サイゼリヤ「間違い探し」を描いているイラストレーター・the rocket gold starに迫る!

こちらの間違い探しをみたことがありますか?


サイゼリヤのキッズメニューでおなじみの「間違い探し」
料理をまっているとき、会話の1つとして楽しんでいるかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそのイラストを手掛けているイラストレーター・the rocket gold starこと山崎秀昭さんにお仕事について伺いました。

サイゼリヤ「間違い探し」イラスト生誕秘話

ーーサイゼリヤでは季節ごとに間違い探しのイラストを変更していると思うのですが、間違いさがしのイラストはどのように考えているのでしょうか?
山)サイゼリヤから推したいメニューや商品を伝えられるので、それに付随したシチュエーションを描いています。例えば季節のサラダを推したい時はレタス畑を舞台に、イタリアのフェアを開催する時はイタリアの街をテーマにしています。

ーーたしかに実際のメニューや食材がたくさん登場していますね。間違い探しの間違いの部分はご自身で考えられているのですか?
山)サイゼリヤからおおまかな間違い箇所を聞いて、ラフの段階で15個ぐらい間違いの部分をつくります。そこから難易度のバランスを見て10個ほどに絞っていきます。

ーー自分も挑戦しているときは、残り2~3個にいつも苦戦しちゃいます・・・。イラストを見てくれる人にどこを見てもらいたいですか?
山)間違いの部分はもちろんですが、風景とかキャラクターのしぐさなど細かいところにもこだわっているので、是非そのあたりも見てもらいたいです。

the rocket gold starの活動

ーーここからは日ごろのお仕事について聞いていきたいと思います。山崎さんがイラストレーターになろうと思ったきっかけを教えてください。
山)小さい頃から絵を描くことが好きで、芸術系の大学に進学したことがイラストレーターになるきっかけの1つでした。就職を考えたとき、朝起きて、決まった時間に会社に出社して、働いて・・・というスタイルが自分に合っていない気がして。それならフリーでイラストレーターになって自分の好きな道を進もうと思って始めました。後から思うと本当はデザイン事務所に入って、人脈を広げてからフリーになったほうがよかったのかもしれないですね(笑)

ーーそこからイラストレーター人生が始まっていったのですね!「the rocket gold star」という名前もインパクトがあると感じましたが、由来が知りたいです!
山)「Rocket Gold Star」というイギリスの古いバイクのニックネームを拝借し、そこに「the」をつけました。仕事を始めたころ、ポストカードを作って売っており、お店のオーナーから「個人の名前より、屋号みたいなものがあったほうがブランドっぽく見えるし考えてみたら?」とアドバイスをもらって、そのお店に置く時に「the rocket gold star」とつけたんです。それから絵を描いていくうちに作者が誰だかわからなくてもいいかなと思いました。名前よりも、「この絵、見たことある!」「この絵、知ってる!」とイラストに注目してもらえた方がうれしいですからね。会社を立ち上げる時も社名が思いつかなくて、そのまま使っています。でも領収書をお願いする時、社名が長くて書くのが大変そうなので、社名はよく考えたほうがいいかもしれないですね(笑)

ーーイラストレーターの仕事で楽しかったことや大変だったことを教えてください!
山)20年前くらい、グリコのビスコというお菓子で「乳酸菌くん」というキャラクターデザインのお仕事をしました。
その時はコンペのような勝ち抜きトーナメントで、6回戦ぐらいありました。10人ぐらいのイラストレーターがいて、毎回お題に沿って、イラストを描いていく。すごく大変でしたがイラストレーター人生として大きな転機になったのでよく覚えていますね。
ーー1日の仕事のルーティンを教えてください。
山)朝7時ぐらいに起きて、子供と奥さんを見送りってから、散歩に出ます。3時間くらい続けて描くこともあり、座りっぱなしだと肩こりや姿勢が悪くなるので健康のために散歩という名のウォーキングをしています。9時ぐらいに戻って仕事を始め、お昼ぐらいまで下書きや清書をします。昼休憩をとった後、午後からデジタル作業を始めます。午前に描いたものをスキャンデータにしたり、修正したりなど夕方5時ごろまでやっています。そこから子供たちが学校から帰ってくるので、仕事は終了といった流れになりますね。

ーーかなりメリハリ付けて仕事をやっているのですね。
山)20代のころはアルバイトをしながら絵を描いていたので、絵の作業は夜中にやっていました。だいたい夜の11時から朝の6時まで描いているみたいな。今だと絶対無理ですけど(笑)

ーー普段愛用している画材や道具を見せてもらってもよろしいでしょうか?
山)いつもアナログで描いているのですが、その道具はどこにでも売っているサインペンとコピー用紙です。廃盤になったら困ってしまうので、絶対になくならないであろう、コンビニで売っている、一番描きやすいものを選んでいます。「黒い線ではっきりと描く!」というスタイルが自分に合っているのでそこを突き詰めています。紙もホームセンターに売っているものを使っているんですよ。
ーーイラストを描く際のこだわりはありますか?
山)一発描き」にこだわりを持っています。アナログで描いているので、ガタガタしている線も味だと思っています(笑)。腕とか体とかパーツごとにばらばらに描いたものをデジタル上で組み合わせています。特にマルなんかはきれいに描けると嬉しいですね。何年やっていても上手くいかないときもありますし、体調によって変わってくるんですよね。あとは鮮度の高いうちに描き切ることもこだわりの一つです。何回もやり直しをすると飽きてきて納得のいく線が描けなくなるります。

ーー自分のイラストに自信を持つ秘訣は?
山)他人からの評価で自信はつくものだと思います。SNSで発信したり出会った人にどんどん見せていったり、そこでアドバイスをもらって良さを認めてもらうことが大切です。画風も無理して作ろうと思わず、得意なものを書いていったら、勝手に自分の画風になっていくのでひたすら描き続きることが大切ですよ。

ーーこれからイラストを描き始めたいと思っている方にアドバイスをいただきたいです。
山)この人に頼みたい!と思えるようなイラストレーターを目指してもらいたいと思います。
ただ、ストライクゾーンがとても狭いところを狙っていかないといけないので、ファンになってもらうためには膨大な量(イラスト)をたくさんの人に見せなければなりません。確率論みたいなものなので・・・。活用できるものはどんどん使って、描くことと同じくらい見せることを大切にしてほしいです。批判の声とかコンペに落ちることもあると思うけど、人に見せないことには自分
の自信にもつながらないし、画風の確立もできない。イラストレーターはアーティストとは違うので、商業的な仕事としてやっていくなら必要とされるポジションを確立していってください。後は運かな・・・(笑)。これもやっぱりたくさんの人に見せることで引き寄せられ、いい縁につながることがありますよ。

the rocket gold star(ザ ロケット ゴールド スター)


本名 山崎秀昭。1969年生まれ。1992年、大阪芸術大学美術学科卒。1997年、the rocket gold starとしてイラストレーター活動を始める。2001年、有限会社ザ ロケット ゴールド スター設立。2008年より、小学校への2コママまんが出張授業を開始。
the rocket gold star official website

取材/文 宮本

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