クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.22〉―「考えさせられたクリエイティビティ2023」
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
時事芸人のプチ鹿島さんが「9月になったら大晦日」と
毎年警告しているにも関わらず、気が付けば師走。
Pitchfork「2023年の年間ベスト・アルバム TOP50」や
各種年間ベスト○○が発表されている只中かと思いますが
皆様如何お過ごしでしょうか?
年間ベストが発表される時期ですので昨年に引き続き
わたくし北米のエボ・テイラーの2023年の音楽以外の
「2023年クリエイティビティを感じた何か」を列挙してやろうと、
昨年踏襲で心揺さぶられた音楽以外のアレコレを列挙したのですが、
列挙して気づいたのが
今年はあらゆる「クリエイティビティ」に「考えさせられた」ものが
1年を振り返り印象に残っていることに気づきました。
そこで、今月は近田春夫の「考えるヒット」ならぬ
「考えさせられたクリエイティビティ2023」で列挙しようかと。
昨年と同じく「ベスト10」ではなく順不同で。
考えさせられたアート2023
AICON×Lee Izumida “Noborder”
昨年よりSNSなどでチェックしていたものの実際の作品を見れていなかった
LOVUS galleryで開催されたAICONさんの二人展に行ってまいりました。
リアルで作品を“距離感”をとって鑑賞することで
意味が浮き上がってくる作品だと実感。
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「近づき過ぎると見えなくなるものがある」
「どんなに親密な人にも距離は必要」
みたいなことを直接的に考えさせられた。
考えさせられたアニメ2023
推しの子
2023年の説明不要の超人気作品。
あまりアニメを観ない私なのですが、
娘が本作の二次創作のようなYoutubeにハマり、
秋口から試しに鑑賞したら私がハマってしまいました。
アイドルのアニメというより
自己肯定感の話やアイドルを通してエンタメ業界の構造問題、
SNS社会の弊害という現代社会で起きたテーマをアニメにしており、
人気の“かわいい”アニメ作品で問題提起をしていることが素晴らしい。
特にリアリティーショーの問題を描いたエピソードは
近年のタランティーノの実際に起こった作品を題材とした映画群や
藤本タツキの漫画「ルック・バック」など共通である
“フィクションで現実の問題をぶっ叩く”という作風であり興味深かった。
また本作のOP曲であるYOASOBIの「アイドル」も
本作の内容を凝縮した歌詞を盛り込んだ要素もりもりなのに
強度があるハイブリットな楽曲も素晴らしかった。
考えさせられた邦画2023
森達也「福田村事件」
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関東大震災が起こった際に実際に起こった事件を元にした
ノンフィクション映画監督の森達也の初劇映画。
初劇映画作品にも関わらず、
映画表現としての特性を十二分に活かし、
自身のドキュメントのテーマである清濁二分化できない人間を
教条的にならずエンターテイメントとして描いた森達也には恐れ入った。
おしゃべり好きの神経症の猿である人間という存在の
個人/集団としての脆弱性と危うさを改めで考えざるを得なかった。
間違いなく「魂を揺さぶる」大傑作。
石井裕也「月」
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津久井やまゆり園で起こった凄惨な殺傷事件を元にした
辺見庸の小説「月」を石井裕也監督が映画化。
本作鑑賞後、
「決して許されない行為だが、犯人を断罪仕切れるのか?」
「自分に犯人のような感覚が1mmもないのか?」
「自分は安全なところにいて、関係性の薄い彼岸の出来事として
処理しているから偽善や正論を言えるのでは?」
「自分だけでなく、社会は犯人と同じような思想を
巧妙に隠蔽して社会に浸透させてないか?」
のような自問自答をずっと突きつけられている。
その自問自答に関して解は無いが、
我々は考え続けないといけないのだと思う。
年末軽いノリで音楽以外の作品を列挙しようとしたが
「考えさせられるクリエイティビティ」という設定のせいで
無駄に文字数を重ね、紹介したかった洋画や本や漫画に関して
語りきれなかったので、それは次回ということで(続いていれば…)
なんていいつつ、年末年始は意外に時間があると思うので
「考えさせられる」作品でも浴びてみてはいかがでしょうか?
それではよいお年を。
文・写真 北米のエボ・テイラー
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