【ちいかわはなぜ人気?】漫画家にプロ目線で解説してもらった

ナガノさんによる漫画作品、『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』通称「ちいかわ」は、社会現象になるほどの超人気っぷり。

ちいかわに癒されている人も多いですよね?

かくいう私、PicoN!編集部の濱田もそんなちいかわのことで日々頭がいっぱいでして、今回プロの漫画家に「なぜちいかわはこんなにも人気なのか?」解説してもらう企画を思いつきました!
解説をしてくれたのは、専門学校日本デザイナー学院の講師として、キャラクターデザインやマンガ制作の指導を行なっている太田和敏先生です。

ちいかわファンはもちろん、これからちいかわを好きになる予定という方も必見です!

 

1.ちいかわには子どもにウケるキャラクターの法則が当てはまる

ドラえもんやピカチュウを想像してほしいのですが、子どもには角張ったものよりも、丸みのあるフォルムのキャラクターがウケるんです。
それと大事なのはカラーリングのシンプルさと線の少なさ。ちいかわは白とピンクの配色で非常にシンプルです。複雑な描き込みもないので誰でも描きやすいし、マネしやすいのが人気になるキャラクターの特徴と言えます。

 

あとは“直線がない世界”なのも魅力の一つです。
作者のナガノさんは漫画のコマ割りも手書きにしていて、ちいかわの世界には定規で引いたような線がどこにもないんですよね。
そのため顔の大きさが毎回微妙に違ったり、あえてカチッとしていない手書きの温もりを感じられる良さが出ています。

 

2.バランス感覚が物語を彩る―「ちいかわ」「ハチワレ」「うさぎ」の絶妙な役割分担

主役の「ちいかわ」と、隣にいる「ハチワレ」と「うさぎ」の役割分担がまたしっかりしてるんですよね。
キャラクターって必ず役割を考えてから作るのですが、表情や動きを通じて役割がしっかり表現されているし、メインで活躍する子たちのバランスの良さが物語の深みを生んでいます。
ちいかわはしゃべれない分、豊かな表情で感情を表現しています。笑い上戸の反面びっくりするとすぐに泣いてしまうところとか、見てて飽きないですよね。

 

表情をコロコロ変えるには、まゆげの描き方も重要なのですが、その点まゆげが絶対に動かないのは「うさぎ」です。うさぎは動きと奇声で表現するからです。
うさぎは話のアクセントになるような、トラブルメーカーの部分もあって、何かしら重要なイベントをもってきてくれる役割を担っています。それに加えてうさぎって、賢くて運動神経も良くてスペックが高いところも良いんですよね。

 

ストーリーテラーの役割を担うハチワレですが、しゃべれるので状況の解説をしてくれます。話を前に進めるためにはなくてはならない存在です。
みんなでちいかわを盛り上げるバランスの良さが完璧ですね。

 

3.食事シーンが良すぎる…大人もハマるファンタジーな世界観

食べ物が湧いてくるなどのファンタジー要素や、「キメラ」の存在など闇深い側面もあるちいかわ。
大人たちも楽しめるストーリーが展開されていて、続きが気になるので考察ができるところもポイントです。
例えばワンピースにも考察マニアがいたり、大人はそんな風に漫画を読むのでそこも人気の理由ですね。

 

ちいかわには良く食事シーンが出てきますが、売れてる漫画って食べるシーンが必ずあります。
なので私が授業で学生に必ず教えているのは、”食事シーンを描く”ということですね。ファンタジー・SFもの、どのジャンルでも必ず食事シーンってあって、生きる上で欠かせない行為ですからね。

 

そんな“食事シーン”を通しても、生きることの表現をちいかわではしっかり描かれているのも魅力です。
ちいかわとハチワレはちゅるちゅる食べて、うさぎは豪快にガツガツ食べるから美味しそうだな〜って思いながら見ちゃいます。
ほんとに食べてる姿がみんな可愛い。

 


いやーもっと語りたいことはあるのですが、今回はこの辺で…。
最後に…ちいかわのストーリーを読むときに考察を立てて楽しむのももちろん良いですが、まずは見たまんまのちいかわ達の世界を楽しんだ方がおもしろいと思います。

みなさん、今日も素敵なちいかわライフを!

 

太田 和敏
平成12年9月よりブリティッシュオブコロンビア大学ELIコースに1年間留学。平成17年12月「ボンボンニューアーティスト大賞」奨励賞受賞、平成18年「第1回ボンボン漫画大賞」佳作受賞。平成19年6月「第66回赤塚賞」最終候補。平成28年4月より専門学校日本デザイナー学院講師となる。コミックイラスト科、マンガ科を担当し、CLIP STUDIOのソフトでの制作指導をしている。

 

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