いとうみちろう先生が教える!「美術解剖学入門」ー「脱・なんとなく」構造感のある足の描き方ー
以前、『脚の描き方』の記事を出しましたが、今回はLeg(脚)ではなくFoot(足)の描き方になります。
足が上手く描けるようになる何よりの方法は、たくさんクロッキーして、時々デッサンもしっかりしていきましょう。以上!
・・・しかしながら、それだとこの記事が終わってしまうので、今回は足を描くうえで意識するとよい豆知識のようなものをいくつか紹介します。
例えば、足を横から見ると、こちらからだとほとんど親指しか見えない感じですが、
逆サイドからみると、親指は少しだけですが、それ以外のすべての指がしっかり見えます↓
あるいは、前回の記事でも紹介しましたが、踝(くるぶし)の位置関係をしっかりさせると表現に説得力が増します↓
↑で、足の甲の部分に三角形の構造を意識してみたり、かかとのまるみをドーナツの半分のようなイメージで立体的に意識してみたり、足首のすぼまったラインを意識してみたり、というような点は『足の描き方』の話をするときにとてもよく出てくる内容です。
そして、以下のラインを稜線(りょうせん)として意識すると足の構造感がより出てきます↓
さらにここから紹介するのは、私が普段足を描くのに実際にすごく役に立っている豆知識です。
まず1点目は以下の画像になります↓
これは足の指の方向性の流れのイメージなのですが、親指が上、ほかの指は下になっています。さらに親指、小指とそれ以外の指の構造的な特徴がよく表現されています。これらの点を意識するようになってから、とたんに足の感じが「それっぽく」描けるようになったので多くの方にご紹介したいと思った次第です。
足のクロッキーやデッサンをたくさんすると、そもそも足が描けるようになる、上手くなるというのもありますが、もう一点、靴の構造が捉えやすくなるというメリットがあります。靴を立体的に描くのはけっこう難しいですが、足が描ければそれが靴の形のベースとなるわけです。
そこで2点目は、靴を描く際に有用な豆知識です。画像↓の靴の上のラインに注目してほしいのですが、●足首に近い方は少し山形のラインを形成し ●流れが変わるポイントがあり、●そこから少し方向性の違うラインになる。という流れです。
実際の靴の形は千差万別で、そのシルエットも様々ですが、上記の点を意識して靴を描くと構造のメリハリがピシッと決まって、これまた途端に「靴っぽくなる」ので重宝している豆知識です。
ということで、今回紹介したポイントを意識すると、単なる足もこれだけの情報が乗って見えてきます↓
それらを踏まえたうえで以下のスケッチを眺めると、ざっくりと描いてはいますが実はいろんなポイントを意識しているのを感じていただけると思います。
ということで、今回の描き方講座は以上です。
上達には何よりクロッキーとデッサンがよいですが、手と比べればそこまで大量にやらなくても描けるようになる部位だと思います。
私自身、以前は「足を描けるようになること」にさほどモチベーションはなかったのですが、その昔少年ジャンプで連載をしていたナルトのマンガ読んでいるときに、ナルトのキャラはよくサンダルを履いているのですが、足の構造がとてもしっかり表現されているのを見て「オレもちゃんと足を描けるようにならないと!」と思ったのをよく覚えています。
今では、足も靴もよく描きますが、その際に役に立っている知識のいくつかを今回ご紹介させていただきました。
もし何か皆さんの創作のお役に立つことがあれば幸いです。
NDS講師 いとうみちろう
イラストレーター。児童書や絵本、教科書や雑誌、アプリ、カード、舞台美術などさまざまな分野を手掛ける。教育関係の仕事の傍らフリーランスとして活動をはじめ、これまでカルチャーセンターや美術学校などで、小学生から高齢者まで幅広い年代を対象に講師として指導。
HP:https://www.michiro-ito.com/