【展示レポ】日本の書体のスタンダードの一つ「明朝体」の歴史と魅力を 紐解く企画展「明朝体」
こんにちは。PicoN!編集部です。
デザインの現場で欠かせない存在といえば、やはりフォント。皆さんはどれくらいの種類を知っていますか?
その中でも、日常的にもっとも目にしている書体のひとつが「明朝体」ではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、そんな身近な明朝体にフォーカスした『企画展「明朝体」』。
こちらは大日本印刷株式会社(DNP)が運営している活版印刷と本づくりをテーマとした文化施設「市谷の杜(いちがやのもり) 本と活字館」にて開催されており、明朝体がどのように生まれ、どんな歴史を歩み、どう発展してきたのかを知ることが出来ます。
まさに普段は意識しない“文字の裏側”を知れる企画展です!
また、本企画展では「明朝体ってこんなに種類があったの!?」と驚くほど数々の種類に出会うことができます。
今回は本展示を企画した大日本印刷株式会社の飯塚さんに企画展の見どころをご案内いただきながら、筆者が特に魅力的だった明朝体をご紹介いたします!
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明治以降から続く、ながいながい明朝体の歴史
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企画展に入るとまず見えるのが、明朝体の歴史を辿る長い年表。
飯塚さん曰く、「明朝体」は“水や米”に例えられるほど明治以降から人々の生活に根付いた書体なんだとか。
年表には明治から現在までに生まれた様々な明朝体がズラリ。
活字や写植のアナログ時代から、パソコンの普及で一気にデジタル化が進んでいく流れまで、知ることができました。
時代の景気や制作方法の変化が、新しい書体の誕生につながっていく様子も分かって、「文字ってこんなに時代とリンクしてたのか……!」と驚きの連続。
明朝体がどう進化してきたのかが一気に見えてくる内容で、年表を見るだけでもとても見応えがありました。
活字とは?
活版印刷で使用する文字の型のこと。鉛などで作られた小さな字型を一文字ずつ並べて組み合わせることで、文章を印刷できるようにしたものを指します。活字を組み合わせ、インクをつけて印刷する手法を「活版印刷」(かっぱんいんさつ)といいます。
写植とは?
「写真植字」の略。写真技術を使った植字方法で、文字を印画紙やフィルムに焼き付け、文字を写し出す方法。
魅力的な明朝体をセレクトしてみました!
貂明朝(てんみんちょう)
明朝体ってちょっと硬いイメージがありますが、貂明朝はその中でも“かわいさ”がある書体。イタチ科の動物・貂(テン)をモチーフにした、曲線的なやわらかいフォルムが魅力的なフォントです。
横も縦も太さがほぼ同じで、止めやはらいも丸っこいので、全体的に柔らかくて女性らしい雰囲気があります。loveだけ、動物の貂(テン)の絵文字になるように設定されているんです。ご存知でしたか?
江戸時代の書物を参考に作られているので、筆文字っぽい味わいがあるのもポイントです。
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ヒラギノ明朝体
デジタルフォントがまだ広く使われていなかった時代に登場した書体で、なんと作り方はアナログ。手書きで作られていたそうです。
展示されている資料もすべてアナログ制作のもので、思わずじっくり覗き込んでしまうほど味があります。
スタイリッシュで美しい印象がありつつ、写真や図版と組み合わせても邪魔をしないシャープさが魅力。
雑誌や図録でも使いやすい、洗練された雰囲気の書体です。
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岩田明朝
飯塚さんイチオシが、この岩田明朝体。
活字の時代から多くの人に親しまれてきた明朝体で、活字ならではの“いい意味で整いすぎていない”ところが魅力なんだそうです。文字を並べると少しバラつきがあって、デジタルフォントにはない人間味が感じられるのもポイント。
当時の書物にもよく使われていて、読みやすく、どこか安心感のある雰囲気をつくってくれます。
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ほかにも、活字・写植・デジタルフォントが生まれるまでの流れを学べるブースも。
なんと、明朝体のおみくじまで引けちゃうんです!
1階の常設展では、当時使われていた機械や部品を見ながら、活字がどのように作られていたのかを知ることができます。
デザインに欠かせないフォントの魅力をぜひ体験してみてくださいね。
『企画展「明朝体」』は5月31日(日)まで
1階のカフェでは期間限定でラテアートで明朝体が楽しめます
《展覧会情報》
『企画展「明朝体」』
会期:2026年2月21日(土)~5月31日(日)
時間: 10:00~18:00 月・火休館(祝日の場合開館)
会場:「市谷の杜 本と活字館」2階展示 (新宿区市谷加賀町1-1-1 大日本印刷株式会社 )
料金:無料
公式ホームページ
取材協力:大日本印刷株式会社
取材・撮影/PicoN!編集部 河野・市村
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