PicoN! club -大判カメラのススメ-

この「PicoN! club」では自分の作品をワンランクアップさせるポイントを紹介。写真学校でよく聞く悩みをもとに、撮影に役立つ情報をお届けしていく。

NPI卒業生のフォトグラファーからLINEが届いた。

「4×5カメラの使い方を教えてください!」

彼女は卒業して6年、立派にフォトグラファーとして活躍している。作品撮りや映画のスチール撮影でフィルムカメラを使っている。被写体となる人物を自然体で撮影しているのだが、その写真は35mmフィルムの色味や柔らかなトーンがマッチし、なかなか定評がある。
そんな彼女がなぜ4×5に挑戦するのか。少し話を聞いてみることにした。

そもそも、デジタルカメラとフィルムカメラと呼ばれているように、カメラにはいくつかの種類がある。
デジタル一眼レフカメラ、ミラーレス一眼、これらはデジタルカメラの種類だ。
これから写真を学んでいくのであればどちらかを選べばいい。この2種類だけでも説明することはたくさんあるので、また別の機会にしよう。

35mmフィルム

ブローニーフィルム

大判フィルム

今回のオーダーは4×5カメラの使い方。大判カメラと呼ばれるものだ。
35mm、中判、ブローニー、大判、4×5…..
これはフィルムカメラとフィルムの種類を指す。写ルンですなど、一般的に多く使われているのが35mmフィルムだ。そこから段々とフィルムが大きくなる。ブローニーフィルム(中判)、4インチ×5インチのシートフィルム(大判)、11インチ×14インチ等々。
フィルムが大きくなればカメラも大きくなり、形も変わっていき、大きく引き伸ばし印画紙にプリントした際の画質が変化する。フィルムを大きくしていくことで解像度は向上する。
鮮明で大きなプリントを手に入れたい場合は、大判のフィルムで撮影した方が35mmフィルムよりも画質面ではアドバンテージが高くなる。今なお世界の巨匠たちには、大判カメラで作品撮りを続けているひとたちがいる。

また、画質だけでなく完成する写真も変化する。35mmは機動性が高く動きの速い被写体や出来ごとをとらえることに向いている。
よく耳にするシャッターチャンスを逃さないというものだ。

大判カメラの機動性はゼロに近い。まず、三脚を立ててカメラをセットすると、次はルーペでピントを合わせ、露出計という機械でフィルムに適切な光の量を測る。そのあとフィルムの入ったフォルダをカメラにセットしてシャッターを切る。iPhoneのカメラなら数秒で撮り終わる写真を時間をかけて撮影する。全体的に時間のかかるカメラだ。そのおかげなのか被写体(人物や風景でも)と向き合う時間が増える。対峙する感覚に近いかもしれない。その撮り手の構え方が写真に反映されていると私は思う。


おそらく今回のオーダーもそういうことだろうと推測している。彼女は自分の写真にいつもと違うエッセンスを入れたいと思い、学生時代に習った大判カメラで撮影しようと閃いた。しかし使い方に自信がない。そこで白羽の矢が立ったのが私だった。よくよく聞いてみると失敗できない割と大きなプロジェクトの撮影だった。
そこで使ったことすら忘れかけているカメラで撮ってみたいと思う大胆さと、作品を良くするためにどこまでもチャレンジする姿勢に驚かされた。クリエイティブとはそういうことの連続かもしれない。そう思わせてくれる機会となった。“作品に合わせてフォーマットを変える”そう教わったことを思い出した。
せっかくなので撮ってみようと思う。
次回、撮影。

文・写真 : PicoN!編集部 奥

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