「クリエイターのコレクション#多肉植物」 写真家フジモリメグミの場合

こんにちは。写真家のフジモリメグミです。

「コレクションしているものをみせてほしい」とのお話があり、真っ先に浮かんだものは多肉植物でした。
最近は、アパレルのお店やおしゃれな雑貨屋さんなどにも置かれているようなので、なんとなく見聞きしたことはあるんじゃないかな、と思いますが、今回は私の多肉コレクションを紹介させていただきます。

私が植物に興味を持ったきっかけは、引っ越しでした。
母にはガーデニングの趣味があり、実家の玄関先やベランダにはいつも綺麗に手入れされた花が咲いています。“玄関先が綺麗に手入れされていると泥棒にはいられない”と聞いたことがあったので、「それはありがてぇな〜」くらいにしか思っていませんでした。
親元を離れて暮らし始めた頃、本当に寂しくて不安な毎日でした。なにも置かれていない殺風景なベランダは私をさらなる孤独に追い込み、これは花でも置くしか・・・・となったのが最初のきっかけです。花に興味を持つことによって、母との新しい形でのコミュニケーションが生まれました。
凝り性の私は早々に近所のお花屋さんでは物足りなくなり、大きなホームセンターで様々な植物を買い、その中で多肉植物と出会いました。ちょうど花芽伸びている時期でその奇妙な姿に猛烈に惹かれたのを覚えています。

都内の住宅地のベランダには、トマトや茄子などの食物が育つために十分な日光と風がなく、コンパニオンプランツ作戦も失敗し、虫に食われ、無惨な結果となりました。その中でも多肉植物たちは強い生命力をみせ、猛暑を乗り切ってくれたのです。気がつけば多肉農園にまで遠征するようになり、ベランダは多肉で埋め尽くされ、いまでは実家のベランダを改装して占領しています。多肉植物にもいろいろな種類がありますが、そのなかでもエケベリアの収集に力をいれています。

「どれも同じじゃないの〜?」と言われることがありますが、いやいやいやいやいや、え?!!ってかんじです。
彼らには彼らの個性があり、形、色、質感、触感、繁殖の仕方、同じ品種でも顔違いがある、まさに唯一無二の存在です。ラウリンゼとかいったい何個持ってるんだ・・・ってくらい全てが愛おしいのです。

植物のなかでも、多肉植物の成長スピードは比較的ゆっくりだとおもいます。激しい変化を求める方には向いていないかもしれませんが、じっくりと観察して、水やりのタイミングを見極め、1週間後にふと目をやるとものすごく美しい姿を魅せてくれたりします。上手く葉っぱをもいでそばに置いておけば、そこからまた新しい命が誕生します。そのかんじが、たまらないのです。

今回、私が育てている多肉植物たちを撮影した作品をKoma galleryで展示しました。きっかけは、Komaのメンバーにも植物が好きな子がいて、お互い撮り溜めている植物の写真を展示してみたらおもしろいことになるかもね?という話になったことです。これまでに撮り溜めた写真と、育ててきたエケベリアたちと、図鑑のようなポストカードブックをつくりました。なるべくそのままの発色になるように、印刷にもこだわって制作しています。

下記は展示会のステートメントの一部です。

小さなところをみていると、宇宙に繋がることがある
植物の動きをみていると、自分自身の仕組みに思い当たる

彼らと過ごすなかで私自身が感じてきたこと、生活のなかに生き物の気配があることの喜びなどがみなさんにも伝わればいいなとおもっています。
最後は宣伝になりましたが、多肉植物って、めっちゃ奥深くておもしろい世界です。
まだまだ語っていいなら語れますが、今回はこの辺で・・・・
多肉はじめをしたくなった方は、是非お声かけくださいね。

フジモリメグミ
1986年東京都生まれ。2011年に「ワンダーシード2011」入選。2011年petit geisai#15 準グランプリを受賞。2013年よりTAP Galleryに所属。2015年にニコンサロンJuna21に入選。2017年ユカイハンズパブリッシングより写真集「apollon」を出版し、2018年「kairos」銀座/大阪ニコンサロンに入選、2019年に第4回epSITE Exhibition Awardのグランプリを受賞した。

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