どうせ、動くのなら、納得して動きたい。

共感・納得が行動の基になる。

「なるほどネ」って、共感して、納得して、腑に落ちた時の心の動きです。
「これは面白い」って、目の前がパァーッと明るくなる瞬間です。
「ニンマリ」って、へッへッへッ、ちょっと得した気分だな・・・とか。
この三拍子が揃ったとき、目の前の扉がちょっと開いた感じがします。

私の行動のほとんどは、この三拍子が揃えば、次は行動に移っているようです。ヒトは何かに出逢い、上記の3つがうまく作動した時に、活動に移した時の勢いを強くする・・・という理論を持っていまして、自分の行動も「なるほどネ」って納得して、「これは面白いナ〜」と感じ、「ニンマリ・・・」と得した気分になれば、自分のうちでは充分に消化活動が済んでいるわけですから、あとは行動に移すようにしています。

納得は、心が整理されているということ。

つい先日、このWEBの編集者から、「東京オリンピックにからめて、2,000字相当の文」を2本、依頼されました。正直、困っています。つい先程までは。
このWEBサイトの配信元は学校法人呉学園で、想定読者層は、「つくる」に興味がある方々と聞きました。困っている要素としては、過去のオリンピックのポスターやエンブレムの話をするには、私の手持ち資料の少なさと、広告物や制作物は、その時代と添い寝をしながらその時代の空気を吸っていたり感じていないと、読む方も書く方も面白くないんですネ。読者に、「なるほどネ」「これは面白い」「ニンマリ」が発生しなさそうだナ、と判断しました。

目的が決まれば、ヒトは動きやすい。

私は22歳からデザインの仕事に従事し、現在74歳ですから50年以上デザインの現場に籍を置いています。8月の暑いさなか、ある有名なホテルの高価格帯の部屋への誘客のためのプランを企画中です。2分くらいの動画を考えています。
次のようなことを話し合いました。

⚫︎この動画制作の目的は何か?
⚫︎我々が、やるべき課題は何か?
⚫︎その問題を解決する最善・最速の方法は何か?
⚫︎予算はどのくらい、かけられるのか?
などを、しっかり先方と話し合いながら「ならば、こんな企画でいきましょう」「そうすると、こんな結果が現れてきます」「この企画を買っていただけるのなら、◯◯◯万円かかりますがよろしいですか?」と、目的に向かって課題となるレンガを積み上げていくのが通常のやり方です。

 

外面だけでなく、内側を知る。

しかしこのWEBサイトは、クリエイティブに関する「アラカルト情報」のように見えてはいますが、配信の底に潜んでいるものは「学校法人呉学園のファンづくり」なのです。「クリエイティブに関わることの諸々の情報を掲出しています。読んで、見て、楽しんでくださいネ」と言いながら、心の内では「こんな学校法人呉学園です。みなさん、よろしかったらファンになってくださいね」という仕組みです。この方法は昔からよく使われるやり方で、表では読み物や生活まわりの情報を並べておき、内側ではこんなことを考えている私達( 企業や商品や考え方 )を、ヨロシクね・・・という方法です。

コミュニケーションとは発信・着信・返信がそろったとき。

ヒトが興味を示す要因には、次の5つがあります。

⚫︎役に立つ情報を提供している。
⚫︎役には立たないが、知らなかったことについて書かれている。
⚫︎扱っている話題に、興味がある。( タイムリーな話題、マニアックな話題 )
⚫︎共感できる。( 自分以外にも、同じことを考えている人がいた 。又は、感動する内容や表現 )
⚫︎独自の視点から、物事や現象を切りとった鋭い切り口でアプローチされている。

私たちがパンフレットや読物や広告物をつくる時には、以上のことを注意しています。何かを伝えたい時、その仕組みをうまく設計できていないと相手から帰ってくる返事が「それで?」という冷たい反応になってしまいます。コミュニケーションが不発に終わったとも言えるのです。

誰に何を伝えたいのか?が、大切。

このWEBサイトは、私の印象としては想定読者層が曖昧な印象を受けています。私としては、デザインを勉強したいとか、ものを「つくる」ことに興味がある人々とか、欲を言えば、デザインで自分の夢を叶えたい人向けに絞ってオリンピックに絡めながらデザインと社会の関わり方、そして、デザインは社会の問題をどのように解決してきたか?などを、次号で語ってみようと思います。

実は私、1964年の東京オリンピックの聖火ランナーだったんですよね。あの頃は、若かったなー。

 

文・村中凱

>次回『出逢い、想像することからすべてが動きだす。』

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