Maison & Objetの舞台②

インテリアのパリコレと称される「Maison&Objet」。
第1回に引き続き、「Maison & Objet」が期待の若手デザイナーを表彰する「Rising Talent Awards 2022」に選出された岩元先生にお話を伺った。

Maison & Objetの舞台➀

 

―現地で感じたことを教えてください。
今回の作品は私たちが家具量販店で普段目にする一般的な家具製品ではなく、あらかじめ制作する個数を決めたリミテッドエディションの形を取っており、機能面だけでなくそのものの美術的価値も評価対象となり、ターゲットも一般消費者ではなく、主にアートギャラリーや美術館、コレクターとなります。

近年欧米では、絵画や写真だけでなく家具も美術品の一部ととらえ、斬新な発想から生まれる彫刻作品のような家具や日用品を制作するデザイナーが増えております。これまで私たちはアーティストとデザイナーの作品を異なる領域のものと区別してきましたが、海外のコンテンポラリーデザインの流れからはこの領域を行き来するような作品が生まれており、家具は機能性のある美術品である、と言った見方が徐々に浸透してきています。

そのような作品に焦点をあてた国際家具展やデザインギャラリーも増えており、特にロンドンやパリでは、最新の作品を取り扱うギャラリーが多くあります。

嬉しいことに、展示期間中パリに拠点を置くギャラリーの関係者やコレクターの方々にお越しいただき嬉しいお話もいただくことができました。

 

―なるほど。日本ではどうなんでしょうか?
日本では政府によるコロナ対策の長期化により、展示会のように大勢が集まるイベントの開催が難しい期間が続いておりますが、パリでの展示を通して自分の制作したものを直に大勢の方に見て触れてもらい、お客さんの反応を直接感じることがいかにデザイナーにとって大切で、いかにそれが作家のモチベーションになっているか、身をもって感じました。

それは鑑賞者にとっても同様なことが言えます。特に家具や生活用品は、そのモノを見て触れて使い心地を試すことで初めてモノの良さが見えてきます。加えて、展示会では作品や製品が生まれる背景を作者から直接聞くこともでき、写真を見たり記事を読むだけでは得られない体験や気づきを得ることができます。デザイナーにとって、良い製品や作品を実際に触れて感じる経験の蓄積こそが観察眼や想像力を鍛える方法であり、その経験値こそが造形力の源となります。

日本でもパリと同様に、展示会やデザインイベントが以前のように行なわれる日が来ることを強く願います。

 

◯プロフィール
岩元 航大
鹿児島県生まれ。2009年神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科入学後、デザインプロジェクト「Design Soil」に在籍し、イタリアのミラノ・サローネやフィンランドのハビターレ等、海外の展示会に多数参加。
卒業後、スイスのローザンヌに移り、Ecole cantonale d’art de Lausanne(ECAL)のMaster in Product Designに進学。
卒業後、東京を拠点に国内外の企業と製品活動を進めつつ、精力的に作品制作を行なっている。

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