真夏の配色レシピ集。

デザインやイラストに欠かせない「配色」を学ぶ本シリーズ。今回のテーマは「真夏」。現役デザイナーの駒崎先生が、夏らしくエネルギッシュな、あるいは涼しげな、真夏の配色レシピを4パターン紹介&解説します。色彩によって「夏らしさ」を表現したいときの参考にご活用ください!

解説:駒崎浩代(デザイナー)
編集・画像/編集部 佐藤
(※各配色のネーミングは編集部による考案)

1. 爽やかブルー&ホワイト

近年、夏には猛暑が続くようになり、夏に向けての商品パッケージにも「爽やかさ」「冷涼」をイメージさせる配色がより多くなったように感じます。そこでまずは「爽やかさ」をテーマにした配色を提案しましょう。

「爽やかさ」をすっきり出すために欠かせないのは、純白のホワイトです。ホワイトはどのくらいの面積量を使用するか?によってイメージがかなり異なりますので、いろいろ工夫をしてみることをおすすめします。

枠色に使用した明度の高いブルーを抜いて、右3色だけでの配色構成をするとまた違った印象に。4色を使うのに比べ、かなり明確に「爽やか」のイメージを強く出すことができます。逆に、サブカラーの役割として青のドミナントカラー※を何種類か使用することによって、落ち着きを感じさせるような、また大人っぽさを感じさせる「爽やかさ」を出すことができます。

※編集部注:ドミナントカラー……色相が近く、色調の異なる色のこと。

2. エネルギッシュ&ビビット!

もうひとつは「夏は暑い!」というダイレクトなイメージから、その暑さを感じる夏の光の「エネルギッシュさ」や「賑やかさ」をテーマにした配色を提案します。

オレンジやイエローの色相を主として、全体をビビット系でまとめてみてください。他の色相を増やしたい場合は、サブカラーとしての扱いで、なるべく小さな面積で配することを心がけましょう。

サブカラーとしてブラックも提案してみましたが、ブラックは意外と使い方が難しいので、濃紺など似た色にしてみるのもありです。どちらにしても、ブラック系を使用の場合には、細い線などなるべく小さな面積であまり目立たずに、強くならないように配慮することを心がけましょう。

3. サンセット・ピーチ・ファズ

今年2024年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた色、「ピーチ・ファズ 」を使用して、今年ならではの夏色の配色を提案します。

「カラー・オブ・ザ・イヤー」とは、毎年その年を象徴する色を日本流行色協会(JAFCA)とアメリカのPANTONE社から前年末にそれぞれ発表されている色で、特にPANTONE社から選ばれた色は世界のトレンドを左右しています。

ちなみに「ピーチ・ファズ」という色は「 ベルベットのような優しい桃色で、心身ともに豊かにする包容力を持つ色」とPANTONE 社は説明しています。

「ピーチ・ファズ」の色は優しい温かみのある色ですので、同じトーンの青系を加え、オフホワイトを多めに使用することで爽やさを出してみました。特に注意をして欲しい点は、純白のホワイトを使用していまうと、「ピーチ・ファズ 」やそれに合わせた色相がくすんで見えてしまいますので、少し明度を落としてオフホワイト系を使用しましょう。

4. ハロー! ブルーSUMMER 2024

こちらでは、日本流行色協会(JAFCA)が選定した2024 年春夏のトレンドカラー「ハロー! ブルー(Hello! Blue)」を使用して、今年らしい夏色配色を提案します。
「ハロー! ブルー」には、未来を明るく照らし前向きに暮らせるように、地球環境問題や紛争問題などの困難を乗り越えていけるようにといった願いが込められています。

「ハロー! ブルー」が主役として引き立つように、色相はブルー系の類似色相のみと、ホワイト系を加えての配色にしました。ドミナントカラー系が主ですので、サブカラーにオフホワイト系や純白ホワイトを加えることによってより冷涼さを感じさせることができます。

解説・駒崎浩代
千葉県野田市で生まれる。因習を大切にする材木商の父のもとで自由闊達な少女時代を過ごし、中学から東京で学び美大デザイン科卒業後、食品関係のパッケージ企画・制作会社に勤務しながら和装の仕立てを学び染色も始める。その後大学院で学び修了後、フリーのデザイナーとしてグラフィックをはじめ様々な分野のデザインを手がける。現在は、和」に関するものを得意とし、テキスタイルや商品企画、店舗・旅館のアートワークやディレクションを手がけながら「KOMAHIRO WORD」のオリジナル作品を制作している。
公式HP

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