吉本芸人のステッカーを描く人「ちたまロケッツ」 魅力的な似顔絵の描き方とは?

年の瀬、盛り上がってくるのがM-1グランプリ。
今年も出場組が過去最多を更新し、YouTubeやTverなど様々な媒体で盛り上がりをみせていますね。
かくいう筆者も実はお笑い好きでして、仕事終わりや休みの日に劇場へ足を運んでいます。
特に吉本お笑い劇場に行けば誰もが一度見たことあるのがこのステッカー。

その特徴を捉えた可愛らしいイラストは一体どんな人が描いているのか、、いちお笑いファンとしてずっと気になっていたんです。
調べたところ、ちたまロケッツさんというイラストレーターの方が描かれているんだとか。
なんと今回はご縁があって、ちたまさんにお話しを聞くことが出来ました。
快く引き受けていただきましたちたまさん、ありがとうございます!!

ちたまロケッツさんの描く絵が好きな方はもちろん、イラストレーターになりたい方にとってもぜひ「魅力的な似顔絵の描き方」について知っていただける内容となっています!

 

◆ちたまロケッツさん プロフィール
西原キヨシ 1977年生まれ 東京都在住
武蔵野美術短期大学部 デザイン科卒
吉本興業のグッズ制作・販売会社を経て、2007年よりフリーで活動。
似顔絵・キャラクター制作を中心とし、グラフィックデザイン全般の業務を行う。
吉本芸人のイラストは、オフィシャルグッズとして採用され、のべ1000人以上を制作。
HP:https://chitamar.com/
Instagram:@chitama_rockets
X:@CHITAMA_ROCKETS

 

――ちたまさんの自己紹介と改めてお仕事の内容を教えていただけますか?

武蔵野美術短期大学卒業後は吉本興業の子会社でグラフィックデザイナーとして、商品企画などに携わっていました。現在はフリーのイラストレーターとして似顔絵を描いています。メインの仕事は吉本興業の似顔絵ステッカーの制作です。その他にもテレビ番組のタイトルロゴの制作などといったデザイン関係の仕事も行なっています。

 

――吉本芸人さんのイラストを描くきっかけはなんでしょうか?

吉本の子会社で働いていた時に吉本芸人のイラストを使ったグッズを制作したいという話になり「やってみない?」と声をかけていただきました。大学でデザインを学んでいましたが、子供の頃から絵を描くことも好きだったので、得意なことが仕事に繋がったという感じです。当時は「はねるのトビラ」というバラエティ番組が人気だったので、キングコングさんやロバートさんなどのイラストを描いていました。

 

――吉本芸人さんのイラストを描く際に意識しているポイントはありますか?

シンプルに描くことを意識しています。なので、極力描く線を少なくして、どこまでシンプルにしても似せられるように工夫しています。あとは描く前にその人の資料や動画を集めてそれらを観ながら、こう描いたら似てる、似てないというような判断基準を自分の中で作るようにしています。
私の場合、こう描きたいというイメージが頭の中で出来上がっていて、それを描き出していきます。最終的に頭の中と目の前の絵に違和感がないかどうかチェックしています。
あとは資料集めの延長線ではないですが、吉本芸人さんを描く仕事をしているので常に日頃の活躍は観るようにしています。今だとM-1の時期なので決勝だけではなく、予選から色んな芸人の方を観てますね。この人次来そうだなとか、そうすると自分の中である程度イメージのベースが出来上がるので。

 

――似せるためにどんな描き方をしていますか?

描くときには全体的なシルエットとパーツの位置が重要だと思っています。
両目と口を線で結んで3角形にしたらどんな形になるのかなど考えながら描いたりしています。例えば、目が離れている方だと線で結ぶと、潰れた逆三角形になりますよね。そんな風にパーツの位置が少し違うだけで、雰囲気も変わってくるので、パーツの位置は常に微調整しながら描いています。割と福笑いみたいな感覚で描いてるかもしれません(笑)
私の場合、シンプルに描くからこそ、パーツの位置が重要だったりしますね。
こういう仕事をしていると描けば描くほど、似ているのか分からなくなってしまうこともあるので、そういう時は時間を置いて違うことをして、冷静になるようにしています。そうするとイラストを見る目がフラットになり、客観的に描けるようになるんです。

 

――ちなみに描きやすい人の特徴ってありますか?

メガネがあると描きやすかったりしますね。でも私の場合、特徴のない人を描く方が得意かもしれません。特徴がありすぎる人だと似顔絵だとそれを超えられないといいますか、8割くらいは描けるんですけど、「なんか足りないなあ」っていうもどかしさを感じたりもします(笑)
ちなみに描きやすい人はすぐ描けちゃうんですけど、人によっては1週間くらいかけて描く場合もあります。基本的には1週間を目処に制作するといった感じです。

 

 

――イラストレーターとしてのやりがいってなんでしょうか?

自分が描いたイラストに対して、お客さんから良い反応がもらえた時は嬉しいですね。描き始めた当初は実際に店舗に行ってお客さんの反応を見たり、感想を盗み聞きしたりしていました。覆面調査です(笑)
でもやっぱり、初めてこの仕事をした時が1番やりがいを感じた瞬間だったかもしれません。初めて描いたのはキングコングさんなんですけど、やっと自分の居場所を作れたような感覚にはなりました。

あと似顔絵って普通の人が見ても、専門知識や感性など関係なく楽しめるものですよね。誰でも似てないって判断できるので、ごまかしがききません。
逆に言えば、似てればより多くの人に共感してもらえたり喜んでもらえる。だから手を抜けないし、やりがいを感じる瞬間も多いのかもしれません。

 

――イラストレーターに求められるスキルって何だと思いますか?

相手を理解することは大切だと感じますね。イラストレーターも相手がいる仕事なので、この仕事も吉本興業側がどういう絵を求めているのか、自分の中で噛み砕いて理解した上で提案しています。相手との認識がずれているとどんなに良い絵を描いてもO Kが出ないのでそこは難しいですね。

 

――最後にイラストレーターを目指している方々に向けてメッセージをお願いします!

もう既にこの分野のことを学んでいる方々は、今の同世代の人が集まってそれぞれが作品を作っていく環境を大切にして欲しいです。身近な人から受ける様々な刺激はむしろ今しか体験出来ないことだと思うので、色んなエネルギーを吸収してたくさん好きな絵を描いてください!

 

なんと今回は実際に作業風景も見させていただきました。
こんな機会滅多にないので筆者感動しております。
イラスト制作の様子がわかる動画はコチラ!↓


ちたまロケッツさんありがとうございました!

シンプルに描くという要素が少ない状態で、あそこまで愛着の湧く似顔絵が描けるのはちたまさんの日頃の観察力と、芸人さんへの愛があるからこそだと思いました。
似顔絵のコツはイラストレーターを目指す方だけではなく、どなたでも参考になるポイントでしたね。描き方を知った後だと、ステッカーを見る視点も変わりそうな気がします。

皆さんもぜひ劇場へ足を運んだ際にはステッカーをチェックしてみてください!

PicoN!編集部:河野


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