クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.18〉―映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
毎度天気の話で恐縮ですが暑いですね…
全国各地で7月中旬以降に35度越えが常態化しているという異常気象。
先月行った沖縄は東京より涼しく、
将来的に沖縄は避暑地になるのでは?という逆転現象。
毎日が熱帯夜。
Tiktok初RIPSLYMEの『熱帯夜』も再ブレイクして
仲違いも表面化しちゃったりなんかして…(関係ないか)
こんな日々だと外での活動は生命を賭してしまうため
涼しい室内で娯楽に興じるのも一興かと。
そんな娯楽の殿堂といえば昔は映画と決まっておりますが、
近年は映画もあらゆるエンタメに可処分時間を取られたり、
映画産業自体の問題などから
日本人が年間で10本も映画を観ないのがあたりまえになりました。
そんな映画業界が元気が無い中で
7月14日より宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』という
ビッグタイトルが公開されました。
事前のプロモーション無しで公開され、様々な予想と賛否を巻き起こした本作。
宮崎駿worksの到達点でもあるとは思うのだが、
私は自分と宮崎駿の相性の悪さを再認識する作品だった。
彼の世界認識とその世界を是正するためのメッセージの台詞回し、
幻想的な世界の描き方、是正を期待する対象への眼差し…
完全な好みの問題だが、宮崎駿を苦手だと思う部分が煮詰まってた感じ。
苦手な部分の煮詰まりも圧倒する何かがあれば良かったんですが…
そんな中で今回ご紹介したいのが
個人的に『君たちはどう生きるか』より「君たちはどう生きるか」だった
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』です。
あらすじと概要
かねてより映画作品としての評価が高い
「クレヨンしんちゃん」のシリーズ初となる3DCGアニメーション作品。
「STAND BY MEドラえもん」CGアニメーションで知られる
映像制作プロダクションの白組が3DCGを手がけ、
映画「バクマン。」やドラマ「エルピス 希望、あるいは災い」の
大根仁がアニメーション作品の監督に初挑戦。
詳細ストーリーに関しては公式HPまたは下記予告をご参照ください。
本作についての素晴らしさ *ネタバレあり
*以下ネタバレありますが、興味があり、何もインプットしたくな方は、劇場に足を運んでください(きっと素晴らしいハズ!)
大人が観ても楽しめると定評のあるクレヨンしんちゃんの映画シリーズ。
当初は子どもに観せよう&きっと大人も楽しめるっしょ!?
大根監督だし気の利いていることするでしょ!?
と軽い気持ちで観に行ったら、、、しっかり涙してしまいました。
個人的にZ世代以下の若者や子どもたちにとっては
繰り返しになりますが
映画『君たちはどう生きるか』より
「君たちはどう生きるか」ではないかな?
と思います。
本作はギャグアニメの皮を被りながら
世代による雇用格差問題、政治家の問題の先送り、限界都市…
日本の構造的課題や制度疲労、展望の見えないオワコン感をテーマにしている。
その中で失われた40年を地でいく本作の登場人物である
非理谷充(CV:松坂桃李)の厭世感は非常にリアル。
その非理谷の行動は
アメリカの銃乱射事件、秋葉原無差別殺傷事件、某アイドルの事件…
実際の事件の土台が容易に想像できてしまう。
「エルピス」を制作していた時と同タイミングだったからか
クレヨンしんちゃんを土台にしつつも背後に大根監督の気概を感じます。
そんなネガティブな課題山積の日本の問題を直視させる本作なのだが、
本作はしっかり希望を誰にでもわかる言葉で伝えてる。
曰く
「仲間を大事にしよう」
「頑張るんだよ!
頑張れないなら誰かのために頑張れるような相手を見つけよう」と。
社会学者の宮台真司が理論をもって言っているメッセージを
野原家から伝えられ、それで涙する日が来るとは…と感慨深くなります。
大根監督作品の中でもなかなかの傑作だと思います。
クレヨンしんちゃんだし、3Dの質感に違和感があり
なめている方もいると思いますがオススメです!
特に若い子に観てほしい!!
本作の恐らく大根監督によるナイスな仕事
・恐らく大根監督がキャスティングしたサンボマスターの映画と合致した号泣モノの主題歌
・エンディング演出!泣いた!
*詳しくは劇場で!
・仁義なき戦いサンプリング及びシン・エヴァサンプリング(世界系的な話、クライマックスの戦い方)
*詳しくは劇場で!
・雑誌『ムー』ネタ!
・本作でかかる深田恭子『キミノヒトミ二コイシテル』使い!
文・写真 北米のエボ・テイラー
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