東京メトロのラインカラーの不思議。こんなにも色がカラフルなワケとは

「東京ってなんでこんなに路線が多いの!!」
そんなことを思ったことがある方も少なくないはず。

筆者も実は4月に上京し、何度も何度も乗る電車を間違えました。東京の電車は慣れるまで大変ですよね。

東京を走る路線といえば「この路線はこの色!」といった、各路線を象徴するような色が思い浮かびます。
例えば銀座線だとオレンジ、丸の内線だと赤などといったものが挙げられますね。

あの色ってどうやって決まっているのでしょうか、、、?
どの路線マークの色にも重複がなく、色鮮やかな東京メトロの路線マークの謎に迫ります!

今回は鉄道に詳しい、NPIの鉄道カメラマン 伊藤純一さんに、その真相についてインタビューして聞いてみました。

 

ー東京メトロの路線マークの色(ラインカラー)には何か由来はあるのでしょうか?ー

そもそもラインカラーは1973年の駅の案内看板(サインシステム)の導入の取り組みの一環として始まりました。
サインシステムは地下鉄に不慣れなお客様がスムーズに駅構内を移動できるように導入されたもので、そこから数ある路線の見分けがつきやすいように色で区別されるようになったと言われています。
出典:2015年3月17日更新 東京メトロニュースレター「サインシステム基準改正編」より

銀座線、丸の内線、日比谷線、東西線、千代田線はラインカラーが導入される段階で開通していた線だったので、それまで親しまれていた電車の色を活かしつつ、このような由来があると言われています。

 

銀座線(オレンジ):銀座線の電車に塗られていた色から。当初の電車の色は明るい黄色で、ドイツ・ベルリンの地下鉄に範をとったものだったが、塗っていくうちにどんどん濃くなってしまい、オレンジになったと言われている。

丸の内線(レッド):地下鉄建設調査でロンドンに行った営団関係者が見た、タバコの包装の色を参考にして赤になったと言われている。

日比谷線(シルバー):日比谷線に最初に投入した車両がステンレスの車両で銀色だったことから。実際には表現が難しいので、印刷ではグレーになっている。

東西線(スカイ):当時の電車に路線別の色付きの帯を入れる際に、当時の理事からタバコのハイライトの青にするよう指示があったからだと言われている。

千代田線(グリーン):千代田という言葉や日本庭園から連想された色から。また乗り入れ先の常盤線の国電の色に似せたとも言われている。

ラインカラー導入後に開通した路線はこんな由来があります。

有楽町(ゴールド):池袋や有楽町の華やかな街のイメージから付けられたと言われている。実際には表現が難しいため、印刷では黄色になっている。

半蔵門線(パープル):他線と被らない色で、分かりやすい色。

南北線(エメラルド)他線と被らない色かつ、沿線にある日本庭園のイメージから。

副都心線(ブラウン):他線と被らない色で、分かりやすい色。

 

ー他の色と被らない色で、分かりやすい色、、意味付けがないような路線もあるんですねー

ラインカラーを使っているところでいうと、都営地下鉄もありますよね。
東洋経済ONLINE“銀座線はなぜオレンジ?地下鉄「路線色」の謎”の記事内では、営団地下鉄の歴史をまとめた『営団地下鉄五十年史』の一部が紹介されていて、その本によると東京メトロと都営地下鉄は路線マークの色と記号が被らないように覚書を交わしているんです。
なので、都営地下鉄のラインカラーとも被らないようになおかつ誰もが見ても分かりやすい色を採用しなければならなくなったんですね。
確かに路線図に同じ色の路線があると利用者にとっても分かりにくいですよね。
参考:東洋経済ONLINE『銀座線はなぜオレンジ?地下鉄「路線色」の謎』https://toyokeizai.net/articles/-/243510?page=2

 

ーそもそもラインカラーを取り入れるメリットって何なんでしょう?ー

1番は誰が見ても分かりやすいことじゃないでしょうか。
最近はインバウンドで海外の方もたくさん日本へいらっしゃるので、そのような方にもすごく伝わりやすい表現方法だと思います。
普段、鉄道写真を撮るので駅はよく利用しますが、ラインカラーはその線のイメージカラーにもなります。
なので文字が見えなくても、その色を目で追っていけば自然と改札まで辿り着いてしまうなんてこともあるので面白いですよね。

 

なるほど!ありがとうございました。

他のエリアの路線も調べてみた!

じゃあ他のエリアはどうなの?
気になった筆者、調べてみると大阪メトロにもラインカラーが導入されていました。
しかし、色の決め方は東京と少し違うみたいです。
東京よりも「意味付け」に注力し、そこから色が採用されていると言われています。

御堂筋線(臙脂色):御堂筋線が大阪の大動脈を表すことから赤色になったと言われている。

 

長堀鶴見緑地線(萌黄色):鶴見緑地で開催された花博のアクセス路線としてふさわしい黄緑

四つ橋線(縹色):御堂筋線より海側を走っている、御堂筋線の大動脈(赤)に対して静脈の青

出典:Youtube「Osaka Metro公式チャンネル」2023年6月29日(木曜日)公開「これを知ってたらOsaka Metro 通!路線カラーの秘密」より

 

東京メトロはラインカラーが導入される段階で既に開通していた線も多かったので、人々のイメージを崩さないよう、それまでの電車の色を取り入れたラインカラーが採用されていました。一方で、大阪メトロはラインカラーを決める際には意味付けを重視し、路線の色を設定しているような感じですね。

まとめ

ラインカラーには由来があるもの、色が重複しないように採用されたものなどさまざまでしたね。
またラインカラーの由来も当時の人々の思考に影響されていたのが印象的でした。

色だけでその路線をイメージできるという点は利用者にとっても便利なことですよね。
だからこそ、誰にでも伝わりやすい色を採用することがとても大切だと実感しました。

誰しもが利用する公共空間では情報がシンプルに伝わることが重要なので、そう考えると1番適した公共デザインだと感じました。

 

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取材協力:伊藤純一
文:PicoN!編集部 河野


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