新人クリエイターのリアルな話~ブライダル業界で働くフォトグラファー1年目~
大きな夢や憧れを叶えるために、まず社会に出てからどんな仕事をしているのかイメージを深めたい!という方もいるのではないでしょうか?
2021年にNPI(日本写真芸術専門学校)を卒業し、株式会社一蔵で働く卒業生の伊勢谷颯志さんにリアルなお話を伺いました。
今携わっている仕事について教えてください
今はウエディング撮影のアシスタント業務とアルバム制作に携わっています。アシスタント業務は、カメラマンと美容スタッフ・コンシェルジュの間に入って情報を伝えたり、すぐ撮影ができるように会場の準備をします。ついこの前になりますが、3月6日にアルバム制作1段階目のプランを1人で任せてもらえるようになりました。1人で任せてもらえるようになるには、テストに合格しなければいけません。テストは現場マネージャーと撮影に入り、自分がメインで撮影をします。そのときの動きや撮影した写真を見て合否が決まります。
いつから写真に興味を持っていたのですか?ブライダル業界を目指したきっかけも教えてください
小学校6年生くらいから「写ルンです」で写真を撮っていましたね。中学生になってからは、父のデジカメを使っていました。高校1年生からは自分で一眼レフを買い、文化祭や体育祭などのイベントを撮っていました。写真を撮って、人に喜んでもらったことが嬉しかったです。第3者として写真を撮れるブライダルに興味を持ち始めたのもこの時期からですね。
姉もブライダル業界で働いていて、結婚式で流す動画を見せてもらったことがあります。それを見て、自分は写真が得意だからブライダルフォトグラファーを目指そうと思いました。
NPI在学中に、馬場智行先生の「写真表現論」という自分の写真にキャプションを付ける授業がありました。夢はブライダルフォトグラファーでしたが、写真で自分を表現するのが面白いなと感じ「写真家」にも興味がありました。先生から「7割はインスタとかに多い、❝大体の人が良いと思う普通の写真❞で、3割は❝見る人によって良い悪いが分かれる写真❞。その3割が写真家になる。」という話がありました。自分はその3割にはなれないけど、7割には7割なりの仕事がある!と思っていました。正直、卒業する頃まで「7割のなかでも特殊な写真を撮りたい。だけど自分らしい写真ってなんだろう?」と迷いの気持ちもありました。
会社に就職を決めた理由を教えてください
Twitterでキャリアセンターの求人情報を見ました。ブライダルフォトグラファーを募集していて、条件や建物、雰囲気、写真映えするような会場に魅力を感じエントリーしました。1年生の3月くらいからキャリアセンターで相談していて、2年生の6月には決まっていました。他にもエントリーはしましたが、面接を受けたのは1社のみです。Twitterで求人情報を見たときの直感を信じて就職を決めました。
お仕事の1日のスケジュールを教えてください
土日の場合
7:00出社
結婚式の準備、お仕度部屋の用意、挙式の撮影お手伝い
↓
14:00
結婚式の撮影お手伝い、打ち合わせ、午前式のデータ整理
↓
退社
土日は結婚式が入ることが多いので結構忙しいです。
平日の場合
10:00出社
データ整理、打ち合わせ、テストの練習
↓
15:00
前撮り・後撮りのアシスタント
↓
退社
平日は余裕がある日もあるので、空いてる時間にテストの練習をします。
仕事をしていて、嬉しかったこと・大変だったことを教えてください
嬉しかったことは、はじめて1人で対応したお客様からお手紙をいただいたことです。打ち合わせから前撮りまでご一緒していたのですが、結婚式当日だけは入れませんでした。それでも「一緒に選べて楽しかったです。」と書いたお手紙を後から受け取ったときは嬉しかったですし、やりがいになります。
入社して大変だなと感じたのは「時間の調節」です。ありがたいことに写真への思い入れが強いお客様がいて、要望をたくさん伝えてくれました。しかし、カメラマンと一緒に考えても、なかなか思い通りにはいかなくて時間が押してしまいました。明るい外で撮りたいのに、季節は冬。はやくしないと暗くなってしまう状況のなか、会社のマネージャーが全員出てきて撮影に入ってくれました。その結果、スムーズに撮影を行うことができ、外が明るいうちに写真を撮ることができました。上司やマネージャーの存在は心強いです。
成長を感じた瞬間はどんなときですか?
会社のマネージャーに撮った写真を見てもらったときに「前より良くなったね」と言われたことです。はじめは「センスねーなー」と言われていたのですが、最近は「わかるんだよ、もっとこうした方が…」に変わってきました。僕の撮りたい写真が、マネージャーのわかる範囲に入ったんだと思うと、成長したなと思いますね。
仕事をする上で気を付けていることはありますか?
打ち合わせに入る前に、コンシェルジュが事前に聞いたお客様情報を確認することです。「予算が気になっている」、「会場の緑が多いところがお気に入り」などを見て、プランのおすすめ方法を変えたりしています。あとは、「分かれて」などの縁起が悪い言葉を使わないことです。
写真選びの際に新郎が積極的に意見を言わないことがあるので、喧嘩にならないように、なおかつ繊細に、新郎にも話を振ります。撮影時の声掛けはアシスタントをしながら学びました。「笑ってください」だと余計にぎこちなくなりますが、「お互いを見てください」というと自然な笑顔になります。「そのままこっちを見てください」というと素敵な笑顔の写真が撮れるんです。
これからの目標を教えてください
会社での目標は、アルバムのすべての段階を自分が担当して撮れるようになることです。いま4段階中の1段階目をクリアしているので、すべて対応できるようになりたいです。あとは、撮りたい人を自分の世界観で撮れるようになることです。自分の写真の形が出来たのが、NPI在学中2年生の7月くらいで、そのときは人をめちゃくちゃ撮っていました。卒業するときに自分の作品で3割の世界に飛び込める、飛び込みたいと思える勇気があれば、違う道もあったかなと思っています。
写真を学ぶ人たちへ一言
いま写真を学んでいる人たちには、やりたいことに素直になって行動してほしいです。写真家になりたいなら声に出してください。あと、学校とキャリアセンターにはできるだけ来て、積極的に活用してください。これだけは伝えたいです(笑)
伊勢谷颯志さんありがとうございました。これからのご活躍も応援しています!
文・PicoN!編集部 木下