自分の作品を守るために!クリエイターが知っておくべき権利と法律ーデザイン編ー

昨今、個人情報保護法や知的財産権、肖像権など、やたらと小難しい法律の名前を耳にするような時代になりました。そのなかで著作権法というものについて、ちょっと調べてみました。

デザインと著作権

著作権法では、著作物を「思想または感情を創作的に表現したものであって、文学、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう」と定義しており、以下のように9種類に分類されています。

  1. 言語の著作物 小説、俳句、脚本、論文など
  2. 音楽の著作物 楽曲および歌詞
  3. 舞踊 日本舞踊、バレエ、ダンスなど
  4. 美術の著作物 美術工芸品および絵画、版画など
  5. 建築の著作物 芸術的な建造物
  6. 図形の著作物 地図、学術的な図面など
  7. 映画の著作物 劇場用映画、テレビドラマなど
  8. 写真の著作物 写真など
  9. プログラムの著作物 コンピューター・プログラムなど

ではデザイン、なかでもグラフィックデザインにとっての著作権はどうなっているのか、と考えてみると該当するものが見当たらず、こんな説明がありました。

「絵画や彫刻など、いわゆる純粋美術が美術の著作物に該当することは問題ありませんが、応用美術と称される実用品に供された美的創作物については何の規定もありません」

ということは、広告表現におけるグラフィックデザインについてはなんの縛りもないようなのです。まあ、今日にいたるまでどれだけのグラフィックデザインが生まれてきたかと考えれば、数えきれないほどであり、その作品数など膨大すぎて調べられませんが。

著作権というよりも広告の制作過程において誕生するものはといえば、意匠権や商標権などがあげられます。これは知的財産権と呼ばれるものです。

意匠権とは商品やパッケージの形状、デザインなどの権利であり、商標権は商品の名前、ロゴマークなどの権利のことです。

それ以外にも、デザインに関わる法律としては、

・不正競争防止法(のれん、著名性にただ乗りする行為などの防止)

・信用毀損・業務妨害(商品の信用を損ねる行為の禁止)

・著作権(パッケージに使用されているキャラクター、写真などの権利)

・肖像権(パッケージにのっている肖像の権利)

などがあります。

では、グラフィツク広告に他社商品を無許諾で使用することは法的に可能でしょうか?

以前は使用される側にとっても他の広告に露出されることは広告効果を期待できるため、好意的に受け止められることが多かったようです。しかし、最近では各社のブランド意識の高揚に伴い逆効果とされることが一般的となり、ほとんどがNGとなっています。

他社商品を無断にて使用したり、真似あるいは一部をデザインしたりすると上記のような権利。法律に抵触し大変なことになるということは理解してください。

「デザインと著作権」に関するちょっとしたお話でした。この世の中で全く新しいものを生み出すことは困難なことではありますが、やはり「オリジナル」を目指して日々奮闘していくことを、デザイナー、クリエイターの皆さんには期待したいと思います。

文・佐仲 渉
NDS講師。マッキャンエリクソン博報堂(後にマッキャンエリクソン)でコピーディレクター、博報堂プロダクツにてクリエイティブディレクターなどをつとめる。日本コカ・コーラをはじめソフトバンク、KFC、旭化成、マイクロソフト、CASIO等を担当。ACC,クリオ、ニューヨークADC、アジアパシフィック賞など受賞多数。

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