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自分の作品を守るために!クリエイターが知っておくべき権利と法律ー写真編ー

著作権ってなに

『著作権』(copyright)と訊くと何のことと君たちは思うかもしれません。

しかし、実はごくごく身近な事なのです。

映画や、ライブを観に行った時、撮影禁止の注意書きやアナウンスを聞いたことはありますよね。もし、それらオリジナルの著作物を撮影して自分のSNS等も含めて公表したとしたら、明らかに著作権違反になります。元々の映画やライブは楽曲も含めて著作権で保護されているからです。

君たちが、今まで撮ってきた写真や描いてきたイラスト、詩なども全てあなた自身の著作物です。表現にはプロもアマチュアも関係ありません。ただ、この場合の著作とは作者自身のアイディアも含めた創作物であると言うことが前提条件となります。それを満たしたものが著作権等で保護されるのだと理解しておきましょう。今はスマホの普及もあって誰でも高画質な写真を撮れる時代です。ネット上は膨大な情報で溢れかえっています。自分が一生懸命描いた絵や写真が、違う人の名前で出ていたら嫌ですよね。ましてや本来自分の作品なのに、他の誰かの名前でどこかの賞や金銭を得ていたとしたら、どう感じますか?

君たちは覚えているでしょうか?2020東京オリンピックでのエンブレム問題がありました。あの時はエンブレムを公表した当のデザイナーが、国外のデザイナーから「自分のデザインの盗作である」として著作権侵害で訴えられて大きな問題となりました。

他者の著作物を勝手に使ってはいけない。これが『著作権』のルールです。クリエイターを目指している君たちも厳守すべきことです。単刀直入に言えば安易にコピペをするな。また、コピペした作品を、勝手に使うなということになるでしょう。自らの著作物をネット上にアップする場合は、「©︎=○○○○」のように著作権情報を入れ込むのも一つの手段です。

また、著作権とは少し離れますが、人物等に関しては、肖像権があります。個人情報も含めてどんな人でも勝手に撮影、公表されることを拒否する権利(職務上にある公人は別)のことで、スナップ写真などでトラブルになることがあります。

こんなときどうする?事例紹介

写真家を目指す君たちが直面するであろう事例をいくつか記しておきましょう。

事例1
新宿のある公園で撮影実習をおこないました。集合地点でテレビドラマか映画だと思われる撮影の準備中でした。女優のMさんが一人で立ってスタンバイしていました。周りに撮影スタッフもおりません。学生の何人かがMさんだと気づき、望遠レンズで撮影しました。それに気づいたMさんが学生に向かって「撮らないでください!」と叫びました。
この場合はパブリシティー権(肖像権の一つで著名人などの肖像を勝手に使われない権利)の侵害に当たることもあります。ましてやその写真を商品利用したとしたら訴えられることもあり得ます。

事例2
ある学生は、有名テーマパークのキャラクターをアップでたくさん撮影しておりました。当人はお金を払って入場しているのだから自由に発表していいと考えていたようです。習作ですから、学校の内で提示しているうちはいいのですが、外部で作品として提示する場合は出典元の(テーマパーク名)等を明記すべきでしょう。多くのテーマパークやキャラクターには前述のパブリシティー権や著作権が付いて回るのですから。ちなみに当の学生は、その後しばらく、そのテーマパークでカメラマンをしておりました。

事例3
ポートフォリオ(写真集)を制作する授業での事です。一人の学生はゲームの中のCG画像を何カットもプリントして、自分の作品集としてまとめるつもりでいたようです。しかし、それは、自分の作品だと言えるのでしょうか?
この作品の中に君のオリジナリティーはどこにあるのだろうか?と問うたところ、その画像でまとめることはやめました。

事例4
「地域を撮る」という課題でしたが、友人のデータを借りてプリントして、それを自分の作品として提出してきた学生がいました。別の学生の写真と場所も時間帯も全く同じです。問えば、一緒に行ったといいます。しかし、やはりわかってしまいます。この事例では著作権も含めた、モラルの問題です。その学生には自分で撮ったという蓄積は何も残らないでしょう。

肖像権や著作権に関して、朝日新書『スナップ写真のルールとマナー』日本写真家協会編

こちらの一読をお勧めします。

 

君達にとっては、面倒で窮屈な話ばかりになってしまいました。

しかし、君たちには好きな写真や絵があると思います。こんな写真が撮ってみたい、あるいはこんな絵を描いてみたいと思いますね。その写真や絵をお手本として、それがどんな現場で撮影されているかを体感してみることは重要な事です。絵画でいう模写ですね。習作を重ねて行くことで技術を身に付けて行くことも多いはずです。ルールを守った上で君たちの表現の伸び代を広げていきましょう。そしていつかお手本を超えた作品を創り出していきましょう。

文:公益社団法人 日本写真家協会会員 倉持正実

倉持正実
1952年 茨城県生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。
広告代理店、コマーシャルフォトスタジオ勤務の後、‘80年フリーランスとなる。
コマーシャル撮影のかたわら、写真雑誌、総合誌等に作品を発表。
(公社)日本写真家協会会員
日本写真専門学校主任講師

 

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