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「ただ山が楽しいから」後編 アウトドアフォトグラファー武部努龍

雄大な自然の象徴ともいえる「山」
近年の登山ブーム、キャンプブームで山は身近な存在となり、気軽に楽しむアウトドアの行き先として定着しています。
日本写真芸術専門学校卒業生の武部努龍さんは、現在山梨県を拠点に活動するアウトドアフォトグラファー。山を相手に写真を撮る武部さんに、山の魅力、アウトドア写真の仕事についてなどお伺いしました。

「ただ山が楽しいから」前編 アウトドアフォトグラファー武部努龍さん はこちら

山いいなって思ったんです。

小さい時から休みになると両親に山に連れて行かれてキャンプしてっていうのが日常でした。でも当時は正直好きではなかったんです。子供だったってのもあるかもしれないんですが、山に特別なものは感じていませんでした。

高校卒業後はテレビが作りたくて映像の学校に入学したんですけど、大人数のチームで作り上げる独特な空気感が自分には合わないってなって。人と関わりたくない、めんどくせーっていうダサい時期が18、19歳くらいの時にあって(笑)写真やってる人って結構そういう人多くないですか?(笑)写真って一人でやるイメージがあったのと、撮り始めて面白いなって思って映像の学校は辞めました。実際は写真もチームプレーなんですけどね。

その後、日本写真芸術専門学校入学して、はじめは広告とか華やかなことやりたかったのとまだ今の業界にいるイメージを全くできてなかったので、色々な分野の作品を見たいと思い、ポートフォリオ制作やスタジオの授業を中心に受けていました。

入学して1年経った時に、これから写真で何撮ろうかなって考えたことがあって、ちょうどその時に誰のかは全く覚えてないんですが山の映像を目にしたんです。
ふと山行ってみるかって一人で登山したら不思議としっくりきて、そこで山にはまったんです。山いいなって思ったんですよね。
山の写真を撮るようになったのは、2年生になってからです。

卒業後は都内でバイトしながらカメラマンのアシスタントをして働きながら山もちょこちょこ行ったりして、2年経ったときに地元山梨に帰って山撮ろうって決めました。

紅葉とかって子供の時はわからないじゃないですか。歳とったからですかね、すごいなーすごい場所だなーって感じるようになってて、山が魅力的に見えるようになったんです。

そうは決めても仕事がすぐあるわけではなくて、都内の出版社に売り込みはよくやっていました。そのうち1つ2つと仕事が来るようになって、今でも山以外の仕事も受けつつ写真の仕事をしています。
山岳雑誌『岳人』が初めての山の仕事、今は『PEAKS』って雑誌の撮影や、アスリート、ブランドの撮影だったり様々。幅広く山に関わる撮影の仕事をやっています。

仕事がなくても体力維持は必要なので、月1で山登りはしています。重い荷物も持つので家で筋トレもしてます。

自身が楽しいことを追い求め、そこに写真が寄り添う

今は早く海外行きたいですねー。トレイルランニングっていうスポーツの海外レースの撮影に何度かついて行ってるんです。レースに出る選手にもよるんですが、毎年ヨーロッパ中心に開催するレースで年一回の楽しみだったんですけど、今の状況で開催していないので早く行けるようになればなと。

競技中のアスリートの撮影は、眺望のある場所、迫力のある岩場など、絵になるところを事前にロケハンし、ある程度撮影場所を決めておきます。日の出と日の入りの時間もしっかりと確認するのもポイントですね。最近は、GPSも発達してきて人が来るタイミングがわかりやすくなってきたので、撮影時のイメージをしやすくなっています。

僕も地元のレースに遊びで出てるくらいですがトレイルランニングやります。FunRun的な感じで、選手の写真も撮って楽しんでます。

冬はバックカントリーやって、今年は足痛めました笑。海もいいですよね、サーフィンもしながら写真撮りたいです。楽しいことはなんでもしたいです!

山に登って撮影って、そもそも山自体好きで楽しくなきゃ続かない。嫌なのにこんな重い荷物持って続ける人なんていないですよね(笑)

山、自然はいいですよ。山登りたいって若い人がもっと増えればいいなと思ってます。

 

自分が楽しいことをやりたいと話す。何事も楽しむことがベースで、そこに写真が寄り添い仕事に繋がっているのが武部さんのスタイルとなっている。

「楽しいことをやりたい」

当たり前に誰もが思うことですが、仕事が100%そうなるかというと大きく頷けないのではないでしょうか。

楽しいことや好きなものを仕事にすることに不安がある人は多いと思いますが、まずは楽しんで取り組むことが第一歩、そして続けることでその先の道が開けてくるんだと、武部さんが楽しそうに話す姿を見てそう感じました。

 

武部 努龍/Doryu Takabe

1988年9月25日、山梨県生まれ
日本写真芸術専門学校卒業後、撮影アシスタント、広告・デザイン会社勤務を経て、2015年5月よりフリーランスとして活動。

山岳・アウトドアスポーツを中心に作品撮りを行いながら、メディアへの写真提供及び、アウトドアブランドの広告撮影などに参画。両親の影響で登山を始め、登山歴は20年以上。子どもの頃はそれほどでもなかったが、現在は山と自然を敬愛している。また、トレイルランニングやバックカントリーなどのアウトドアスポーツは自身がプレイヤーでもあり、ハードな撮影に対応できるほか、アスリートたちと一緒に競技そのものを楽しむことも得意。壮麗な大自然の中で、またとない光景や感動を捉える。

 

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