PicoN! club -大判カメラのススメ②-

この「PicoN! club」では自分の作品をワンランクアップさせるポイントを紹介。写真学校でよく聞く悩みをもとに、撮影に役立つ情報をお届けしていく。

 

では、さっそく大判カメラで撮影してみよう。
まずはフィルムを「カットフォルダー」に入れる。この作業は全く光が入らない「全暗室」で行う。慣れるまで時間がかかる作業だ。
この時、手は汚れがないようにきれいに洗い、フォルダーはホコリなどが出ないように掃除をしておく必要がある。

次に機材を用意しよう。一通り必要なものを書き出してみた。
カメラ本体

軽量なウッドタイプ

金属製の堅牢なモデル

レンズ

ズームレンズではなく、シングルレンズだ。画角を変えるにはレンズを付け替えが必要。

三脚

三脚はある程度しっかりとしたモデルを用意しておきたい。細かな操作が得意なギア雲台を使ってもいいだろう。

露出計

大判カメラには露出計が内蔵されていない。

レリーズ

水準器

シャッターを切るために必要なレリーズ。

ルーペ

ピントを合わせる時に必要なルーペ。

被り布

現場に着いたら撮影ポイントを探す。ある程度決まったら三脚を立ててカメラを組み立てる。
レンズやアクセサリーを付け、画角を決めてピントを合わせる。
周りが明るいとピントを合わせにくいのでかぶり布をかぶりフレーミングしていく。

インドで撮影していた時、汗だくになりながらピントを合わせ終わると、周囲に人だかりができていたことがあった。それぐらい集中してしまうこともある。この集中と時間のかかり方が他のカメラとの違いだろう。被写体と対峙している感覚が生まれる。

ピントまで合わせたら露出を測る。

フィルムなのでISO感度はすでに決まっている。絞り羽根を絞り込み、シャッターを閉じてチャージする。ここまでいけばセットはほぼ完成する。最後にカットフォルダーを装填し、ひきぶたを引く。あとはタイミングを見てシャッターを切る。これで撮影は完了する。

伊勢湾の浮かぶ島の桜。 春風に吹かれて桜の花びらが舞っていた。 雲の切れ間から太陽の光が差し込んだ瞬間にシャッターを切った。

 

大判カメラは撮影までに多くの工程がある。何かの儀式のようにフォルダーを掃除してフィルムをつめる。機材を組み立てひとつ一つ確認しながら撮影を行う。あくまでも私の感想だが、そのプロセスを踏むことで大判カメラならではの安定感のある重厚なイメージを手に入れることができるように思う。

まずはこういうカメラがあることを知ってもらえれば幸いだ。

興味がある方は、先人たちがこのカメラでどのような作品を残して来たのか?それを知ってほしいと思う。

自身の写真を変化させるきっかけになるのではないだろうか。

最後に、大判カメラに挑戦した彼女だが、無事に撮影できたようだ。その作品を見る機会もそう遠くないだろう。その時はまた皆さんにご紹介しよう。

 

文・写真 : PicoN!編集部 奥

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