動物モチーフのロゴマークを集めて〈考察〉してみた。

動物モチーフのロゴマークから、その造形に対してどんなデザインが考えられているのか、〈考察〉をしてみました。

〈考察〉なので個人の主観のもとで書かせていただいております。ご了承ください。

公益財団法人日本サッカー協会

モチーフ:八咫烏(やたがらす)
日本神話に出てくる3本足のカラス。神武天皇を熊野国から大和国まで道案内をしたとされており、導きの神とされている。

〈考察〉カラスの造形は黒の1色のみ。複雑ではないものの、羽や足の表現など特徴的な形。基本的な形は「X」のようなシルエットで角度が統一されており、一体感がある。カラスが振り向いているのは「導きの神」だからなのか?

 

ヤマト運輸

モチーフ:黒猫
親猫が子猫を大事に運ぶ様子が、運送業者の心構えにマッチしたロゴ
デザインは原研哉さん。特設サイト

〈考察〉ネコの造形は黒の1色のみ。シンプルな形状で、図形の角度に統一感を感じる。
ネコの耳先など、角が削られていて優しい印象に。シンプルな目は猫のツリ目っぽさと、笑顔のようなカーブが感じられる。
背景の円形は単純な楕円ではなく、優しいカーブで作られていて色ともマッチして温かい印象。

 

レッドブル

モチーフ:2頭の雄牛
元々はタイにあった現地の言葉で「赤い雄牛」という飲料品がスタート。効果を表わすような猛々しい元気な印象のロゴ

〈考察〉造形は赤と黄色の2色。牛はアウトラインで囲われている。アウトラインは手描きのような太さの緩急がある。
左右対象な造形が安定感と力強さ、堂々とした印象を感じる。2頭の牛がぶつかりあう寸前のタイミングが「緊張感」を表わしている。
印象的な赤色も、ただの赤ではなく少し紫味が入っているようなクールな赤色。

 

象印

モチーフ:ゾウ
頭が良く、家族愛も強いイメージのゾウ。安定や信頼の象徴ともされており、あらゆる幸運を運んでくれる存在。

〈考察〉造形は1色のみ。均一な太さのラインで構成。
形状は円形をベースとして作られていて、優しい、やわらかい印象で家庭用品、家族、食品につながる安心感を感じる。
ラインの線端は角ばっていて緊張感もあり、品質の高さを演出されている。

 

日本航空

モチーフ:鶴
鶴は長寿を象徴する鳥として縁起も良く、鳴き声が高く遠くまで響くことから「天と地をつなぐ=天に通じる」として、空に関わる日本の航空会社にぴったりなモチーフ。

〈考察〉造形は1色のみ。丸の中にきれいに収まる造形で鶴が羽を広げていて、安定感と堂々とした印象。
羽の切れ込みやクチバシなどトガった造形が緊張感を演出し、スピード感と繊細で丁寧な印象を与えてくれる。
また、日本の象徴である「日の丸」を感じさせ、世界に向けて日本の代表格ブランドであることを伝えるデザイン。

 

大正製薬

モチーフ:ワシ
「ワシのマークの大正製薬」というサウンドロゴが印象的なのは、ビジュアルだけでなく、ラジオ放送で「音だけで聞いてもイメージできる」という観点と、力強い、未来にはばたくということからワシが選ばれた。

〈考察〉造形は1色のみ。羽を広げた姿と足の造形で全体的に「X」のシルエットで、安定感、堂々とした力強さを感じさせてくれる。
印象的な羽の造形がとても装飾的でクール。
代表的な商品でもある「リポビタンD」にもつながる「男性」っぽさを感じるデザイン。

 

WWF/世界自然保護基金

モチーフ:パンダ
1961年当時、ロンドンの動物園にやってきて話題となっていたジャイアントパンダをシンボル化。保護動物の代表格で世界的に伝わるパンダ。

〈考察〉造形は1色のみ。めずらしいロゴ造形で、誇張や簡素化もあまり感じさせず、奥行き感のある写真をトレースしたかのような造形。
目は確認できないが、カメラ目線で「自然保護」を見ている人間側に語り掛けてくるような動物からのメッセージを感じる作り。

 

チャムズ

モチーフ:アカアシカツオドリ
アカアシカツオドリは警戒心がとても弱い鳥。フランス語で「bobo(「まぬけでカワイイ」の意)」と呼ばれていたことから、多くの人に愛されるブランドでありたいという想いを込められた。

〈考察〉造形は黒・赤の2色と白。太いアウトライン、丸みをおびた形から可愛らしい印象と、黒・赤という力強い配色でアウトドアファッションの分野にマッチングしている。
クチバシのお向きとロゴタイプの配置が全体の安定感を演出している。
頭を後ろに引いた、首の丸みがかわいい。

 

キンチョー

モチーフ:ニワトリ
中国の歴史上に出てくる「鶏口と為るも牛後と為る勿れ」という言葉から「小さくても勇気のある鶏の頭になるべき」としてニワトリが選ばれた。業界の先駆者として「鶏口」になるという想いが込められている。

〈考察〉造形は1色のみ。最近ではめずらしい、手描きの質感を残すデザインで、人の温かみも感じる。
ニワトリの造形は現実に忠実。全身ではなくニワトリの特徴であり力強さを感じる「鶏冠(トサカ)」を含む頭部を円形の中にレイアウト。
鶏冠は円形から少しはみ出す造形で、より存在感が強調されている。

 

阪神タイガース

モチーフ:トラ
阪神電鉄内の当時のデザイナー早川源一氏が制作したロゴ。80年間変わらず使い続けられている稀有なロゴデザイン。

〈考察〉造形は黒・黄・赤の3色と白。手描きの質感そのままにロゴになっている。
トラの表情と、下から見上げるアングルが力強さを演出。トラの縞模様は白黒で表現されても「トラ」とわかる作りこみ。トラの目線は右上で、右肩上がりの未来を見つめるかのような印象。

 

ラコステ

モチーフ:ワニ
テニスのレジェンドプレイヤーでブランド創業者の「ルネ・ラコステ」がテニスのコーチとワニ革のスーツケースを賭けた話から、ラコステに「ワニ」というニックネームがつけられたのが由来

〈考察〉造形は緑と赤の2色。手足の造形は可愛さを感じるものの、口元や目はワニの力強さが表現されている。
背中のゴツゴツとした表現がシンプルでありながらも、装飾的でワニの力強さを演出している。尻尾のカーブがあることで、造形に動きが出てロゴとしてのオリジナリティを強めている

 

 

 

 

企画・調査:PicoN!編集部 山崎
考察:PicoN!編集部 横山

 

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