VMD視点で街を楽しむ 第３回「MERRY CHRISTMAS」から「Happy Holidays」へ
11月末から12月は、夜の街歩きが一年の中で一番楽しい時期です。各地のイルミネーションも素晴らしいですし、身近な街のウィンドーディスプレイ（VP）も最も華やかな時期です。
多様性の時代と言われる昨今、一宗教のイベントであるクリスマスを、当たり前のように不特定多数の人にプレゼンテーションしてよいのか？と言う問いかけがあります。世界的なラグジュアリーブランドでは、ここ数年「MERRY CHRISTMAS」「HAPPY CHRISTMAS」と言う言葉は使わなくなりました。その代わりに「Holiday Season」「Happy Holidays」など、少し宗教色を弱めた言い方が使われようになっています。そんな時代の空気を少し感じながら、表参道のディスプレイを楽しんできました。
輝く（glitter グリッター）素材
表参道ヒルズ 浮遊する光のバルーンツリー
1万4000個の輝くバルーンで、吹き抜け空間をドラマチックに演出しています。20分毎の音と光の演出もお見逃しなく。
アーティストユニット「DAISY BALLOON」が手作りしたオーロラ色に輝くバルーンは、不揃いで有機的な形と人工素材のコントラストで独特の世界観を醸し出している。
輝くSilver 「MONCLER青山店」
ダウンジャケットで有名なモンクレールは、光り輝くシルバー一色でスキーとデコレーションケーキを左右のウィンドーで展開。ダイナミックな構成と繊細な演出物の作りこみは見ごたえあり！
輝くGold「Dior 表参道店」
建築家ユニットSANAAによる透明感のある美しい建築で有名なディオール表参道店のホリデーシーズンは、2022秋冬クルーズコレクションをテーマに、輝く星や、ギリシャの自然、地球をモチーフに、輝くゴールドの幻想的な演出。Diorは、同じテーマで店舗環境に合わせ展開を変えているので、他の店舗と見比べるのも楽しみです。
It’s Fan !! とにかく楽しくカラフル
MARC JACOBS 表参道店
「DOUBLET」井野将之とのコラボ商品で、パワフルでカラフルなパーティーシーンを演出。
JIMMY CHOO表参道店
深紅のカーテンを開いたステージには、真っ赤なギフトボックスにクリスマスギフトの主役達（バッグやシューズ）が華やかに登場。固くなりがちなボックスの三角形構成に、赤とピンクのリボンで動きを演出。
Luxury & Traditional 伝統的なクリスマス表現も健在
GUCCI 青山
夜空を彩る星座をモチーフに、オーソドックスな構成で繊細に演出したグッチ。アディダスとのコラボ商品シルクドレス(￥2,035,000)は既に完売。
RALPH LAUREN 表参道
雪山で過ごすラルフローレンのホリデーシーンを演出。建物の前面と側面両方から見えるウィンドーの形状を活用した効果的な構成。
COACH 表参道
くるみ割り人形とツリーとギフトボックス、これぞ伝統的なクリスマス。緑と赤と金、これぞクリスマスカラー。なんだか、安心！
少々早めのクリスマスの紹介なので、まだこれから立ち上がる店舗もたくさんあります。表参道のイルミネーションも12月1日に点灯です。LED約90万球も楽しみです。
12月17日(土)には、日本VMD協会主催で世界の今年のクリスマスが見られる、セミナーもあります。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
World Wide Christmas 2022『 Now & Next 』
次回はクリスマス本番を彩る銀座のディスプレイをご紹介していきます！
文：池谷光江
NDSインテリアデザイン科講師。商品装飾展示技能検定1級、日本VMD協会理事マネキンディスプレイ会社のデザイン室を経て、フリーランスのディスプレイデザイナーとして、百貨店、専門店、メーカーのVMD企画デザイン、社員教育に携わる。現在、ディスプレイの国家試験「商品装飾展示技能検定」中央検定委員として問題作成に携わっている。
