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【アナログイラスト初心者向け連載】第10回~どうぶつの毛の描き方~
みなさんの好きな動物はなんでしょうか?
今回は柴犬、三毛猫、そして冬の風物詩である温泉に入っているお猿さんを水彩で描いてみます!三毛猫には色鉛筆も使ってみました。
最後にはデフォルメされたゆる~い3匹のイラストも描いてみたので、どうぞ最後までご覧ください!
まず初めに、犬と猫の大きな違いはなんでしょう?
顔の特徴は、犬の方が目と鼻の距離(マズルと言う)が長いです。
犬は四角形を意識して形を取り、猫の輪郭線は丸を組み合わせたように形を取ると特徴が出やすいです。いろんな種類がいるので一概には当てはまらないのですが、下の図を比較してみてださい。
毛並みの長さを比較すると、柴犬<猫<猿の順に毛が長くなります。
ライオンや馬のたてがみはさらに長いですね。
それぞれの毛並みをよく観察し、毛の長さに合わせたタッチにしてみましょう!
それでは、柴犬から始めていきます!
柴犬
下書き。よく観察してサクッと形をとる。目と鼻の距離、耳の大きさ、顔と体の大きさを意識する。
広い面積から塗り始める。画面全体を水で濡らして乾かないうちに描くと塗りやすい。
一層目が全体に塗れたところ。
二層目、顔の中心から放射状に毛が生えているのをイメージしながら毛並みを彩色していく。柴犬は毛が短いため、チクチク上下を短めに筆を動かしていく。鼻や瞳も早い段階で色をつけておく。
毛並みをどんどん重ね塗りをして存在感を出す。
口元の幅を太くした。「洗い出し」の技法(第4回~水彩基本編~参照)で何回でも修正ができる。
鼻や口周りを重点的に描いていくとマズルが前に出てきます。
髭は面相筆や丸筆を立てて、思い切ってシューッと長くストロークしていく。
マズルの両サイドの白い毛を、紙の白を残しておくとマズルが強調されます。完成。
猫
続いて、猫の描き方です。猫は水彩で5割程度彩色したあと、色鉛筆で仕上げて描いてみました!筆の毛並みの質感よりも、色鉛筆の筆圧でシャープな毛並みを描くことができます。
よく観察して鉛筆で形をとる。ここは輪郭だけ取れればOK。
柴犬と同様に背景から塗っていく。三毛猫の白い毛の部分は塗り残すように塗る。
黒い毛と茶色い虎模様の毛の下地を塗る。お腹の影の部分は青に近いグレーに。
このとき「かすれ」の技法(第5回~水彩応用編~)で、毛の流れに沿って彩色するとふわふわとした毛並みが出てくる。
二層目の毛を塗り重ねていく。
瞳にきれいな黄色に近い黄緑色も入れ、鼻のピンクは薄めで。
二層目を終えたところ。
色鉛筆で毛並みに色を加えていく。
白い紙に色鉛筆で描写すると、紙の白が色鉛筆の隙間から見えてしまうが、水彩の上だとしっかりと存在感が出る。
茶色い毛に黒い毛に青を重ねたり、さまざまな茶色を重ねる。
目の中のハイライトに白いペンを使ってみた。水彩のホワイトはあまり目立たない、と言う時におすすめ。
白い髭は見えないので、白い髭の影の部分を描くような気持ちで、緑とグレーで目立たせる。
猫と同じように手前の幹も色鉛筆で加筆する。完成。
猿
次に、犬猫と毛の質感が違う猿を描いてみました。
雪景色の中にいるので、雪の影と同じ青色で、画面全体を先に影をつけていきます。顔周りの毛並みのボリュームと、顎の下が濡れて太くなっているので、太く濃く描くのがポイントです。
よく観察して鉛筆で形をとる。ここは輪郭だけ取れればOK。
雪景色の影を青色を基調とする。画面全体に青い影をつける。これをグリザイユ技法と言う。
一層目、全体に色をつける。顔の毛並みのボリュームを出すために均等に塗らずに短めのタッチで筆を動かすのがポイント。体は均一に塗る。
手前の岩に濃い色をダイナミックに入れていく。
猿の白い毛を目立たせるために、背景の青を濃くしていく。この時、白い毛の真横に置くような意識で。
5割ほど出来たところ。
手や岩をもう一回、色を濃くして、顔も赤らめさせる。
あごの下の濡れている毛を、太く濃く描いていく。
温泉に浸かっているお猿さんの一番の特徴。
顔にピンク色を差して血色を良くする。完成。
3匹のイラスト
最後に、3匹の動物をデフォルメしたイラストを描いてみます!
動物でも他の人物や物でもそうですが、デフォルメはいきなり描こうとすると難しくても、一度スケッチや彩色をしてみると、気がつかなかった特徴に気がつくので、それを元に描くとスムーズに出来ます。
柴犬はしもぶくれのお顔、猫は目を大きくして楕円形の顔、お猿さんは割とそのままに色味だけシンプルにしてみました。
いかがでしたでしょうか。
多種多様な動物がいるので、ぜひ好きな動物にトライしてみてくださいね!
池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。
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