セバスチャン・サルガド写真展「Amazônia」とブラジルアート紹介
3年ぶりに通常開催されたリオのカーニバル。
そのニュースを目にした人も多いかもしれません。
今回私が訪問したブラジル(リオ・デ・ジャネイロ)で、日本写真芸術専門学校とも繋がりの深いセバスチャン・サルガドの写真展「Amazônia」が開催されていたのでその様子を紹介します。
Museu do Amanhã (明日の博物館)というこの美術館は、常設展で環境問題や紛争など今世界で起きている問題などが展示されていて、その後に「Amazônia」を見ることができるので、いろいろと考えさせられる展示になっていました。
「GENESIS」や「Workers」など有名な作品が数多くあるセバスチャン・サルガドの最新作であるこの「Amazônia」は、ブラジルのアマゾンの森、川、山、そこに住む人々などを6年間にわたり撮影した作品です。
「先住民の手で守られてきた地球の神秘と美しさがこれ以上消えてなくなる前に記録しておきたかった。」
「50年後、この本が失われた世界の記録とならないように、心をこめて、力をこめて、情熱をこめて。アマゾニアは生き続けなければならない。」
とサルガドはこの作品について語っています。
何よりもサルガドのプリントの美しさ、スケールの大きさに感動しっぱなしの展示でした。
他にも、サンパウロにあるIMS(The Instituto Moreira Salles)という団体のギャラリーに訪れました。
こちらでも原住民の村の生活や、現代社会との関わりなどが展示されていました。
原住民の人たちにカメラの使い方やデータの管理の仕方などを教えて、その村の人たちに日々の写真を撮ってもらうプロジェクトも行われていました。より彼らの生活がリアルに見ることができ面白かったです。
サンパウロは南米屈指の美術館と言われるMASPもあり、こちらの常設展は仕切りがなくだだっ広い空間に強化ガラスに入れられた作品が置かれています。
MASPの近くには「Japan House」という建築家の隈研吾さんが手がけた建物もあります。ここは日本の多様な文化を発信している場所なので、いろいろな写真集や雑誌などを見ることができます。
リオ・デ・ジャネイロの街には、いたるところにスプレーアートがあったり、駅の構内で言語についての展示が行われていたり、廃映画館を使った展示が行われていたり、舞踏のワークショップが行なわれていたりと、日常の生活の中でアートを目にすることができ、面白い環境でした。
ブラジルを訪れる際には、美術館はもちろんですが街中のアートにもぜひ注目してみてください。
文・写真:河原 孝典