【写真×相撲】キャリアは1つじゃなくてもいい!
大人になると、「好きなことがあるけど、今さらその道に行くのも……」とためらってしまうものですよね。
日本写真芸術専門学校(以下、NPI)には、全く別のキャリアから写真のプロを目指す人も少なくありません。今回は現役の力士であり、日本写真芸術専門学校の夜間部1年生でもある中嶋晃士さんにお話を伺いました。
中嶋さんは2021年にNPIへ入学。15歳から相撲部屋に入って力士として活躍してきた中嶋さんが、写真の勉強を始めたきっかけとは?
Q.現在の生活について教えてください
お昼は相撲部屋で稽古し、夜は学校で授業を受けます。
稽古は月曜日から土曜日で、学校は月曜日から金曜日。日曜日が完全オフの日です。
中嶋さんの平日のスケジュール
5:30〜11:30 朝稽古 その後、昼食
13:30 自由時間の間に撮影
16:00 掃除
17:00 学校へ向かう
18:30〜20:50 授業
21:45 帰宅、写真の編集作業など
0:00 就寝
Q.写真を勉強しようと思ったきっかけは?
元々写真が好きで、携帯やインスタントカメラで撮っていました。
ある時、同級生の力士がコロナで亡くなってしまったんです。
「もっと記録に残せば良かった」という思いから、本気で写真を勉強しようと思いました。
これまでずっと力士としてやってきて、そろそろ次のキャリアを広げようと思ったのもきっかけです。
Q.NPIを選んだ理由
夜間部があったことが大きいですかね。夜間の写真専門学校は少ないし、あってもどちらかというと映像制作寄りの学校だったので、自分のやりたいこととは少し違うかなぁと。
オープンキャンパスに参加したのは2021年の3月です。校舎がきれいで、しっかりした学校だという印象を受けました。
Q.入学する前の不安について
地方巡業(地方での取組試合)があって、その間授業に出られるか心配でした。
でも、授業も作品提出もオンラインでできるので問題ありませんでした。もちろん、学校に行ける時は対面で授業を受けます。
先生ともすぐに連絡が取れるので、特に不便に思ったことはありません。
Q.大人になってから専門学校に入ることに不安はありませんでしたか?
相撲部屋も下は15歳から上は40代までいろんな年代やキャリアの人がいるので、そういった環境には元々慣れていました。
Q.入学してそろそろ1年経ちますが、学校はいかがですか?
発表の場が多く、学生同士で作品の感想を言い合ったりするので刺激になります。
入学するまで作品を人に見せる機会なんてなかったので……写真をプリントするのも初めてでした。
あとは、先生たちが親身になってくれます!
それから、やっぱりプロから教えてもらって写真の撮り方も変わりました。今まで漠然と写真を撮っていましたが、写真集から学んだり、しっかり物事を見たり、考えながら写真を撮るようになりましたね。
Q.普段どんなテーマで作品を撮っていますか?
大きなテーマは「日本の文化」で、今は相撲取りをテーマに稽古や私生活を撮影しています。
シルエットや「いいな」と思った構図を意識して撮っています。万人に分かりやすい作品だと思います。
稽古の時間の他、空いた時間や休みの日も、時間があれば四六時中撮っている感じです。
Q.2年生になったらどんな作品を撮っていきたいですか?
夜間部では、2年次に4つのゼミから1つ専攻します。
今は、コマーシャルフォトゼミかファッションポートレートゼミで迷っています。元々物撮りも好きですし、浴衣など日本の衣装を撮りたいとも思うので……
コマーシャルなら本格的に広告写真を学んで、ファッションなら行司や相撲取りを撮っていきたいです。
あとは、学生のうちに展示も開きたいと思っています。
Q.将来の夢や目標を教えてください
元スポーツ選手を撮影して、話を聞いて作品を作っていきたいです。
それから、相撲取りや日本の衣装など、日本の文化を世界に発信したいとも思っています。
インターネットで発信する他に、海外でも展示を開きたいです。
力士と写真専門学生を両立する中嶋さん。
忙しいスケジュールにも関わらず「時間があれば四六時中写真を撮っています」という言葉に、本当に写真が好きなんだなと感じました。
「好きなことに挑戦したいけど、今のキャリアを手放したくない」
「仕事と両立できるか不安」
そんな方にとって、中嶋さんの姿は励みになるのではないでしょうか。
文・ライター山岸