都市を彩る写真の祭典、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO

T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOとは、「次世代の写真文化を育むアジアのハブ」をビジョン*(公式サイトより引用)として掲げ、2017年より始まった、東京で行われる写真祭です。
八重洲、日本橋、京橋といった、「日本の首都東京」の都市の中心部で展開されています。2022年度は、10月1日~30日の1ヶ月間、写真作品が街を彩っています。
日本写真芸術専門学校(NPI)の学生作品も展示されていたり、実際に特別講義を開催したりと、NPIも関わりが深い写真祭。「都市の余白をメディアとして捉え、写真家による作品展示や新たな人の交流を生み出すイベント」と公式サイトで謳われるイベントが、実際にどんなものなのか覗いてみましょう。

日常に溶け込む、新しい風景

T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO(以下、T3)は、「フェス」「お祭り」としては一般的なイメージと少し異なります。多くの「フェス」「お祭り」は、ある一か所の「会場」にたくさんの人が集まるような「非日常的な空間」を設けて、日常から切り離されて楽しみます。
しかし、T3は様々な日常的な空間の中に写真を展示することで、日常に溶け込みつつも、いつもとは少し違う新しい日常を体験し、そこから新しいコミュニケーションを生み出すものになっています。
実際に訪れてみると、展示場所はショッピングモールのウィンドウや、デジタルサイネージ、工事現場の仮囲い、建物の外壁と様々です。そして「フェス」「お祭り」に行こうと訪れる人以外も写真に触れてしまい、気づくと写真について考えたり話したりしてしまうものです。

このT3。「八重洲、日本橋、京橋」エリア、と一口にいっても、とっても広い!T3を楽しもうと本気で探しに行くと、このエリアを探検する気持ちでウォークラリーすることになります。公式サイトにもマップが掲載されています。

このエリアはGoogleマップで開くとこのくらいの広さです。

なかなかひろい!縦がだいたいメトロ1駅分、横がメトロ1.5駅分あります。
街の中を歩きながら、「東京駅の目の前に、区立小学校があるんだ!?」「東京駅のすぐそばなのに、この公園は緑地が多いし、池に鯉までいる」など、発見の連続です。
いままで八重洲エリアを日常として生活していた人にとっては「少し違う新しい日常を体験」することになりますが、八重洲エリアを知らない私にとっては、T3と写真を通して、街を知っていく新しい体験になります。

この写真が、区立小学校建物の壁面に当たります。小学生も写真に触れる機会に。

 

イベントももりだくさん!知らなかった「写真の世界」に触れる

また、週末にはイベントも行われています。
10月8~9日はPHOTO MARKETが開かれました。ここには、写真家や写真にまつわる仕事をされている方たちがそれぞれブースを持って、ブックやグッズを販売していました。NPIの学生も手製のZINEやポートフォリオを持参して参戦です。

学生たちも真剣なまなざしで、自分たちの作品について、これからの写真について、来場者の方々と言葉を交わしていました。また、写真家として活躍している卒業生や、NPIの講師もブースを持っていて、思わぬ再開を果たす一場面も。

10月15~16日は「T3 STUDENT PROJECT 公開講座 美大・専門学校の「特別授業」を学べるチャンス!」と題して、特別講義も行われました。NPIからは講師の調文明先生と、卒業生でもあり講師でもある田凱先生の対談が行われました。この対談では、田先生が実際に作品を作っていく過程での発見や、大事にしている「実験」「試作」のプロセスをどのようにして積み上げていくか、ということを掘り下げていきました。
聴講生の方々からも質問が飛び交い、活発な講義となりました。

田凱先生

調文明先生

 

そして、17日、22日、23日、29日と連続企画に、NPIの講師陣たちが再び登場します。それぞれの企画に、きりとりめでる先生、調文明先生、そして鳥原学先生が登壇し、シンポジウムが行われます。

>【シンポジウム〈写真と評論〉】世代の異なる写真評論家同士がペアとなり、それぞれの写真観をインタビュー:10/23(日)開催

>【トークイベント】写真家を含む様々なジャンルの専門家がクロストーク。:10/17(月)&21(金)22(土)&29(土)開催

一般の方々にとって、「写真の周辺」はあまり触れる機会が多くないもの。そこに触れ、いま街を彩る写真を違った見方で観ることができるようになる新しい出会いがあるかもしれません。

そして、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOのフィナーレは学生たちが飾ります。

>T3 STUDENT PROJECT ”未来の写真家を探すオンライン学生ポートフォリオ展”

毎年行われるT3 STUDENT PROJECTは、同時代に写真を学ぶ学生たちが一堂に会し、それぞれの作品を本気でぶつけ合って、交流を深めるイベントです。今年は総勢75名の学生たちが参加しており、それぞれのポートフォリオをWeb上で観ることができます。
その中から誰がグランプリを掴むのか、予想をしながらページをめくってください。

開催概要

T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO

会期:2022年10月1日(土)~30日(日)

会場:東京駅東側エリア(日本橋・八重洲・京橋)全13会場
東京駅八重洲口グランルーフ1F、東京駅八重洲口グランルーフB1、大丸東京店、東京ミッドタウン八重洲、八重洲ブックセンター、東京スクエアガーデン、シティラボ東京、京橋通郵便局、72Gallery、(仮称)TODA BUILDING工事仮囲、東京建物八重洲ビル、にのに八重洲仲通りビル、TOKYO TORCH Park

入場:無料

HP:https://t3photo.tokyo/

PicoN!編集部 山市

 

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