巨匠〈ソール・バス(Saul Bass)〉ロゴデザインを読み解く。
皆さんは
ソール・バス(Saul Bass)
という人物をご存知でしょうか?
〈Saul Bass/1920-1996/アメリカ〉
1950年代から活躍したアメリカのデザイナーで、映画のタイトルデザインの第一人者と言われているのですが、それだけでなく、彼は実に多くの素晴らしい企業ロゴも手がけています。
今回はソール・バスがデザインしたロゴをいくつかご紹介したいと思います。
ロゴデザインの世界はとても難しく、
独自性があること
シンプルで時代に左右されない強さがあること
見る者の想像力をかきたてること
など、多くの条件をクリアしなければいけません。
その点、ソール・バスのデザインは見事にそれらを解決し、企業の顔としてロゴを結実させています。
まずは
ミノルタ(現・コニカミノルタ)のロゴ。
見たことのある人も多いのではないでしょうか?
地球のような青い円の中に光を思わせる白いラインが5本入っています。
スケールが大きく、そして光学機器を扱う企業としての表情もしっかり感じさせます。
全体がレンズのようにも見え、様々なイメージを持つことが出来ます。
また、ロゴを縮小して使用したときに備え、中央の白いラインが4本のバージョンもデザインされました。
続いて
コーセーのロゴ。
これもお馴染みですね。
化粧品企業としての清潔さ、美しさが表現された傑作だと思います。
メイク道具のコンパクトが2つ並んでいるように見えますが、右側のコンパクトがコロンと転がるようなユニークな動きも感じます。
しかし、このロゴの最大の魅力は「2つのコンパクト」が、書道の筆の運びから連想してほしいのですが「K」を表しているところであると思います。
ここまでシンプルでありながら「多くのことを語る」ロゴは滅多に見れるものではありません。
最後は、これもご存知、
紀文のロゴです。
食品を扱う企業としての暖かさ豊かさを、ハートのような形から強く感じます。
ハートは三つ巴のようにも見え、日本の伝統的文様、家紋のような強さがあります。
強いと言っても「硬い」印象ではなくとても「優しさ」が表現されていると思います。
食を通じての人と人の繋がりや絆を大切にしている企業であるということが十分伝わってきます。
いかがだったでしょうか。
ソール・バスのロゴデザインを紹介しましたが、どれも企業の姿勢や性格を端的に表現しながら、多くのメッセージを見る者に語りかけるものであると思います。
これからデザインを学ぶ方々には、是非知っておいてほしいデザイナーの一人です。
彼のデザインはまだまだ多くの傑作がありますので、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。
文章/合田祥之 先生
編集/PicoN!編集部 横山