上]ポリンキーの秘密(湖池屋)[下] バザールでござーる(NEC)、ともにアドミュージアム東京所蔵[/caption] 例えば【新しい構造】として佐藤正彦さんは【ABA’B】【AったらA】などのルールを生み出します。これらは、ネーミングあるいは商品プロモーションにおいて、どの方法が効果的な伝え方ができるかを研究した中で構築された方法論の一つです。 ユニークで印象に残るキャッチコピーや商品名、キャラクターたちの名前は、佐藤雅彦さんの構築したさまざまなルールによって生まれたのです。ぜひ展示会場でじっくりご覧ください。 幼児教育で考え方を伝える「ピタゴラスイッチ」の仕掛け 放送開始から20年以上、現在もNHK Eテレで放送中の「ピタゴラスイッチ」。日用品や文房具、缶詰などを集めて作られた手作りのからくり装置に球を転がしてゴールを目指す「ピタゴラ装置」を間近で見ることができ、実際に装置が動く映像を眺めながら、きっと誰もが夢中になったあの時間を懐かしむことができます。 [caption id="attachment_25176" align="aligncenter" width="750"] 横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景[/caption] 「ピタゴラスイッチ」が生まれたのは、当時佐藤雅彦さんが授業を担当していた慶應義塾大学の佐藤雅彦研究室。教育コンテンツを研究する中で、子どもが集中していられる短時間の中でいかに効果的で面白い表現ができるか、という着眼点から生まれたそうです。 [caption id="attachment_25177" align="aligncenter" width="750"] 横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景[/caption] 従来は知識を与える幼児教育番組が多かった中で、ピタゴラスイッチという番組は「考え方を伝える」という視点で制作されていったそうです。まさに本展示と重なるテーマ。アルゴリズムやプログラミングの要素も取り入れた「アルゴリズムたいそう」や「10本アニメ」「じゃんけん装置」などのコーナーも非常に面白く、考え方や視点をみつける楽しさを知ることできます。 [caption id="attachment_25192" align="aligncenter" width="750"] ピタゴラ装置(NHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館[/caption] 個性をいとおしむ時間と発見が生まれる「指紋の池」 「指紋」は一人ひとり違い、ある意味では自分だけの個性や特徴ともいえますが、日常的にそのことを意識することは少ないですよね。普段は気に留めることもない、自分だけの個性・特徴を「愛おしいな」と思える瞬間を作ってみたかった、と佐藤雅彦さんは仰っていました。 [caption id="attachment_25173" align="aligncenter" width="750"] 会場風景 佐藤雅彦+桐山孝司 ≪指紋の池≫ 展示風景[/caption] 「指紋の池」ではスキャンされた自分の指紋が「池」に見立てられた液晶ディスプレイに、まるで小さな金魚のようにひらひらと泳いでいきます。たくさんの指紋が、自由に泳いだり、群れを成したりしていて、次第に自分の指紋は他の指紋たちと混ざって見失ってしまいます。すこし時間を置いて再度指紋を認証すると、先ほど池に解き放たれた自分の指紋が、“おかえり~”とでも言っているかのように群れの中からこちらへ泳いで戻ってきます。思わず「可愛い…。」と声が漏れ、自分の指紋に愛着が湧きます。 世界の見え方がすこし変わってくる、そんな体験ができる佐藤雅彦展 [caption id="attachment_25184" align="aligncenter" width="750"] イデアの工場(DNP大日本印刷)[/caption] こうした体験型の作品に触れ、学ぶことで、従来にない「新しい作り方」を知り、自分と世界の見え方がすこし変わってくるように感じました。佐藤雅彦さんが “何かを作りだすときには「作り方」から作る” と仰っています。そして、本当に伝えたい事を、「どうしたら分かってもらえるか」と。それこそがまさに本展示のサブタイトル【 新しい×(作り方+分かり方)】なのです。PicoN!読者のみなさまにもぜひ足を運んでいただきたい展示です。 佐藤雅彦展 新しい ×(作り方+分かり方) 横浜美術館にて11月3日(月・祝)まで開催中 <展 示> 横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方) <会 期> 2025年6月28日(土)〜11月3日(月・祝) <時 間> 10時~18時(入館は閉館の30分前まで) <休 館> 木曜日 <観 覧> 大人2,000円 大学生1,600円 中学・高校生1,000円 小学生以下無料 ※日時指定券を要事前予約。詳細はこちら <主 催> 横浜美術館、TOPICS <特別協賛>株式会社電通、株式会社サイバーエージェント、DNP大日本印刷 <協 賛> 株式会社湖池屋、株式会社ビームス <協 力> NHKエデュケーショナル、アドミュージアム東京、NEC、東京藝術大学大学院映像研究科、佐藤雅彦教育文化財団、みなとみらい線 ※そのほか詳細、ご来場にあたっての注意事項などは横浜美術館公式サイトをご確認ください 横浜美術館公式サイト 佐藤雅彦プロフィール 佐藤雅彦(さとうまさひこ) 1954 静岡県田方郡戸田村(現・沼津市)に生まれる 1977 東京大学教育学部を卒業、電通に入社 1987 電通クリエイティブ局に移籍、CMプランナーとして湖池屋「スコーン」(1988)「ポリンキー」(1990)、NEC「バザールでござーる」(1991)、サントリー「モルツ」(1992)などを手がける 1994 電通を退社、企画事務所「TOPICS」設立 プレイステーションソフト「I.Q」(1997/売上本数総計101万本)や「だんご3兄弟」(1999/CD売上枚数380万枚)、などジャンルを横断したコンテンツを次々とヒットさせる 1999 慶應義塾大学環境情報学部教授 2002 慶應義塾大学佐藤雅彦研究室で「ピタゴラスイッチ」(NHK教育)を立ち上げる。以降、国民的幼児教育番組に 2005 佐藤雅彦研究室OBによるクリエイティヴグループ「ユーフラテス」設立 2006 東京藝術大学大学院映像研究科教授(2021年より名誉教授) 2011 芸術選奨文部科学大臣賞受賞 2013 紫綬褒章受章 2014 カンヌ国際映画祭短編部門に正式招待(2018年も) (横浜美術館公式サイトより引用) [caption id="attachment_25187" align="aligncenter" width="530"] 横浜美術館リニューアルロゴ[/caption] 横浜美術館公式サイト ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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作品がいちおう完成したけれど、あんまり仕上がりに自信がない……という経験はありませんか? 今回は、自分の作品を客観的に見つめ直すある「テク」を紹介! 簡単にできる方法なので、ぜひ試してみてくださいね! 作・藤田岳生(NDSマンガ講師) ↓PicoN!アプリインストールはこちら 作・藤田岳生 マンガ・イラスト関係の専門学校を卒業後、マンガ作家のアシスタント業に就く。さまざまな作家さんの現場を渡り歩き、経験を積む。その後、イタリアのマンガ学校「LUCCA MANGA SCHOOL」の目に留まり、24歳での短期単身渡伊をはじめとして、幾度か現地の方を対象としたレッスンを行う。Web系など絵を描き始める方に向けての指導をはじめ多方面で活躍中。 Instagram ≫藤田先生の過去記事一覧 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

「商品づくりは人間づくり」デザイナー・カトウヨシオ先生に学ぶキャラクターとデザインの関係
日々多くの商品が発売され、コンビニエンスストアの棚に所狭しと並ぶ風景が当たり前になった現代。そんな中でも、気になって手に取るものが必ずありますよね。 今回、本校の特別講座に登壇されたのは、多くの人たちに愛される商品を生み出してきた、デザイナーのカトウヨシオ先生です。 カトウ先生は、サントリー飲料の『BOSS』『なっちゃん』『伊右衛門』をはじめ、数々のヒット商品のパッケージデザインを手がけてきました。 この記事では、2025年5月11日(日)に開催された特別講座をレポートし、キャラクターとデザインの関係やアイデアの生み出し方についてお伝えします。 講座で行われたミニワークショップの様子もお届けしますので、創造性を刺激する楽しさを味わってみてくださいね。 ※本記事で語られる商品コンセプト等は、カトウ先生がパッケージデザインを手掛けられた当時のものです。現在の商品コンセプトとは異なる可能性があることを、あらかじめご承知おきください。 「商品づくりは人間づくり」 まずスライドに映し出されたのは、外側に何も印刷されていない飲料の缶です。 パッケージがないと中に何が入っているのか分からず、安心して手に取ることができません。 カトウ先生は「パッケージデザインの仕事では、中味が何なのかを外側に表現し、説明だけではなく、その本質を表現することが重要です」と話します。 たとえば、先生がアートディレクターとしてデザインを手がけたサントリー飲料の『なっちゃん』(初代パッケージはデザイナー:柴戸由季子、クリエイティブディレクター:藤田芳康、アートディレクター:加藤芳夫)。 [caption id="attachment_24770" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:サントリー公式HP カトウ先生は初代から引き続き歴代パッケージのデザインも担当。[/caption] 多くの人がこの商品に魅力を感じるのは、パッと見てオレンジジュースだと分かるだけでなく、親しみを感じるからではないでしょうか。 「ジュースをパッケージで表現するよりも、『なっちゃん』という人格をつくることを目指しました」とカトウ先生。 人間の外見に内面が映し出されるように、内なる要素に注目して商品の姿をつくること、つまり「商品づくりは人間づくり」だと話します。 [caption id="attachment_24771" align="aligncenter" width="750"] カトウ先生の講座スライドより[/caption] ここでは、先生が制作されたサントリー飲料のパッケージデザインを通して、商品の人格をつくるとはどういうことなのかをご紹介します。 夏休みのおいしい記憶から生まれた『なっちゃん』 1998年に発売された『なっちゃん』。当時小学生だった筆者は、かわいらしいパッケージと優しい甘味に夢中になり、母親に頼んで何度も買ってもらいました。 販売開始から25年以上が経った今も、多くの子どもたちに愛されている商品です。 『なっちゃん』の発売当時のコンセプトは、「夏休みに田舎に帰省して出会う、いとこのような存在」。 ジュースをどんな時に飲みたいかをチームで話し合い、コンセプトのアイデアが出てきたそうです。 「おばあちゃんの家でお手伝いをした後に、ご褒美として冷たいジュースを飲む。そんな思い出がありますよね。そこからイメージが生まれ、『なっちゃん』という人格が少しずつ形づくられていきました」 当時、サントリーの自動販売機では『サントリー烏龍茶』や『BOSS』など、大人向けの商品が充実していましたが、子ども向けの飲料もラインナップに加えたいということで『なっちゃん』が誕生。 カトウ先生は「家族で出かけた時に、お母さんが烏龍茶、お父さんが缶コーヒー、子どもがジュースを買う。そういった商品をつくりたいと考えていました」と、当時の思いを教えてくださいました。 豊かな自然の恵みを表現した『サントリー天然水』 次にスライドで紹介されたのは、『サントリー天然水』。 [caption id="attachment_24774" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:写真AC/つくね_1st-[/caption] 1991年から販売している商品で、パッケージには、豊かな水源と安心安全のイメージが表現されています。南アルプスの山並みから流れる、透き通るような雪解け水が印象的です。 質の良いきれいな水というイメージを消費者に持ってもらうために「山々に降った雨が木の根元に注ぎ、やがて地中に染み込み、それを汲み上げたのが『サントリー天然水』だと分かるデザインにしました」とカトウ先生は説明します。 さらに、パッケージで自然の豊かさを表現するだけでなく、環境への負荷を減らせるよう、ラベルにも工夫が施されています。 ボトルや、ラベルの厚みを薄くし、ラベル面積も小さくすることで、商品のコンセプトに沿った設計を考えました。自然の中で暮らす動物や植物がパッケージに描かれていることからも、環境に優しい商品だと伝わります。 消費者の安全性と環境負荷の減少を考えて開発された『サントリー天然水』は、発売当初から大人気となりました。 現在では南アルプス、北アルプス、奥大山、阿蘇と、採水地も増えているそうです。 あそびゴコロとデザインの関係 [caption id="attachment_24746" align="alignnone" width="750"] カトウヨシオ先生がチームで制作したコンセプトモデル。パッケージデザインの国際的なコンペティション&アワード「Pentawards(ペントアワード)」受賞作品。[/caption] カトウ先生がパッケージデザインの仕事で大切にしているのは「あそびゴコロ」。 「遊び心を持ってそれを味方にして仕事をすると、とても楽しくなってきます」 ここでは、仕事を面白くするという視点から、遊び心とデザインの関係を見てみましょう。 あそびゴコロはひとつの価値 [caption id="attachment_24776" align="aligncenter" width="750"] 「Pentawards」カトウヨシオ先生の受賞作品「JAPAN STYLE GREEN TEA」(画像出典:PENTAWARDS|the:winners)[/caption] 上の写真は、カトウ先生が「コンセプトモデル」として制作したお茶のペットボトルです。 コンセプトモデルとは、概念をデザインに落とし込んだものを指します。必ずしも商品化を目指すわけではなく、考え方やその表現に重きを置いているのが特徴です。 カトウ先生が手がけたこのペットボトルの作品は、優れたパッケージデザインを表彰する世界的なコンペティション&アワード「Pentawards(ペントアワード)」で受賞しました。 作品のアイデアを思いついたのは、仕事で、飲料ボトルの製造工場を訪れた時だったそうです。試作機の周りを見ると、不思議な形状をしたペットボトルがたくさん転がっていたと言います。 工場で働いている方に尋ねたところ、製造の過程で意図しない形で出てくることが時々あるのだとか。 そこで先生は「これは失敗ではなくて、見方を変えれば面白いアイデアになるかもしれない」と考えました。 そして、ペットボトルの形を活かしながら、織部焼のようなシュリンクでお茶を表現したデザインが生まれました。 [caption id="attachment_24763" align="aligncenter" width="560"] 織部焼(黒織部)/ロサンゼルス郡美術館蔵[/caption] デザインを制作する過程で「このペットボトルを誰もが面白いと感じるにはどうすれば良いか」と思案し、遊び心を入れて、ボトルを逆さまにしてパッケージをつけたら、他にはない作品が出来上がったと言います。 「いびつな形のペットボトルを見て、『これは失敗だ』と思うか、それとも『こんなものができるなんて面白い』と感じるか。違う角度で見つめると、新しい価値の発見がありますよ」 次にスライドに映されたのは「あそびゴコロ」のイメージ。 「遊び心」には多くの意味がありますが、あまり良くない印象を持つ方もいるのではないでしょうか。いい加減で真面目ではなかったり、軽い気持ちでしっかり考えていなかったり……。 しかし、その逆もあると先生は説明します。 「いい加減が『良い加減』に変わる可能性もありますし、軽い気持ちは洒落っ気があって良いかもしれません。遊び半分でやったことが、ユーモアとして捉えられれば、価値が生まれます。仕事をしないと生きていけませんが、仕事を面白くするために遊び化するよう心がけると、辛いことも少し楽になるのではないかと思います」 遊び心はひとつの価値であり、前向きにデザインと向き合う秘訣でもあるのです。 手を動かして脳を働かせる体験 [caption id="attachment_24780" align="aligncenter" width="750"] ミニワークショップの様子[/caption] ここでは、創造性を働かせる体験をするために、ミニワークショップが行われました。 はじめに、カトウ先生は、著書『デザインのココロ』(六曜社、2013年)から、こんなテキストを紹介してくださいました。 脳と手はつながっている。 手を動かすと 脳も働きだす。 「手考足思」は河井寛次郎の言葉。 足も脳とつながっている。 脳を働かせば アイデアが出る。 (後略) 引用元:カトウヨシオ『デザインのココロ』(六曜社、2013年、p.118) [caption id="attachment_24781" align="aligncenter" width="750"] 著書『デザインのココロ』を紹介するカトウヨシオ先生[/caption] 手を動かすと頭が動き出すことを実感するために、参加者も白い紙に黒いペンで落書きをします。「目的を持って描くのではなく、意味もなくひたすら手を動かしてみましょう」と先生がアドバイス。 白い部分が残らないよう真っ黒に塗っている参加者もいれば、線の強弱を楽しみながら描いている姿もありました。 出来上がった落描きを眺めると、意図して形を描いたわけではないのに、模様が見えてきます。先生は、そうした模様がデザインのヒントになったり、そこからキャラクターのアイデアが生まれたりすると話します。 「人間は、手を動かすと楽しくなってくるようです。気分が乗らない時でも、何か触って手を動かしていると、良いアイデアを思いつくことがありますよ」 と教えてくださいました。 良い創造とは記憶に残る存在 落書きで創造力を刺激したところで、有名なキャラクターを描くミニワークショップも行いました。形や表情を思い出しながら、記憶を頼りに描くのがポイントです。 このワークショップを通して分かったのは、人気のあるキャラクターは私たちの記憶に強く残っているということです。 ここからは、記憶と商品づくりがどのようにつながっているのか学んでいきましょう。 記憶に残る商品=友達のような存在 [caption id="attachment_24782" align="aligncenter" width="750"] カトウ先生のスライドより[/caption] カトウ先生は、「記録に残るキャラクターや商品は、友達のような存在だと言えます。また、記憶は私たちのアイデンティティーでもあります」と説明。 たとえば、飲み物を飲んで「おいしかった」という体験を何度もくり返すことで、ブランドのイメージが私たちの記憶に刻まれます。 「ブランドは、メーカーや広告主が所有しているのではなく、お客様の頭の中、お客様の体験の中で生きていくのです」。 カトウ先生は「良い創造は記憶に残る存在であり、記憶に残る商品としてパッケージデザインをつくるのが大切です」と話し、冒頭で紹介した「商品づくりは人間づくり」というテーマに立ち返りました。 商品と人間をつなぐのがキャラクターであり、「お友達になりたい存在」をお客様の前に提示するのが大切だと、カトウ先生は話します。 「商品をつくる仕事は、人をつくる仕事に近いと感じます。商品はキャラクターと近い存在です」 売り込もうと前のめりになるのではなく、「お客様のお友達をつくる」という意識でパッケージをデザインするのが重要だと語りました。 コンセプトを中心に据えた商品づくり ここでは、サントリー飲料『BOSS』の制作プロセスに注目し、30年以上にわたってお客様に愛され続ける存在をどのようにつくっていったのか、見てみましょう。 サントリーの商品開発チームの特徴は、コンセプトを中心に据えて、それぞれのセクションを一体として考えている点です。デザイン、中味の開発、マーケティングなどを個別に進めるのではなく、コンセプトを軸に各分野の専門家が集まり議論したと言います。 『BOSS』は「働く男を応援する、永くつきあえる相棒のような存在」として、パッケージデザインやネーミング、中味を表現しました。 [caption id="attachment_24803" align="aligncenter" width="855"] 画像出典:サントリー ※現在は販売終了[/caption] 『BOSS』のターゲットは外で働く人々です。喫茶店に入る暇がなく、外で缶コーヒーを飲むお客様が想定されました。コンセプトに沿って開発を進めたことで、ターゲットとなる人々が相棒のように感じる商品が完成したのです。 さらに、カトウ先生は、マイナスの状態を知らないと、プラスになる商品は生み出せないと説明します。 「飲料は乾きをゼロに戻す存在であり、喉が乾いて困っている人を助けようという思いからつくられます。マイナスの気持ちは、商品化のアイデアに役立つのです」 いち消費者として普段の生活に目を向けると、ターゲットの心を掴む商品を生み出せると話しました。 生活者の視点から生まれるアイデア 「商品の提案は負の状態の解決」だと説明したカトウ先生。人々の暮らしを見つめ、不満や不安を解決するために、仕事の仕組みを考える姿勢が大切だと言います。 講義の最後に、参加者から「日常でどのようにアイデアを生み出しているのでしょうか?」と質問がありました。 「頭の片隅に宿題がずっと残っているイメージで、四六時中考えていました。電車の中で吊り広告を見ながら、ネーミングを考えたこともありますね」と先生。 もうひとつ大切なのは、生活者の視点を忘れないこと。 [caption id="attachment_24792" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:Unsplash/Joshua Rawson-Harris[/caption] 店舗の売り場を訪れる際、仕事のモードで商品を見ると、お客様が本当に欲しいものを判断できなくなってしまうと言います。 「自分が開発したものが置いてあるとか、この商品はよく目立つなとか考えてしまうと、まったくアイデアが出てきません。お客さんになった気分で、『あっ、これいいな』という感覚で見ていると、ひらめくことがあります」。 さらに、学生が課題に取り組む時に、視点を広げる意識を持つのが大事だとアドバイス。 たとえば、グラフィックデザインの課題の参考として、ブランディングデザインの本ばかり読むと、似たような表現になってしまう場合もあります。 一見すると関連のない、建築や自然、ファッションのグラフィックなどを眺めているうちに、ふとアイデアが浮かぶそうです。 「アイデアは、違うものと違うものの掛け合わせでできているので、似たもので掛け合わせると同じようなものしかできないのです。なるべく異なるジャンルを見た方が、新しいものを生み出せますよ」 カトウ先生のお話から、日常生活を見つめる大切さとお客様に寄り添う姿勢を学んだ参加者。キャラクターとデザインの関係を通して、パッケージデザインの本質をじっくりと理解できました。 今回の学びが、参加者それぞれの創造性を刺激し、クリエイティブなものづくりへとつながっていくでしょう。 《講師プロフィール》 カトウヨシオ(加藤芳夫) クリエイティブディレクター・アーティスト 大阪芸術大学客員教授/愛知県立芸術大学非常勤講師/広島市立大学非常勤講師/日本パッケージデザイン協会会員(元理事長)/パッケージデザインの学校校長/日本グラフィックデザイン協会会員/元サントリーデザイン部長/デザインのココロ研究室代表 1989年頃よりアートディレクターとして様々なブランドを開発。サントリー『鉄骨飲料』『BOSS』『天然水』『C.C.Lemon』『デカビタC』『ダカラ』『なっちゃん』『伊右衛門』『ペプシネックス』『ザ・プレミアム・モルツ』『金麦』、サントリーCI「水と生きる」など 2012年ペントアワード名誉賞殿堂入り 2020年パッケージデザイン功績賞 2020年サントリーを卒業・フリーランス アート&デザインの制作と教育活動を続け、2023年、東京・南青山のギャラリー5610で個展「ココロデッサン」を開催。 《参考文献》 カトウヨシオ『デザインのココロ』六曜社、2013年 文/浜田夏実 アートと文化のライター。武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科卒業。行政の文化事業を担う組織でバックオフィス業務を担当した後、フリーランスとして独立。「東京芸術祭」の事務局スタッフや文化事業の広報、アーティストのサポートを行う。2024年にライターの活動をスタートし、アーティストへのインタビューや展覧会の取材などを行っている。 note X ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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パソコンのクラッシュで、せっかく長時間かけた作業が台無しに……。 クリエイターが一度は経験したことがある「あるある」が今回のお話。 「雷サージ」という現象、皆さんはご存じですか? 作・藤田岳生(NDSマンガ講師) ↓PicoN!アプリインストールはこちら 作・藤田岳生 マンガ・イラスト関係の専門学校を卒業後、マンガ作家のアシスタント業に就く。さまざまな作家さんの現場を渡り歩き、経験を積む。その後、イタリアのマンガ学校「LUCCA MANGA SCHOOL」の目に留まり、24歳での短期単身渡伊をはじめとして、幾度か現地の方を対象としたレッスンを行う。Web系など絵を描き始める方に向けての指導をはじめ多方面で活躍中。 Instagram ≫藤田先生の過去記事一覧 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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