NPIフォトフィールドワークゼミ 国内フィールドワーク完了報告会!
日本写真芸術専門学校(以下NPI)フォトフィールドワークゼミ3年生が、南は九州、北は北海道まで日本を縦断しながら取材撮影を実施しました。
今年はコロナの影響で国内となりましたが、約4ヶ月間学生自身が考えたテーマに基づいて作品制作を行いました。
それぞれの視点で見た日本は、写真としてどのように表現されたのか。1人ずつのテーマをご紹介します!
「旅食紀」 岩見珠希
テーマは、地元に愛されている料理。その土地でしか食べることができない料理を写真を通して記録し、作品を見て知らない料理に触れ、食べたいと思ってほしいと話しました。
お店の背景、食べた自分の感想、お店の雰囲気、外観、金額など、詳細に取材されている作品でした。
日本各地の料理や岩見さんの解説で、会場から思わず「美味しそう」と声が上がるほど。
「日本の伝統的な手仕事」 岡杏里
伝統的な工芸品10品目を取り上げ、職人の撮影・取材。中には、人間国宝である越前和紙職人や、後継者のいないと話す横糸を縦糸に通す杼の職人、他にも桶、土佐打刃物、綴織など。
職人は堅いイメージがあると思うが、実際に取材すると時代と共に変化する環境を受け入れ、自身が手掛ける伝統を守るということを最優先しているわけじゃない、という柔軟な考え方をされていると思った。現代に生きる私たちにもヒントになる考え方や知恵が詰まっている、まだまだ知りたいと話していました。
「そぞろあるき」 木原圭子
自由気ままに歩いて、気になったことや面白いと思ったところへ行き、好きなだけ時間をかけて35箇所で撮影してきたそう。
写真を見返して「撮った時の思い出」を蘇らせるのが楽しく、みなさんもいつかの記憶を思い出してくれたらという、どこか懐かしい作品が並びました。
とてもアクティブに歩きまわった木原さん。各地で会った人からは、せっかく来たんだから楽しんできてと応援してくれる人ばかりで、今後はコロナを気にせず色々なところに行きたいと話していました。
「Phantasmal Cause」 楠なつせ
昔からある自然がなくなってほしくないという想いと、自然と人とのつながりに関心を持っていたので、美しい自然を求めて森に入り撮影。
でも、山に登っていたら幻想的な雰囲気や怖さなど、当初思っていたものとは違う空気感を感じるようになり、それぞれの場所の空気感を求めるようになったそうです。幻想的で厳かな奥深い自然の写真に引き込まれました。
これからも森に入って自分の感情の変化やそれにより写真がどう変わっていくのか撮っていきたいと思っていると話しました。
「Fading away」 手塚柊冴
高度経済成長期に建設されたレジャー施設や、数多く流通した外国車など、バブル崩壊後景気が悪化したことで日本各地で放置されている。
過去が風化していくものはこれからも増え続けることは避けられないし、日本の未来の姿を表していると感じたそう。華やかな時代を感じさせつつやはり寂しい、過去で未来を予感させる「痕跡」と捉えた作品でした。
はじめは過疎地を撮影と決めていたけど、限界集落以外の都市部でも多く存在する廃墟を見て、頭で考えるだけと実際は違うことに気づいて撮影の方向性が変わったと話していました。
手塚さんは、メーカーに協賛してもらい自転車で日本を縦断しながらこの撮影を行いました。
自転車で回りたいという夢や、今回の作品を写真集にまとめたり、いろいろなことを経験し実現できたフィールドワークだったと締めくくりました。
NPI副校長の樋口先生より、前向きにいい経験をしたと、逆にいい状況だと捉えてほしい。
これからの世界がどうなるかを鋭い視点を持って、写真を残していってほしいと望んでいます。期待しています。とメッセージを送ってくださいました。
このような状況でしたが、在校生をはじめ、フィールドワークを経験した先輩卒業生、関係者の方々も駆けつけ、ずっと5名を見守ってきたNPI講師の鈴木先生、飯塚先生をはじめ、国内フィールドワークを終えた5名に激励の言葉をかけていました。
フィールドワークで撮影してきた作品はこの報告会を持って一区切りとなりますが、これからも各々のテーマで撮影を続けていきたいと語った学生たち。
5名の作品は、2022年3月の卒業作品展でもご覧いただけます。どのように成長し、作品が変化していくのかとても楽しみです!