【アナログイラスト初心者向け連載】第1回~筆選びのコツ~

「イラストを水彩で描いてみたい!」と思っている方に、筆選びのコツを3つお伝えします!
普段はデジタルで絵を描いている方も多いと思いますが、デジタルのソフトのペンツールと同じように、筆も膨大な種類や形があります。

初めて筆を買ってみる時、ありすぎて迷ってしまう…と思われた方は、

まず
大きい筆 =平筆(フラット)
中くらいの筆 =丸筆(ラウンド)
小さい筆 =面相筆(線描画・スクリプト)
を購入してみましょう!

筆は、形と毛の種類を知ってから買うと、失敗が少なくなります。

 

コツ①形 筆先の形について

筆先の形を様々な形でそろえると、絵のテーマに合う筆や水彩の筆を使ったテクニックに対応できます。たくさんありますが、最初は代表的もので、平筆(フラット)、丸筆(ラウンド)、面相筆(線描画・スクリプト)を購入してみましょう。使っていくうちに、自分の筆圧や運筆(筆を運ぶスピード)がわかってきて「丸筆のが使いやすいな」、「平筆で塗るのが好きだな」とわかってきますので、まずは1本ずつ持つのをオススメします。

コツ②サイズ 筆の腹の大きさと、毛の長さで選ぶ

水彩は「水を彩る」という言葉の通り、水分量をコントロールし色の表現ができるようになる「奥の深さ」があります。授業では最初の頃、作品がにじんでしまったり、ムラやシミになったりすると「水と仲良くできません~」「水と友達になれた!」なんて言葉が、よく飛び交います。

脱線しましたが、筆の「腹」とは筆の毛先でもない、根元でもない、その中間の部位を指します。この腹の大きさで、水分をどれだけ含めるかが決まってきます。たっぷり水を含ませて描きたいのか、カサカサした表現や、パキッとシャープにしたいのかによって水分量を変えていきます。

水分量と言われてもピンとこない…という方は、筆に記載されているサイズ=号数が参考になります。B5サイズ以下の紙に絵を描くなら、おおよそ6号以下の数字の筆があれば描きやすいです。A4だったら8号の筆でもいいでしょう。大きい面積を塗りたいときは大きな数字の号数にしていきます。平筆(フラット)、丸筆(ラウンド)は号数も目安に選んでみてください。

そして細い筆、面相筆(線描画・スクリプト)は線を引くために主に使うので、筆の毛が長ければ長いほど、絵の具の含みも多くなり、線は長~く引けます!人物画のイラストでしたら、髪の毛や輪郭線に主に使うでしょう。ポストカードなど小さめの紙に描く場合、0号以下~2号程度の細い筆で、描画の初めから終わりまで使い続ける方もいます。

コツ③質 動物の毛の種類か、ナイロンなどの人工繊維かについて

ここが一番難題です!実は私も種類が多すぎて、まだ使ったことのない動物の毛の種類があるほど、筆の世界は広いんです。

動物の毛!?イタチ、タヌキ、羊、鹿、馬、豚、猫、コリンスキー、テン、リス・・・と知れば知るほど奥が深く、しかも一つの筆に3種類の動物の毛がミックスされていたりもします。動物の毛を使用した筆は高価な物が多く、人工繊維やナイロンの筆は比較的安価な物が多いので、自分の財布と相談しながら、動物の筆と、人工繊維やナイロンの筆を買ってみましょう!

動物の種類によって、どういう特色があるのか…は、筆のメーカーさんのホームページやパンフレットで紹介されているので見てみると参考になります。

ここからは余談ですが、私が今現在、主に使用している筆についてお話しさせてください。

もしも今からB5サイズを描くなら…
・ホルベイン ニューリセーブル 6・4・2・0号(人工毛と羊毛のミックス)
・ナムラ 彩色筆(鹿毛と羊毛のミックス)
・ナムラ 面相筆(ナイロンの筆とイタチの筆、長さの異なるもの)
・もっと細かく描きたいときは…キャムロンプロ プラタ 極細筆(ナイロン)

動物の筆を1本持ってとおすすめするのは、人工繊維とナイロンと比較したとき、水分量の含みが全然違うからです。鹿毛と羊毛でできた彩色筆で水彩を描いた時、広い面積をかすれることなく彩色できて感動したのを今でも覚えています!

そして皆さんは「リセーブル」という言葉は聞いたことありますか?リセーブルとは人工毛のことです!水の含みのいい動物の毛(セーブルとは黒テンという動物のこと)とてもよく似ている性質を持った筆のことです。人工毛と動物の毛を独自に配合して特徴のある筆が作られています。

人それぞれ、筆圧や画風、塗り方、水分量も違うので、絵を描き始めて、なんだかこの筆じゃ描きたい画風にならないなぁ~という気持ちが出てきたら、それが筆を増やすタイミングです!
筆は消耗品なので、お財布と相談しながら買い替えたり、少しずつ筆の種類を増やしていってください。私もこれから未知の筆との出会いがまだまだ続くので、次に使ってみたい筆を考えるのは楽しいです。
いいアイデアが浮かんできたら、そのイメージに限りなく近づけてくれる、お気に入りの相棒が見つかりますように!

池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。

Instagram @sachiho_ikeda


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