色が持つ力「色彩心理学」

デザインやイラストを制作される方だったら、色の選択をする機会は多いですよね。

もちろん、制作中の自身の気分や、作品の雰囲気によって色を決定するのも良いですが、それぞれの色が持つ心理的効果を知ったうえで配色を行うと、より魅力的な作品に仕上がることもあるんですよ。

 

今回は、そんな色が持つ特徴の基本的な部分を
「色彩心理学」の観点からご紹介します!

「色の効果があることは知っていたけど、そこまで考えて制作をすることは無いです…」という方も、意外と多いのでは!?ぜひ一度お読みくださいね。 

 

色彩心理学って何?

色彩は、人間の心理や生理に影響を与える力を持っています。これを科学的データや臨床実験、統計情報などから解明していく学問が「色彩心理学」です。

主に、色は知覚された際の三属性などによって認識のされ方に違いがあります。三属性とは、「色相」「明度」「彩度」のことです。

 

  • 色相/青、赤、黄のように、色合いを表すものです。
  • 明度/色の明るさのことです。白に近いものを高明度、黒に近いものを低明度と呼びます。
  • 彩度/色の鮮やかさのことです。各色相で最も彩度か高く鮮やかな色を純色と呼びます。

 

この色彩心理学によって解明された情報は、皆さんの生活の中でも役立っているんですよ。

例えば、子どもの視覚が完成するのは1歳ぐらいという研究結果が出ています。
実際は、1歳になっても微妙な色の違いが判断しにくい場合が多いとのことです。この結果をもとに、幼児用の玩具は高彩度の色が使われることが多かったりしているんです。

 

それでは、ここからは皆さんの制作に即採用できる情報をお伝えします。

 

■色に対する一般的なイメージ

それぞれの色には一般的に以下のようなイメージがあります。
皆さんが制作の際に想像しているイメージと大きな違いは無いでしょうか。確認してみましょう。

■前進色と後退色

色は奥行き感や距離感にも影響を与えます。手前に出るように見えるのが前進色(進出色)、後ろに引っ込んでいるように見えるのが後退色です。この現象は、基本的に色相と明度の影響が強く、無彩色より有彩色の方が手前に出るように見えるという特徴があります。

 

■膨張色と収縮色

同じ大きさでも大きく見える膨張色がある一方で、逆に小さく縮んで見える収縮色もあります。
データ上では全く同じサイズに作ったオブジェクトが、意図せずに違う大きさに見えてしまうことの無いように気をつけましょう。

 

■色の軽重感

色の心理的効果によって分類される感覚です。
基本的には、高明度の色ほどソフトな印象を与えて、軽く感じさせる特徴があります。
逆に、低明度の色は重く、ハードな印象を与える色となります。

 

■視認性と誘目性

視認性とは、目で何かをみたときに、対象物やその意味を、正しく確認・理解できるかどうかの度合いのことです。人間が認識しやすい色は「黄・白・橙」の順とされています。逆に認識しづらい色は「茶・黒・青・紫」とされています。

組み合わせて利用される場合は、明度差が最も重要とされています。最も視認性が高いのは「黒地に黄」とされています。工事現場などでよく見かける組み合わせですね。

遊目性とは、人の視線を引きつけて、目立つ度合いのことです。
色相によって感知しやすい色と、しにくい色があります。白より黒、無彩色より有彩色、寒色よりも暖色の方が誘目性が高いとされています。身の回りのデザインを見ると、標識やピクトグラムでも、この色使いが利用されていることがわかります。伝えることに主眼をおいたデザインでは重要な要素になります。

 

ここまで、色彩心理学を利用した配色の一部をご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

普段から意識している方も、そうでない方も。ぜひ、改めて色づかいの基礎を見返してみてはいかがでしょうか。

 

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