【芸術の秋】 おうちでアート鑑賞できちゃう「VR美術館」をピックアップ!
アートへの関心がひときわ高まる “芸術の秋” 。テクノロジーが発達したいまの時代には、おウチにいながら、インターネットでアートを楽しめるサービスが充実しつつあることをご存知でしょうか?
今回は美術に造詣の深い原広信先生に、ネットのデジタル空間上で楽しめるVR美術館を3つピックアップしていただき、その見どころを解説していただきました。
進化を続ける! VR×美術の世界
こんにちは、専門学校日本デザイナー学院東京校講師の原広信(はらひろのぶ)です。このコラムでは、ご自宅のインターネットで美術鑑賞を楽しめる、いわゆるVR美術館サイトをご紹介します。
まずVR美術館とは、デジタルの仮想空間内に展示室を備える美術館を構築し、そこに様々な美術品を展示することで鑑賞が可能となるデジタル空間のことです。
現在ではすでにこのVR美術館での作品鑑賞を前提として制作されたデジタル作品も多くあります。そこではVR用のゴーグルを着用することで、3次元での体験型作品鑑賞ができるだけでなく、作品と鑑賞者との相互交流によって作品自体が能動的に変容するといった現代アートもあります。
また今後もVR環境の向上とともに、作品の展示にとどまらない鑑賞者参入コラボレーション型アート作品への発展に期待が高まっています。
とはいえ本コラムでは、いきなり最先端の紹介ではなく、既存の美術館に所蔵されている作品をデジタル空間(パソコンやスマートホンといった端末)で鑑賞するタイプのVR美術館に限定してお話を進めたいと思います。まずは導入編といきましょう!
1. 東京国立近代美術館
皆さんもGoogleマップはよく利用されると思います。カーソルや自分の指を動かして、関心のある地域の画像を360度見られる機能はご存知の通りです。
ここで、VR美術館の一例をご紹介します。実際に存在する美術館である、東京国立近代美術館です。こちらは東京メトロ東西線 竹橋駅にほど近い皇居のお堀のそばに立つ美術館で、大きな企画展も開催される都内の主要な美術館のひとつです。
サイトを開くと、画面の中にこの美術館が所蔵する作品画像が並んでいます。これら常設展示されている作品を鑑賞しつつ、館内の展示場所を紹介する目的で作成されていますので、実際の美術館に来館する前に、この画面で擬似鑑賞してみることが可能になっています。スマホを持参していれば、鑑賞したい作品の場所までの移動を比較的早く行えるといった活用法もありますね。
サイトで鑑賞できる作品の例を一点ご紹介します。
この作品は竹内栖鳳という日本画家の素描(クロッキー)です。蛙同士が相撲をしている様子が手早いタッチで描かれています。ポーズがユーモラスですね。こうした作品を来館前に事前に鑑賞することに活用できますよね。
2. マスプロ美術館
ではここから「浮世絵・陶磁器」と「前衛芸術」の美術館を紹介します。試しにググってみましょう!
次にご紹介するのは「マスプロ美術館(MASPRO ART MUSEUM)」です。この美術館は愛知県日進市にあるマスプロ電工株式会社というアンテナなどを製造する企業内に設置された美術館です。
この美術館もインターネットでカーソル操作で所蔵展示作品を鑑賞できます。浮世絵に関心のある方、陶磁器に興味のある方にはオススメです。
マスプロ美術館についての概要はこちらもご参照ください。
■参考:
Aichi Now(愛知県公式観光ガイドHP)
3. ルーブル美術館
3つめの「ルーブル美術館」(Musée du Louvre / Rue de Rivoli, 75001 Paris, France)は、かのフランスのパリ1区にあります、世界有数の美術館。皆さんも有名なのでご存知だと思います。
こちらのサイトでは、オンラインツアーとして、ルーブル美術館バーチャル鑑賞ツアーが用意されています。実物のルーブル美術館はとにかく大きな建物(元は宮殿)でコレクション数も膨大なので、こういうバーチャルツアーがあると便利ですよね。
このツアーで鑑賞できる所蔵作品の例をひとつ、ご紹介します。何種類かあるバーチャルツアーのうち、「プチギャラリー(Petite Galerie)」というコースに登場するものです。
こちらを描いたのは古典主義と呼ばれる画家の一人で、この油彩画はパリを包囲したフランス王アンリ4世(のちに「良王アンリ」と呼ばれる)が市民のために食料を持ち込むことを容認する場面と言われています。※下線部引用:Wikipedia アンリ4世 (フランス王)
このVRサイトでは、作品そばにある赤い「 i 」のインフォメーションアイコンを押すことで、クレジット(作品情報)を確認することができます。
とにかく広くて迷ってしまうこと間違いなしですが、一人で美術館探検をしたい方にはオススメですよ!
おまけ. 川崎市岡本太郎美術館
最後に、いわゆるVR=仮想空間からは少し離れますが、神奈川県川崎市にある川崎市岡本太郎美術館のWebサイトもご紹介します。本サイトでは、あの岡本太郎の豊富なアーカイブを鑑賞できるんです。
岡本太郎は大阪で1970年に開かれた日本万国博覧会で「太陽の塔」をデザインした日本の前衛アーチスト。渋谷駅のランドマークとして知られる巨大壁画『明日の神話』の作者でもあります(この作品は2023年10月より大規模改修中)。
本サイトでは常設展示されている絵画やオブジェ作品のほか、期間限定ですが企画展の作品なども鑑賞できます。
『芸術は爆発だ!』と語った岡本太郎のエネルギッシュな作品をご自宅で堪能できる本サイトは、パワフルな作品に興味のある方にオススメですよ。
美術館の “予習” に、VR美術館を活用してみよう!
以上、いろんなサイトをご紹介してきました。
実際の展覧会を観覧するには、入場料(チケットの購入)やその会場までの交通費が発生します。ですので、こうした興味のある美術館に出かける前に、バーチャル空間で館内環境とともに作品に接しておくといいでしょう。美術鑑賞を何倍も楽しくさせてくれるツールとして、バーチャル美術館を活用してみてはいかがでしょうか。
文・原広信(専門学校日本デザイナー学院講師)
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