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グラフィックデザイナーから映画監督へ!卒業生 東かほりさんインタビュー【後編】

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たくさん賞を受賞されてますが、賞は意識していますか?

意識はしてないですね。長編とかに関しては全く意識してなくて、短編の1本だけちょっと意識したかなっていうくらいで、基本的にはあんまり気にしてないです。ただ、作ったからには映画祭にチャレンジしてみようという感じが大きいです。短編の映画祭って結構いっぱいあるんですよね、だから作ったからには出そうと。これからもし学生さんが映画を作るってなったら、そういうのはいっぱい出した方がいいと思います。賞を取ると自信にもなるし箔もつく。でも映画祭で評価されるために作るとなるとやっぱり自分の個性がなくなるなって、そう思ったこともあって。なので今はまったく意識しないです。

映画制作にかかる時間やお金はどのくらいですか?

モノによるのですが、例えば自主映画を自分で撮るってなったら、それは友達や学校にカメラとかの機材を借りるとか、そういうことができればお金はそんなにかかりません。私が最初に作った短編は5000円くらいで撮ってます。映画学校って課題で撮るんですよね。友達もカメラ持ってるし機材も借りられるから、コインランドリーを借りて撮ったのですがそこにお支払いするお礼ぐらいでした。出演してもらう役者さん達も、映画学校に俳優コースがあったのでそこの方に出てもらったり、あとは、監督コースの同期に出演をお願いしたりもしていました。

でもやっぱり大きいことをしようとすると、例えば学校のシーンを入れたりすると、一気に負担が増えちゃいます。学校を借りるのってすごくお金かかるんですよ。校舎まるまる借りると何十万とか、1時間数万円とかも全然ある世界なので、気軽に借りられないんですよね。(笑)だから、初めて撮るなら1シチュエーションで、おもしろい脚本を書いて、おもしろいものを撮るのが1番いいし、結果1番良いのが撮れると思うんですよね。その人の個性が出せるし、セリフの面白さとか考えるし。だからそれをおすすめしたいなと思います。

最初は無理をしない。無理やりいい場所を借りて何万も何十万も負担して、作ってみてなんか違うって思ったら勝手にお蔵入りにしたりするんで、それって本当にもったいないので、最初はお金をかけない方が良いかなって思います。

学生時代になにをやっていれば映画監督になれますか?

とりあえず撮ってみた方が良いと思います。おもしろいか分からないから自信なくて撮らないって方が多いですけど、1回撮ってみたらなんとなく次も撮りたくなると思うので、一度やってみることが大事。もちろんそれを無理した大変な脚本にしちゃうと自分が苦しくて、それでさらにおもしろくないって自分で思っちゃうと一生撮らなくなっちゃうと思うので、まず1シチュエーションで脚本を書いて人に見せてみる、そこからスタートかなと思います。自分で書いた脚本を人に見せるのってすごく恥ずかしいんですよ。何言われるかなみたいな。でも誰か一人でもおもしろいって言ってくれたら、それってたぶんおもしろいんですよ。だから1回無理ない程度で撮ってみる。無理なく、1シチュエーションで5分くらいの尺のもので、キャストは友達でもいいからやってみるといいかもしれないです。

チームプレイが苦手な人でも映画作れますか?

私も最初、人と交流するのが割と苦手だったんです。チームを組んだときにやっぱり監督が一番中心にいなきゃいけないから、しっかりしなきゃって思い過ぎて、逆に自分の意見言えないまま進んじゃうこともあって苦しかったので、それを一回やってからはいつも通りにしようと思いました。

割と奥にいるタイプの人間で人にあんまり意見言わないんですけど、話を聞いてくれる人たちを集めて、自分でやりやすい環境を作ってくという感じにしています。私も話しやすいし、相手の人も聞きやすい空気にしていくことを心がけています。

いま、映画とデザインどっちが楽しいですか?

映画を準備しながら、家に帰ったらデザインをするっていうのが、逆に良いんですよね。デザイン楽しいんです。切り替えになるというか良い息抜き的な感じなんです。だから、映画もデザインも両方楽しいんですけど、もしかしたら今は映画の方が楽しいのかなって思ったりもしています。

日常で、例えば、こないだ駅で電車を待っていたんですけど、反対側の駅のホームに男女5人くらいの中学生達がいて、1人の女の子だけがカップラーメンを食べてたんです。電車が来るまでの待ち時間に急いで食べてたんですよ。それを見て、これまでだったら普通に景色として見過ごしていたと思うんですけど、映画撮り始めてからそういう光景がすごいおもしろいって思って。

この中にいろんな物語があるなと思って見てました。駅のホームで立ちながら勢いよくカップラーメンをすすっている女の子の姿はなんだかかっこいいし、もしかしたらその中の1人の男の子はその子のことが好きかもしれないな、でもその女の子は興味がないから食べてるのかなとか考えたり。
あとはその女の子たちが駅のホームに行く前までは、どういう動きをしてたんだろうとか、イメージが膨らむようになったので、日常生活がより楽しくなったっていうのはあるかもしれないです。いろんなことが気になっちゃう感じ。これおもしろいかも!って思うポイントがデザインでももちろんあると思うんですけど、映画の方がよりあるかもしれないです。

今後の目標を教えてください

まずは、初長編映画が今年の7月16日から劇場公開なので、いろんな人に映画見てもらって、広げていくっていうのが近々の目標で、さらにまた長編を撮りたいというのが次の目標ですね。デザインももちろん、幅を広げていきたいですし、やってみたいデザインはあるのですが、映画は勉強中というところもあるので、たぶん、それで目標といわれると映画の話をすることが多いですね。

最新ニュース!

 

『ほとぼりメルトサウンズ』は、ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大規模の日本映画祭「Nippon Connection」にてノミネートされ、NIPPON VISIONS部門の12作の中の一本に選出されています。

 

 

また、韓国のソウル国際シニア映画祭にも正式に招待されています。

 

監督の今後の活躍が楽しみですね!東かほりさんありがとうございました。

プロフィール

東かほり
フリーランスでデザイナーをしながら映画監督としても活動。
処女作『土曜日ランドリー』が立川名画座通り映画祭グランプリ。次作『湯沸かしサナ子、29歳』が第9回きりゅう映画祭 グランプリ、那須ショートフィムルフェスティバル2019 審査員特別賞を受賞。
2022年夏に劇場公開の『ほとぼりメルトサウンズ』がドイツ・フランクフルトで開催の世界最大規模の日本映画祭「Nippon Connection」にてノミネート。

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