「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」開催レポート

『ウェス・アンダーソンすぎる 風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』が、11/25(土)~12/28(木)までヒカリエホールにて開催中。

2022年に韓国ソウルで開催され、25万人以上が来場し大好評だった展覧会が、日本でも二度目の開催となる(一度目は2023年春に寺田倉庫にて開催)。
国内でもSNS世代を中心に話題沸騰の本展をレポートしたい。

ウェス・アンダーソンすぎる風景展とは?

アメリカ合衆国・ヒューストン出身の映画監督ウェス・アンダーソン。彼の作品に通底する映像やストーリーの世界観は唯一無二だ。脚本やキャラクターだけでなく、映像演出に作家性が強く出ている監督でもある。
シンメトリーで整った構図、舞台セット含めた色使いや美術、ファッション、ノスタルジーな音楽…上品で洗練されていながらも、ロマンチックで旅情あふれる数々の作品は、世界中の映画ファンを熱狂させてきた。

本展は、世界中の人が投稿した「ウェス・アンダーソンっぽい写真」により構成されている。
発端は2017年に、アメリカのブルックリンでワリーとアマンダ・コーヴァル夫妻が立ち上げたInstagramアカウント(@accidentallywesanderson)だ。
通称AWAと呼ばれ、まるでウェス・アンダーソン作品のワンシーンのような風景写真を投稿しているのだが、夫妻による撮影写真だけでなく、世界中のフォロワーが画像を提供しているのが特徴的だ。投稿写真は、その場所にまつわるエピソード付きで紹介される。ユニークな取り組みは徐々に注目され、現在ではフォロワー180万人以上のコミュニティとなっているそうだ。

構成と見どころ

本展はSNSに投稿された世界中の作品群を、テーマごとに分類し、リアルな展示として再構成している。

序盤は「非日常的な旅」を想起させる風景写真が並ぶ。ウェス・アンダーソン作品でいうと『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』などに代表されるイメージだ。

「OPEN YOUR ALBUM:古いアルバムを覗くような懐かしく幻想的な作品」

 

「THE TERMINAL:旅の始まりや終着点である駅の情景」

 

「MIND THE GAP:飛行機、列車、バス、自転車などの乗り物」

 

「CHECK IN,PLEASE」ではクラシックなロビーを模したコーナーが登場。『グランド・ブタペスト・ホテル』のような美しいホテルの外観・内観が並ぶ。

 

豪華な建造物だけでなく、時には何気ない素朴な景観もウェス・アンダーソン的になる。雪景色の中にポツンと建つ小屋や、世界中の灯台たち。

 

自然豊かな公園や海岸沿いにある遠望用双眼鏡を正面から見ると可愛らしいというのは意外な発見だ。

 

端正な構図やパステルカラー調の色合いの作品と、トンマナの似た作品たちが多く並ぶ本展だが、その撮影場所が本当に幅広いのが魅力的だ。誰もが知る都市部の観光名所や日常の些細な情景、果ては南極大陸まで、様々な風景写真が紹介される。

私たちの生活圏でも切り取り方によっては映画的な構図を見つけることが出来そうという日常に即したワクワク感と、異国の未知の場所をいつか訪れてみたいという両方の気持ちになる展覧会だった。
会期は残り少ないが、気になる方は足を運んでみてほしい。

文・写真:ライター中尾

展示概要

ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている

期間:2023/11/25(土)~12/28(木)※休館日なし
時間:11:00-19:00(入場は18:15まで)
毎週土曜日は20:00まで(入場は19:15まで)
場所:ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)
HP:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_AWAwinter/

 


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