自然物モチーフのロゴマークを集めて〈考察〉してみた。
自然物モチーフのロゴマークから、その造形に対してどんなデザインが考えられているのか、〈考察〉をしてみました。
〈考察〉なので個人の主観のもとで書かせていただいております。ご了承ください。
モチーフ:アルプス山脈
フレンチアルプスの麓の町、エビアン・レ・バンの湧き水がスタート。
〈考察〉アルプスの山の影になった部分だけグレーで描かれているだけだが、山の立体感が伝わってくる。山の形はすべて直線で描かれて、シャープな角が現れている。このシャープさが、水がクリアで品質の高さの印象につながる。硬水の質感も同じくつながる印象。
モチーフ:椿(つばき)
1915年、初代社長である福原信三氏が原案デザイン。現在の形に整えたのは山名文夫氏(日本デザイナー学院初代校長)。当時女性に人気だった髪油「香油 花椿」という商品が原点。
〈考察〉均一な太さのラインで描かれ、すべてにおいて気持ちのいい曲線を感じる。花びらと雄しべ・雌しべの形状が、シンプルに構成されているにもかかわらず椿らしさを感じる素晴らしい形状。別々の方向を向いた椿の花、同じ向きだが少し自由さを感じる葉のレイアウトのコントラストが印象的で、込められた意味への想像を掻き立てる。なめらかな十字の二重枠線が高貴な印象につながる。
モチーフ:リンゴ、ブドウ、スグリ
起業当初、販売員の女の子がラベルに描いたリンゴが人気に。「フルーツ」は実を結ぶ、「ルーム」は織り機の意味としてシンボル化。聖書の「胎の実り」の意もある。
〈考察〉均一な黒のラインで描かれ、色彩は鮮やか。リンゴが主役として印象強く構成されている。アメリカ人の日常、ベーシックアパレルな存在として可愛くポップで接しやすい印象に構成されている。果物の自由なレイアウトだが中央に重心があり、影は水平のラインで表現されていて安定感を感じる。影の水平ラインは刺繍で表現する際にキレイに表現されそう。リンゴだけハイライトの位置が違うのはヘタがあるからか?
モチーフ:かじられたリンゴ
ニュートンがリンゴから「万有引力」を発見したように、科学者の言い伝えにある「リンゴが頭の上に落ちると素晴らしいアイディアが浮かぶ」から。
(「リンゴ=知恵の実」「かじる=bite」「データ数値=byte」を掛け合わせた説は作り話。かじられたのはリンゴらしいシルエットにするため)
〈考察〉よく黄金比を重ねられて「美しいロゴ」として社会的に認知されているが、シンプルで気持ちの良い曲線、そしてシャープさもある、本当に美しいロゴだと感じる。重心が中央より上にあるが、色面の重さもあり安定して見える、退屈な感じがしない。デジタルな商品にリンゴマークという、単純な連想ではつながらない要素がストーリーを想像させる。
モチーフ:雲
インターネットのクラウドがサービスのベースであり、音の波形と組み合わせて作られたロゴ。
〈考察〉雲のシルエットと音の波形が組み合わさり、サービスをそのまま視覚化したストレートな構成。波形の数は少なすぎてもそれに見えず、多すぎても邪魔になる、丁度よい数。インターネットサービスは情報やスピードを印象付ける「寒色」が用いられることが多いが、温かいオレンジ色で構成されていることが「音楽」の持つ性質とマッチしている。
モチーフ:雲
〈考察〉雲を表現する極めてシンプルな形状。3つのブルーのコブが組み合わさっているような構成。どこか無限大を表わすインフィニティマークも見えてくる気がする。鮮やかなブルーが誠実な印象で、情報の正確性が表れているように感じる。
モチーフ:ホタテ貝
石油などのエネルギーの以前に、貝殻を素材として輸出していたことが会社のスタートだったことに由来。
〈考察〉ホタテ貝の形状、特徴的なラインが、見事にエネルギー産業らしく構成されている。集中線のように見えるシャープなラインは爆発的なエネルギーの力強さにも見え、そのイエローの端の形状もただのラインの接地ではなく、膨らみが作られていて、ここもエネルギーらしいふくらみを感じる。ちょっとした下向きのふくらみ部分が実はこのロゴの重要な特徴になっている気がする。
モチーフ:カモミール(花)
画家のサルバドール・ダリがオリジナルを制作。「chupar」はスペイン語で「吸う」の意味。
〈考察〉一見では「花」を理解することはできないが、そのシルエットとフチの3重のラインがとても華やかでポップな印象がモチーフである花の概念につながっている気がする。外側のベージュなような色がゴールドのようにも見え、華やかさとゴージャスさ、しかしその他のポップな色彩と形状で可愛らしくまとまっている。曲線と鋭い角のマッチが印象強い。書体も太く、品の良さではなくキュートな力強さを感じる。
PicoN!編集部 横山