【アナログイラスト初心者向け連載】第5回~水彩応用編~
前回の基本のテクニックはいかがでしたでしょうか?
前回は水彩の最も基本となる均一に塗るテクニックや、にじみやぼかしの技法を紹介しました。
今回は新たに5つの技法について、お伝えします!
これらのテクニックはあくまでも例として挙げますので、ご自分の絵をどう表現し、どのテクニックで塗るか、イメージしながら読み進めていただけたら幸いです。
どうぞ、最後までご覧ください。
➀かすれの技法
かすれたタッチは、紙の表面の凹凸を利用し、さまざまな質感表現ができます。
書道でも勢いよく筆を運んで、ダイナミックに字がかすれている作品がありますね。
ここでは3つの使用例を紹介します。どれも始めに、絵の具をつけた筆をパレットの縁でしごくか、絵の具を含ませた筆の穂先を指でつぶし広げます。
1.紙の目を生かす
筆を寝かせてゆっくりと動かすと、紙の表面の凹凸でかすれたタッチになり、光の反射の表現になります。
2.筆の刷毛目を生かす
筆を立てて穂先をゆっくり動かして、長めのストロークにすると髪の毛や動物の毛を描くときに使えます。静物画などで木の板の、木目を描くときにも使えます!
3.筆の毛先を生かす
穂先を立ててチョンチョンとリズミカルに筆を動かしタッチをつけていくと、草の茂みや短い毛の動物の毛並みを表現できます。
②スパッタリングの技法
絵の具をたらしたり飛び散らせたりして、不規則な絵の具の点々で模様を表現します。
絵の具は十分に筆につけるとポタポタたらすことができますし、硬い筆を弾くと細かく飛び散ります。4種類、紹介します!
1.ドロッピング
筆にたっぷりと絵の具を含ませたら、指で筆を絞るようにしてたらします。
大きな水滴が落とせます!
水彩紙から数センチ〜数十センチの高さまで、筆を上げてみてください。
2.スパッタリングⅠ
筆にたっぷりと絵の具を含ませたら、筆を勢いよく振ります!
筆に含ませた絵の具を飛ばす方法です。中くらいの大きさの水滴が落とせます。
3.スパッタリングⅡ
歯ブラシに絵の具をつけて、絵の具を指で弾くようにして飛ばす方法です。ナイロン筆よりも、歯ブラシの方が細かい霧状の水滴になります。最も細かい模様になります。
4.スパッタリングⅢ
弾力のあるナイロン筆や自分の指につけた絵の具を弾き飛ばす方法です。弾いた方向に勢いのある飛沫ができます。
③ひっかき・スクラッチ
水彩絵の具を画面に塗り、乾く前に水彩紙を鋭利なものでひっかくと、凹んだ傷口に絵の具が入り込みます。力を入れて水彩紙を凹ませるイメージを持つと上手くいきます。細い筆で描いた線とは異なる、力強い線がひけます。
1.水分多めの絵の具で塗る
2.乾く前に筆の後ろの部分や定規など、硬くて尖ったもので傷をつけるように描く。
3.よく乾かす。
④白抜き・マスキングの技法
マスキングインクを使う方法とマスキングテープを使う方法と、2パターン紹介します。
マスキングインクには、ボトルタイプとペンタイプがあります。
マスキングインクの材料はゴムでできていて、ゴムが乾いて水彩を弾く仕組みになっています。
ボトルタイプを使う場合は、筆にゴムがつくと取れなくなるため(私は何本もダメにしました・・・)使用する筆を痛めないようにあらかじめ石鹸をつけておくのがポイントです。
マスキングテープはどんな太さのテープでも大丈夫なのですが、粘着が強いと水彩紙を痛め付けたり破れてしまうので、あらかじめ服や腕に一度テープを貼って剥がして粘着を弱めることがポイントになります。マスキングインクやペンは細かいところに適しているのに対し、マスキングテープは広い面積や、画面の縁取り(白枠)に適しています。
マスキングインクの場合
1.白くしたいところにマスキングインクを置く、もしくはマスキングペンで描く。
2.ドライヤーでよく乾かす。
3.マスキングインクが乾いたら水彩で表現していきます。
4.絵の具がよく乾いたら表面を軽くこすり、マスキングを取る。
マスキングテープの場合
1.画面が乾いていることを確認して、白くしたいところにマスキングテープを貼る。
このときカッターで形に沿ってカットしても良い。
2.上から水彩で表現していきます。
3.絵の具がよく乾いたのを確認して、マスキングテープを取ります。
⑤スタンピング
画面に豊かな表情を与えてくれる質感を増やしてみましょう!
スタンピングはさまざまな素材のものをスタンプすることです。
身近なもので質感(テクスチャ)を増やすことは、筆では表現できない偶然性を活かしたタッチになります。私は綿棒やスポンジは日頃からよく使用しています。
・しわくちゃに丸めたコピー用紙
・綿棒で水玉模様
・スポンジ
・ガーゼ
・タオル・テイッシュ
・サランラップ(ビニール袋)やアルミホイルを丸めて
・定規に絵の具をつけピリッと直線にする
・ひもやエアパッキン、ボトルキャップなどなど、スタンプになりそうなもの
スタンピングとは少し異なる視点なのですが、「塩」を上からパラパラとまくと・・・塩が絵の具を吸い込み、結晶がちりばめられたようになります!
「塩」は海外でも昔から風景画などに使われているベーシックな技法です。
粗塩だと結晶が大きくなりますよ。
スポンジやガーゼでもエフェクト効果ができますし、スパッタリングも組み合わせたりすると複雑で見所のあるきらめきにもなります。
最後に、トップの桜のイラストは、ここで紹介したテクニックを組み合わせて描いてみました。
どのテクニックか分かりましたでしょうか〜。
ぜひ自宅にあるもので、自分のイラストにきらめきを加えながら表現してみてくださいね!
池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。
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