デザインは「4」でできている。 “4つの4” でセンスは磨ける

デザインにはセンスが必要。でもその「センス」って何なのでしょうか? 「センス」には姿もかたちもなく、また見方や定義しだいで変わりうるものですから、その答えは十人十色、千差万別にありうるのでしょう。つかみどころのない「センス」をつかみ、そして使いこなしていくためには、何か自分なりのモノサシをもっておく必要がありそうです。

本記事が提供したいひとつのモノサシこそ、タイトルに示した「4」という数字です。いいデザインというものには少なからず法則性があり、それは偶然か必然か、「4」という数字でまとめられていることが多いのです。

以下に紹介する「4つの4」は、デザインの善し悪しを測るひとつのモノサシとして役立ってくれるに違いありません。

文/編集部・佐藤舜

1. 「デザイン4原則」

ひとつめは、デザインに興味がある人なら一度は耳にしたことがあるであろう「デザイン4原則」。これは見やすく・美しいデザインをするために最低限守っておくべき、数学でいうところの「四」則演算的基本ルールのようなもの。素人の私でも、仕事でバナーや資料をつくるとき、この4原則さえ守っていればそれなりに見やすいものができあがることを経験的に実感しています。

デザイン4原則を使えば、授業の板書ノートもイケてる感じになるし、会議資料も見やすくなるし、部屋もきれいになるし、スマホのホーム画面もスッキリします。デザイン関係者に限らず、すべての人が知っておくべき “情報整理のコツ” のようなものだと私は考えています。

■デザイン4原則
近接
関係するモノ同士をまとめて、近づける(逆に、関係ない情報同士は切り離す)
・整列
モノの端っこを揃える
・反復
色・サイズ・フォントなど、モノの性質を揃える
・対比(コントラスト)
 対照的な色・サイズ・フォントなどを使い、見た目にメリハリをつける。目立たせる。
(参考:Robin Williams.『ノンデザイナーズ・デザインブック』.株式会社マイナビ出版.)

2. 4つの制約

デザインの名著と言われる『誰のためのデザイン?』(ドナルド・A・ノーマン)では、「4つの制約」という概念が解説されています。その4つとは、「物理的制約」「文化的制約」「意味的制約」「論理的制約」

これはユーザーフレンドリーな、つまりは「使いやすい」「分かりやすい」デザインをつくるために必要な条件として提唱されたもの。「制約」という言葉にはネガティブな印象がありますが、むしろ正しい制約を設けることで、ユーザーがモノを使うときの「迷い」(=選択肢)を減らすことができ、結果的にスムーズに使えるようになるのです。

たとえばUSBを挿し込むとき、正しい裏表の向きがわからずイライラした経験は誰しもあると思います。USBには正しい向きで差し込む必要があるにもにもかかわらず、それを促すような「物理的制約」がデザインされていないからこういうことが起こるのです。

かりにUSB端子を長方形でなく「台形」にデザインしていたら、物理的にUSBはひとつの向きからしか挿し込めなくなるので、裏表を間違えることはなくなるわけです(HDMI端子などはこのようにデザインされていますね)。もっといえば、最初からどっちの向きでも挿し込めるような「物理的制約」にデザインしておけばよかったのです(Apple社のC端子はそういうデザインです)。

同じように、いいデザインには「文化的制約」「意味的制約」「論理的制約」も適切に設けられています。

■4つの制約
・物理的制約
モノの形状など物理的性質による制約
(例)台形型にデザインされたUSB、取っ手がなく押すことが明確なドア
・文化的制約
身体に染みついた習慣や文化などを利用した制約
(例)受話器をかたどった電話アプリのアイコン(スマホの電話に受話器はないが、一目で電話とわかる)
・意味的制約
モノがもつ意味を使った制約
(例)エラー時に赤く光るランプ(赤は普通「危険」を意味している。エラー時に青く光ったらわかりにくくて仕方ない)
・論理的制約
モノがもつ論理構造を使った制約
(例)入力内容に不備があるとエラーが出るフォーム
(参考:参考:ドナルド・A・ノーマン.『誰のためにデザイン?』.新曜社.)

3. マジカルナンバー4

「マジカルナンバー4」とは、人間が一度に覚えられる情報量の最大数=4のこと。たとえば、「今からわたしが言うことを覚えてください。桜、パソコン、てりやきバーガー、カーディガン、ビー玉、……」という感じで言われたとき、たいていの人は4個前後の情報しか覚えられません。

だからスピーチの前には「ポイントは3つあります」と要点を絞ることが推奨されるし、車のナンバーは4桁だし、クレジットカードの番号はXXXX-XXXX-XXXX-XXXXという感じで4×4区切りになっている。世界三大○○とか、四天王とかも「マジカルナンバー4」に由来するものかもしれません。※かつてはマジカルナンバー7と言われていたが、近年では「4」説が有力とされている。

・ポスターに配置する要素の数を4つ以内に絞る
・Webサイトのインデックスの数を4つに絞る(それ以上あるときは近接の法則(デザイン4原則その1)に従って分類する)
・フードメニューのジャンルを4つに分類する

などなど、デザインのさまざまな場面にこのマジカルナンバー4の考え方は活かせるでしょう。

(参考)PhilPapers|The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity

4. デザイン4要素

アートディレクターの縄手和弘先生によれば、デザイン4要素とは「色彩」「形態」「書体」「質感」のこと。グラフィックデザインを構成する主な要素を4つに分類したものです。

デザインといえば、グラフィックの「色彩」や「形態」をつくることに意識が向きがち。しかしそれだけではなく、文字の「書体」や、紙やパッケージなど媒体の「質感」も大事なデザインの要素なのです。

配色や描画にこだわるのと同じくらい、文字のフォントやサイズ・配置、そして印刷を経て “物質化” されたモノがどんな触感をもつのか? つまりは「視覚以外」の情報もどれだけデザインできるかが、デザイナーとしてワンラックアップするための手がかりなのかもしれませんね(質感については以下記事も参照)。

(参考)PicoN!|広美苑 page.1 「光沢感バイアス」

広美苑 page.1 「光沢感バイアス」

 

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