【スクリプト機能入門】Adobe Illustratorで不思議な幾何学模様をつくってみよう!

Adobe Illustratorは「ハイテクな画用紙」ではなく、じつは(?)れっきとした「コンピューターソフト」。である以上、プログラミング言語を使って指示を与えることで、“手作業” では絶対に実現不可能なすごいことができてしまうんです。

それを実現できるのが、イラレ利用者なら一度は耳にしたことがあるであろう「スクリプト」機能。「便利そうだけどなんか難しそう……」と遠ざけている人も多いかもしれないこの機能の入門編として、この記事ではサムネにあるようなおもしろい図形(バラ曲線)づくりにチャレンジしてみます。

今回紹介する「バラ曲線」スクリプトを使うと、たとえばこんな不思議な感じのビジュアルも簡単につくれちゃうんです。

波のような何か

家紋のような、ロゴのような何か

プランクトンめいた神秘的な何か

・Adobe Illustratorの「スクリプト」機能を楽しく学びたい
・幾何学模様の美しさが好き、数学が好き
・「スクリプト」機能で面白いものをつくってみたい
・ちょっとしたハッカー気分を味わってみたい

そんなあなたはぜひ一読し、イラレの「スクリプト」入門としてお役立てください!

※バラ曲線……r=sin(n/d)θで定義される曲線。つまり、円の曲がり方を「n」「d」というパラメーターで変形させたもの。バラの花のように見えるのでこう呼ばれている。

スクリプト機能の使い方

1. 使いたいスクリプトをメモ帳に貼りつけ、「.jsx」の拡張子で保存する

まずはスクリプトのデータを用意します。今回は「バラ曲線」という図形を描画できる、以下のスクリプトを使います(おどろおどろしい文字が並んでいますが、理解できなくても使えますので逃げないでください)。

//↓ バラ関数の形を変えるパラメータ
var bunshi = 33.85,
bunbo = 8.97,
kaitensuu = 999;

// ↓バラ関数のxy座標を計算する部分
var anchorPoint = [];
for (var kakudo = 0; kakudo <= kaitensuu; kakudo += 1) {
var kakudo_rad = kakudo * Math.PI / 180;
var x = Math.sin(( bunshi / bunbo ) * kakudo_rad) * Math.cos(kakudo_rad);
var y = Math.sin(( bunshi / bunbo) * kakudo_rad) * Math.sin(kakudo_rad);
anchorPoint.push([x * 100, y * 100]);
}

// ↓イラレに線を描く部分
var documentObject = activeDocument;
var pathObject = documentObject.pathItems.add();
pathObject.setEntirePath(anchorPoint);

// ↓線の色・太さを設定する部分
function setRGBColor(r, g, b){
var color = new RGBColor();
color.red = r;
color.green = g;
color.blue = b;
return color;
}
pathObject.strokeColor = setRGBColor(0, 0, 0);
pathObject.stroked = true;
pathObject.fillColor = setRGBColor(0, 0, 0);
pathObject.filled = false;
pathObject.strokeWidth = 1;

このコードをまるっとコピーして「メモ帳」に貼り付け、「.jsx」の拡張子をつけて、パソコンの好きな場所に保存してください(JavaScriptソースファイルという種類のデータになります)。

このソースコード内に赤色で示した2つの数字を変えることで、バラ曲線のかたちをさまざまに変化させて遊ぶことができます

スクリプトをまるっとコピー&イラレに貼り付け

「好きなデータ名.jsx」で、好きな場所に保存。

2. 「ファイル>スクリプト>その他のスクリプト」から、つくったスクリプトをイラレに呼び出す

さっそく、つくったスクリプトを実行します。Adobe Illustratorを開き、「ファイル>スクリプト>その他のスクリプト」から、先ほど保存したスクリプトデータを開いてください。

ファイル>スクリプト>その他のスクリプト

さっきのデータを選択。

スクリプトが実行され、下画像のようなオブジェクトがアートボード上に生成されます(アートボード左上にご注目)。

拡大してみると……。

冒頭で見せたような不思議な幾何学模様(バラ曲線)がパスとして描かれました。この図形は、曲線ツールなどで描いた普通のパスと同様に扱えますので、自由に変形させたり、線の太さや色も変えることができます。

繰り返しになりますが、ソースコードの赤色で示した2つの数字を変えると、バラ曲線のかたちをさまざまに変化させられます。上の図形は「33.85」「8.97」という数字のペアを入れた結果ですが、今度は「8.82」「1.61」に変えてみましょう。すると……。

まったく違った感じの幾何学模様が描画されました。コツとしては、互いにきれいに割り切れないような数のペアを入れると面白い形ができやすいです。例えば自分の生年月日など、いろんな数字を入れて実験してみましょう。

「スクリプト」の世界を探検してみよう!

今回は足早に「バラ曲線」のスクリプトだけを紹介しましたが、スクリプト機能を使えば、このほかにもさまざまなものを描画したり、描画に限らない便利なアクションを実現することができます。

プログラミング言語を書けない人も、Googleで「イラレ スクリプト (やりたいこと)」で検索すればだいたいソースコードが出てきますので探してみましょう。

・余計なパスを消してくれるスクリプト
・まとまったテキストを、行ごとにバラしてくれるスクリプト
・同じフォントの文字だけを一括選択できるスクリプト

などなど、たくさん転がっている便利なスクリプトたちは、あなたのクリエイティブの可能性を大いに広げてくれるはずです。

メジャーなプログラミング言語である「JavaScript」の勉強のキッカケにもなりますので、興味が湧いた人はぜひコードの書き方や文法も調べて、学びを深めてみてください。

文・編集部 佐藤

 

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