VMD視点で街を楽しむ。 第2回 ハイブランドの世界巡回企画展

今回もVMD (Visual Merchandising)「お店の主張を視覚的に表現すること。」を楽しんでもらう記事になります。

第2回となるお話はハイブランドによるビジュアルプレゼンテーション(展示)の様子をお届けします。みなさんもお店で、洋服や靴、雑貨なのがおしゃれに飾られているのを一度は見たことがあると思います。その中でも、今回はトップクラスの作品をご紹介していきます。

前回のお話

2022年春から夏にかけて、オメガ、ヴーヴ・クリコ、ルイ・ヴィトン、シャネルなどのハイブランドが次々と世界巡回イベントを東京で開催しました。足を運んだ方もいらっしゃると思います。ビジュアルプレゼンテーション(ディスプレイ)の視点から見ると、どれも贅沢な見応えのあるものでした。その中から、シャンパーニュメゾン「Veuve Clicquot Solaire Culture(ヴーヴ・クリコ ソレール カルチャー)~太陽のように輝く250年の軌跡~」で印象に残った作品をご紹介します。

この企画展は、偉大な女性経営者でありシャンパーニュの研究者でもあったマダム・クリコへのオマージュから、多くの女性デザインナー、アーティストが起用されていたことでも話題になっていました。

展示構成
1、現代を代表する複数の女性アーティストが描くマダム・クリコの肖像画
2、ヴーヴ・クリコ250年の歴史展示ゾーン
3、ヴーヴ・クリコの世界観を表現した3人のアーティストによるインスタレーション
4、ヴーヴ・クリコの為にアーティストがデザインしたプレゼンテーション
5、ヴーヴ・クリコが登場する本のコーナー
6、ブティック、レストランコーナー

特に、4のヴーヴ・クリコのボトルを題材にしたアーティストの作品は、印象に残る商品プレゼンテーションデザインのお手本のようなでした。

1. 現代を代表する複数の女性アーティストが描くマダム・クリコの肖像画

『水玉により自己消滅したマダム・クリコ』

19世紀初頭にヴーヴ・クリコを作り上げたビジネスウーマン「マダム・クリコ」の肖像画に草間彌生がシンボリックに水玉を施した作品。2人の革新的な女性のガチンコ勝負という感じでした。

4.ヴーヴ・クリコの為にアーティストがデザインしたプレゼンテーション

『夜の闇の中に咲いた私の心』

草間彌生がヴーヴ・クリコの為にデザインしたオブジェとコラボ商品。 「ソレール=太陽のように輝く」イエローカラーのステージから沸き立つようなエネルギーを感じる、ヴーヴ・クリコを象徴するプレゼンテーションでした。

「リドリングテーブル(動瓶台)」

1980年代のニューヨークで世界初のデザイナーズホテルの一つ「モーガンズ」をデザインしたことで知られるアンドレ・プットマン(Andrée Putman)が、シャンパーニュの製造過程で瓶を揺らすことからデザインした。

 

イエローラベルの様々なビジュアルプレゼンテーション

商品テイストにピッタリのライフスタイルを連想させたり、ウィツトに富んだギフト提案をしたり・・・こんなプレゼンテーションをショップで見かけたら、お店に行くのが楽しくなりませんか?

次回は冬のディスプレイデザインでお会いしましょう。

文:池谷光江
NDSインテリアデザイン科講師。商品装飾展示技能検定1級、日本VMD協会理事マネキンディスプレイ会社のデザイン室を経て、フリーランスのディスプレイデザイナーとして、百貨店、専門店、メーカーのVMD企画デザイン、社員教育に携わる。現在、ディスプレイの国家試験「商品装飾展示技能検定」中央検定委員として問題作成に携わっている。

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