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グラフィックデザイナーから映画監督へ!卒業生 東かほりさんインタビュー【前編】

2022年7月16日(土)より公開が控える『ほとぼりメルトサウンズ』 の監督、脚本を手掛ける東かほり(ひがし・かほり)さんは、映画監督として活躍する傍らグラフィックデザイナーとしても活動をされています。東かほりさんに映画を制作したきっかけやお仕事の両立方法についてお話を伺いました。

公式Twitterはこちら

『ほとぼりメルトサウンズ』を制作したきっかけは?

この作品は、MOOSIC LABという、若手監督の登竜門のような、映画監督×ミュージシャンの企画があって、映画祭に向けて作るっていう形で制作をしていたんですけど、コロナウイルスの影響があってなかなかロケ地が定まらなくて、もともと半年くらいで作ろうとしていたものが結局伸びて1年以上経ってから撮影をはじめました。撮影までは1年間、準備をしました。準備に時間をかけた分、脚本にしっかり時間をかけることができたのがすごく良かったなと思っています。

撮影はなかなか大変でした。長編だったのですが、撮影日数は9日間程でした。スタッフやキャストの皆さん大変だったと思うのですが、頑張って撮りきりました。

デザイナーをやっていて、そこから映画監督になったきっかけは?

20歳で専門学校日本デザイナー学院を卒業して、就職して7年間は会社員としてデザイナーをしていて、デザインはすごく楽しいし、ある程度キャリアというかそれなりに積むと自分のやりたいこともできるようにはなっているんですけど、なんとなくこの先の自分の将来が見えた気がして。27歳のときに、このままデザイナーやってなんとなくこの感じの仕事をずっと続けていくのかって考えたときに、はたしてそれで良いのだろうかみたいなことを思って、そのときに「死ぬ前に1本映画が撮りたいな」みたいなことを考えました(笑)このまま終わるのは嫌だなぁみたいな。もともと映画が好きだったんですよ。それで映画学校を検索して、ちょっと行こうかなと思って、それで映画の学校に行ったのがきっかけという感じです。

就職してすぐ広告の仕事やっていたんですが、基本をそこで学べたので広告の仕事を経験して良かったなって思ってます。学校でも学んだけどやっぱり実践すると違うというか。それで次に雑貨のデザイン部とかにもいってて、それで立体物とかカレンダーとか手帳とかそういう物のデザインもしばらくやってました。なので、平面とか立体物とか両方やってきた上で次は映像かなみたいな感じですね(笑)

映画とグラフィックデザインのそれぞれのやりがいって何ですか?

デザインって依頼をされて受注を受けてやるものなので、相手に喜んでもらうということが一番目的として大きいのかなと思うんですけど、打ち合わせとかしている中で、相手が求めているものを考えて頭の中で想像したものをパソコン上で作って、パターンを出しているときに、どんどん自分のアイデアが増えていくというか引き出しが増えていくみたいな過程が楽しくて。いろんなアイデアを残しておくと、次の仕事にもつながるみたいな、どんどんステップアップにつながることが魅力ですね。映画はそれの動く番というか、さらに奥行きがあるなぁと思っていて、今まで平面で表現できていたものがさらに動く、日常の面白かったこととかがそのまま自分なりに映像に落とし込んでそれを作品にできるというか、それがもっと面白いなと思っています。

映像のお仕事でも企業さんから受けて作るという形をやったことがあって、それはそれでデザインと近いものがあって楽しいです。でも自分の作家性みたいなものを残しながらできるのは長編映画かなと思うので、映画監督としての活動の方もさらに頑張っていきたいです。

デザインの仕事が映画制作に活きたと感じたことはありますか?また、その逆もあったら教えてください。

かなりありますね。そもそも最初は、ネイルの道とデザインの道で迷っていたら、母から「デザインの方が合ってるんじゃない?」とアドバイスされて、ちょっとやってみようかなくらいの思いで入学したんです。でも実際に勉強してみたら頭の中で考えていたことを形にすることが楽しくて。デザインのラフを考えるようなイメージで、映画のシーンを考えるようになりました。イラストレーターを使って、画像を組み合わせながらシーンを考えたりもします。私の中で、映画とデザインは、遠いようで近いと思っています。

もともと映画関係のデザインをやってみたかったんですよ。それで今、映画とかチラシとか、タイトルデザインをよくやっていて、逆に映画をやったからデザインが広がったっていうのも結構あって、そういう面ではそれぞれに活きたことっていうのはすごくありますね。

映画とデザインの両立って難しいですか?

今は仕事としてはデザインの方が多いですね。ただ、去年は短編映画を3本と、長編映画1本撮っていたので、半々くらいでした。基本的にはデザイナーとして仕事をして生計を立ててる感じです。時間的なことや収入的なことに関しては作品ごとに大きく違うのでなんとも言えないのですが、私は、映画とデザインの両立はそこまで難しくはないように思っています。

どうやってフリーランスになりましたか?

フリーランスになったのは、映画学校に通うタイミングでした。両立が難しいなって単純に思って。それまで6・7年デザイン会社にいたのでそのツテももちろんあって、あとはポートフォリオを持って直接営業をかけたこともあります。ホームページからもお仕事募集したりもしますがなかなか依頼は来ないので、直接会社のinfoみたいなところにメールをしたりしました。過去に雑貨メーカーいた時にちょっと売れた手帳があって「これ作りました」って送ったところ、「あれを作った人なんですね」みたいな感じで連絡いただいたり。あとは割と人づてとかが多いかもしれないです。母が小説や短歌をやってるのでその関係もあるし、それを見た別の全く関係のないところからお声がけいただいたりして、徐々に仕事が増えていったという感じですね。

最初はけっこう苦労しました。派遣のデザインの会社に登録をして、単発とか2週間とかそういうのも空いた時間にやってました。デザインって技術枠みたいなことなので、普通にアルバイトするよりは全然時給が良かったり、毎日普通に働けば会社員並みにはもらえるんですよ。

フリーランスになって良かったですか?

良かったです。自由がきくし、会社にいると本当にこれ私やりたいのかなみたいなものもやらなきゃいけない、それはしょうがないんですけど、今は自分のやりたいことをやれているからそこが良いです。もちろん安定はしたいですけど。(笑)

派遣のデザインと組み合わせてやるのは私はすごいおすすめですね。ある程度スキルがないとだめですが時給もわりといいので、フリーランスになりたいって方には良いかと思います。時間を区切って仕事ができるのが良いんです。忙しくなって途中から1日3時間とか4時間とか時短勤務でやったりとか、週3勤務にするとか、そういうふうにやれば両立がやりやすいかなと思います。

 

後編では、映画製作にかかる時間や費用についてのお話を伺いました。後編はこちら↓

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