カメラのヒキダシ#3【+α編】 @アートアクアリウム美術館GINZA

本シリーズでは、カメラマンとしてステップアップするためのテクニックの “ヒキダシ” を紹介。#3となる今回は「+α編」と題し、作品にさらなる+αの魅力を加えるためのテクニックをご紹介します。被写体は前回までに引き続き、ライトアップされた美しい金魚を楽しめる「アートアクアリウム美術館GINZA」です。

撮影・解説/ウチヤマシンヤ(写真家)
文/編集部 佐藤

■前回までの記事

Tips1. カメラを縦に使う

高さのある被写体や人物などを撮るとき、自然にカメラを縦に使う人は多いと思います。しかし “縦位置” の使いどきはそれだけに限りません。同じ被写体でも、縦に撮ることで風景の切り取られ方や写り込むものが変化し、また違った印象の作品になることがあるのです。

ウチヤマ先生の解説
“縦位置” によって得られる効果は色々ありますが、最もわかりやすいのはやはり「高さ」を表現できるというポイントでしょう。水槽という空間を縦に切り取ったことで、上下を泳ぐ金魚がより多く画角に入るようになり、水中の「無重力」感をより強調できたように思います。また上から下へ、下から上へという縦方向の金魚の動きを捉えられ、 “横位置” の写真とはまた異なったニュアンスになりました。

Tips2. 環境の活かし方を考えてみる

撮影環境をいかにうまく使えるかも、カメラマンとしてのウデの見せどころ。撮影場所の地理特性や物理的特性を把握し、そのポテンシャルを活かせる撮り方がないか試行錯誤してみましょう。

球体の水槽とその背後から差し込む光を利用。まるで空間が歪んでいるようなユニークな作品に。

同じく、球体の水槽を用いた演出。

水槽の下面の反射を使い、鏡写しの世界のような幻想的な演出に。

ウチヤマ先生の解説
撮影環境の魅力や雰囲気をもっと活かせないか? もっと面白さを引き出せないか? ひとつの撮り方にこだわらず、さまざまなフレームやアングルを積極的に試してみてください。今回撮影したのは「ライトアップされた水槽」という特殊な環境でしたので、ちょっとアングルを変えるだけで反射光が変わったり、光の歪み方が変化したりと、さまざまな発見があって楽しかったです。

Tips3. 見る角度を変えてみる

写真は「選択の芸術」と言われます。何を選択するのか? 教科書的な答えはフレーム、アングル、ディスタンスということになるのでしょうが、やはり何よりも大事なのは「ものの見方」そのものの選び方です。

ウチヤマ先生の解説
自宅の金魚を撮影するとなると、壁際にあって撮影できるポイントが限られたり、家の風景が映り込んでしまうことが多いと思います。
しかしことはアートアクアリウム。多彩な形状の水槽があるので、いろいろな角度で金魚を捉えることがきます。このような状況なら、お家での撮り方から一歩踏み出し、変わったアングルを試してみるのも一興です。被写体の思いがけない一面を発見できることがあるかもしれません。上の写真では、球状の水槽を生かしてローアングルでの撮影にトライしてみました。

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3回にわたってお届けした「アートアクアリウム美術館GINZA」編はこれで最後。シリーズを通してお届けした計9つのテクニックを、今後の撮影にぜひお役立てください!

内山慎也
2014年より、ポートレートとランドスケープの写真作品を中心に発表
東京都在住
1989年 生
2013年 日本写真芸術専門学校・ブライダルポートレートゼミ卒業
2014年 同校・研究科修了
2016年 専門学校日本デザイナー学院・勤務
2019年 母校にて初個展「Air.」開催
2022年より日本写真芸術専門学校に勤務
Shinya Uchiyama
Shinya Uchiyama is a Japanese photographer who has been creating and showing portrait and landscape photography since 2014.
Born in 1989 / based in Tokyo
2013 Graduated from NIPPON PHOTOGRAPHY INSTITUTE
2019 First solo exhibition “Air.

【使用機材】
SONYα7Ⅳ
FE 24-70mm F2.8 GM
FE 16-35mm F2.8 GM
FE 90mm F2.8 Macro G OSS
FE 50mm F1.4 GM

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