• HOME
  • ブログ
  • アート
  • 「美術のこもれび」Rayons de soleil dans l’art –No27:『 ソル・ルウィット 』展 について

「美術のこもれび」Rayons de soleil dans l’art –No27:『 ソル・ルウィット 』展 について

専門学校日本デザイナー学院東京校 講師の原 広信(はらひろのぶ)です。

今回は1960年代にアメリカ国内の美術館で、そしてまた国際的に多くの展覧会を催してきたアメリカ人の現代美術作家ソル・ルウィット( Sol Lewiit )氏です。私は東京都現代美術館で開催中の彼の個展『ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー』展を見学しましたので、その一端をご紹介したいと思います。

ソル・ルウィットは1960年代後半、目に見える作品そのものよりも、作品を支えるアイデアやそれが生み出されるプロセスを重視する試みによって、芸術のあり方を大きく転換しました』(※下線部引用:東京現代美術館 ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー展公式HP)https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/

この展覧会を筆者が撮影した画像(許可されているエリア)で作品をご紹介します。

私は展覧会の作品を直接目の当たりにして、今回は撮影画像を多く掲載して、作品について感じたままの感想を記述したいと思いました。

展覧会エントランス壁面のタイトル(作品ではありません)

『SOL LEWITT OPEN STRUCTURE』_ソル・ルウィット 開かれた骨格(構造)

タイポグラフィーがカッコいい。この展覧会は日本の公立美術館での初の個展だそうで、タイトルにも気合いが感じられます。

ここから作品_エントランスから順路に従って抜粋して掲載します。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『 不完全に開かれた立方体 6/20 / Incompiete Open Cube 6/20 』1974年 アルミニウムに焼き付けたエナメル 千葉市美術館所蔵 / 千葉県 】※画像筆者撮影

いわゆる箱型(立方体)の輪郭線の一部が欠けている形状で、これを「不完全に開かれた…」というタイトルにしているのかも。作品の周囲をゆっくりと歩みながら鑑賞すると形状が刻々と変化して見えて、別々の先端部が結合する位置があったりします。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt 『 ウォール・ドローイング #46 垂直線、非直線、非接触、最大密度で均一に分散し、壁全体を覆う  / Wall Drawing #46 Vertical Lines, not straight, not touching, uniformly dispersed with maximum density, covering the entire surface of the wall 』最初のインスタレーション1970年6月 黒鉛筆 提供:ポーラ・クーパー・ギャラリー NewYork / 米国 】※画像筆者撮影

この画像では大きな四角形の白い壁ですね。分かりにくいのですが、この壁面のほとんどを四角形に黒の鉛筆での作業の痕跡があるのです。

この画像はグレーっぽく見えている壁面に接近して撮ったものですが、

※画像:筆者撮影

【↑前の作品に近づいて撮影】作品ドローイングの細部の様子。

大変細く淡い線が集積している大きな面が作成されています。この作品は、『2025年12月 アンドリュー・コルバルト氏、関川航平氏による展示』(Current installation in December 2025 by Andrew Colbert and Kohei Sekigawa)というクレジットも表示されています。ルウィット自身が手がけたものではない事を明らかに提示しています。

この展覧会エントランスの『ごあいさつ』文中に、…「アイディアは芸術を生み出す機械となる」という原理のもと、事前に設定された仕組みによって形や線、色が連続的に導き出される作品を手がけ、主観的な判断に拠らない芸術のあり方を探求しました。所定のプランや手順を踏むことで、ルウイット以外の誰かの手によって描かれるウォール・ドローイングのように、いつでも、どこでも、誰でも実行可能となる作品」…と記載されています。(※下線部、挨拶文から抜粋)

ルウィットの『ウォール・ドローイング』の一連の作品はアーチスト本人の手によるものでなくても成立もので、1968年に初めて発表されてから、彼の代表作となりました。

作者ルウィット氏による文章や図面等によってあらかじめ規定された決まり事に従っていて、本人以外の手によるものでも成り立つという作品のあり方を提示しています。「いつでも、どこでも、誰でも実行可能となる作品」、これは私にとっても新鮮な芸術観との対面でした。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『ウォール・ドローイング #312 黒い壁上の二部作 第一部:正方形、円、三角形が重なる(輪郭線) 第二部:長方形、台形、平行四辺形が重なる(輪郭線)/ Wall Drawing #312 Two-part drawing on a black wall. First part: Square, circle,Triangle, superimposed (outlines). Second part: Rectangle, trapezoid, parallelogram, superimposed (outlines) 』 1978年6月 初回展示 クレヨン(白)、壁(黒)提供:ポーラ・クーパー・ギャラリー NewYork / 米国 】※画像筆者撮影

こちらも大きな黒の壁面に四角形、三角形そして円形が白のクレヨンによって描かれています。そばにいらっしゃる美術館関係者の方との比較でどれほどの大きさかが窺えると思います。こちらも2025年12日に展示され、関わった方々が6名の氏名がクレジットには記載されています。作品の前で見れば見るほど左右2つの図形がシンプルが故に印象に残りました。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置 青色の円は壁の中心を中心とする直径80インチ(200cm)で、赤色の線は円の中心と円周を結ぶ線分の中点から壁の右上方向へ壁の右上角まで描かれ、黄色の線は赤色の線が円周と交わる点から円周と壁の左辺の中点を結ぶ分線を二等分する点まで描かれる / Wall Drawing #283 The location of a blue circle, a red straight line, and a yellow straight line. A blue circle 80 inches ( 200 cm ) in diameter whose center is the center of the wall, a red line drawn from a point halfway between the center of the circle and the line of the circle in the direction of the upper right corner of the wall to the upper right corner of the wall, a yellow line drawn from the point where the red line crosses the line of the circle to a point halfway between the circle and the midpoint of the left side of the wall 』 1976年3月 初回展示 クレヨン(赤・黄・青)、黒鉛筆による指示 提供:ポーラ・クーパー・ギャラリー NewYork / 米国 】※画像:筆者撮影

こちらのウォール・ドローイングも大きいですよね。この白い面積に繊細な表現がなされています。そして作品のタイトルが長い。壁画の構成要素を細かく指定する文言が、タイトルになっています。実際に作品には、青い円・赤と黄の直線そして文字が描かれているのですが、拙者撮影の画像でははっきり写っていませんでした(悪しからず、展覧会公式HPをご参照ください https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/)。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『ウォール・ドローイング #1164 ドローイング・シリーズ12 (A&B) / Wall Drawing #1164 Drawing Series 12 (A&B) 』1969年 構想 2005年7月 初回展示 黒鉛筆 提供:ポーラ・クーパー・ギャラリー NewYork / 米国 】 ※ソース/画像引用元:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/東京都現代美術館公式HP

この画像は筆者撮影ではなく、東京都現代美術館の「ソル・ルウィット展」展覧会公式HPから引用しました。

今回のこの展覧会では、2025年に5名の方々によって展示されたものです。黒鉛筆で描かれた細い線の集積が四角い面を構成しています。

↓こちらをご覧ください。

同上作品【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『ウォール・ドローイング #1164 ドローイング・シリーズ12 (A&B) / Wall Drawing #1164 Drawing Series 12 (A&B) 』の部分 ※画像:筆者撮影

作品に近づいて撮影した画像です。黒鉛筆による線状の痕跡がたいへん丁寧に引かれていますね。こうした線の集積が全体として左側に方は均等な、右側の方は淡いグレー調の濃淡の面として見えていました。緻密でかつデリケートな表現だと思います。

次は幾何学的な立体的な白い造形作品です。

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『形態の複合 #6  / Complex Form #6 』1987年 木、エナメル 東京国立近代美術館所蔵 東京 】 ※画像:筆者撮影

シンプルに直線的な要素で形成された立体作品で、作品の周囲を巡りながら鑑賞できます。

この作品は1987年に東京国立近代美術館は購入し所蔵しているものになります。この作品の後ろに控えているのが…

こちらです!

【 ソル・ルウィット Sol Lewitt『ウォール・ドローイング #770 カラー・インク・ウォッシュを塗り重ねた非対称のピラミッド / Wall Drawing #770 Asymmetrical pyramid with color ink washes superimposed 』1994年9月 初回展示 カラー・インク・ウォシュ 提供:ポーラ・クーパー・ギャラリー NewYork / 米国 】 ※画像:筆者撮影

この巨大な作品は13名の方々が手がけたものであるとクレジットに氏名の記載がされています。

今回展示された作品を巡って鑑賞した感想としては、巨大で大掛かりな作品でありながら、緻密であり細密な作業で構成されているものが多く、この壁いっぱいの作品もそうなのですが、見ているとよく言われている「コンセプチュアル・アート」作品の難解さ、よりはむしろ、圧倒される爽快感と同時に「作家=作品の関係性」なども考えさせられながら美術館を後にしました。

これぞまさに現代美術との出会いの醍醐味でありました。

 

この作品展は現在、東京都現代近代美術館 企画展示室 1Fで4月2日(日)まで開かれています。

この美術館へは東京メトロ半蔵門線【清澄白河駅】B2出口から徒歩9分

【学生無料デー Supported by Bloomberg】2月21日(土)~23日(月・祝)限定 チケットカウンターにて学生証提示で無料にて鑑賞できます!

少々寒いですが、ここはぜひ圧倒される作品たちに出会いに出かけましょう!

… … … … … … … … … … … … … … …

【展覧会情報】

『 ソル・ルウィット 』展

2025年 12月25日(木)~2026年4月2日(日) 東京都現代美術館 企画展示室 1F (東京都・江東区)

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/


↓PicoN!アプリインストールはこちら

関連記事