写真家ユーリア・スコーゴレワが伝える「女子相撲の世界」

「女子相撲」に対して、みなさんはどのようなイメージを持っていますか?
現在、この女子相撲をテーマにした、写真家ユーリア・スコーゴレワさんの写真展が行われています。

ユーリア・スコーゴレワ写真展「Salt and Tears」
期間:2023年10月27日(金)~11月9日(木)
場所:フジフイルム スクエア

今回、ユーリアさんにお話を聞くことができました。
彼女が追う女子相撲、そして伝えたいメッセージとは。

女子相撲を追うきっかけは?

元々人の身体に興味があり、コンテンポラリーダンスや舞踏を撮影しています。身体の動きから派生し、興味を持ったのは、日本の伝統的な競技である相撲でした。最初は大相撲を撮影しようと考えていました。相撲を観戦したり、稽古を見学することはできますが、もっと深く掘り下げたいと思い、独自に調査を始めました。その過程で女子相撲を知ることになりました。最初は関連記事が1つしかなく、調査に1年かかりました。その後、女子相撲の大会が開催されることを知り、ついに力士たちと直接話す機会を得ることができました。

数人の選手と関わり撮影をして、家族の賛同を得られない方がいる中、家族の応援のもと相撲に一際情熱を注ぐ阿部ななを追っていきたいと思いました。
ななは、8歳から相撲を始め現在15歳。毎日200kg以上あるタイヤを持ち上げ、日々練習に励んでいます。大会があると全国どこでもお父さんが車で送迎します。お姉さんは、元々相撲をしていてななに影響を与えた人です。怪我をしてしまい今は選手ではないですが、ずっとななを応援し、ななのマネージャーを目指しています。インスピレーションに繋がるとっても仲が良い家族です。

キュレーターと話してなな選手の世界観を出したいという目的で、プロの相撲生活とプライベートの姿を展示。

右の写真は、国際大会への切符を手にした瞬間。その後、国際大会で銀メダルをとる。

家族アルバムをインスタント写真で表現。家族のきずなを感じる展示となっている。

ギャラリーの4つの角に土俵周りの写真を配置し、展示全体を一つの土俵として表現した。

女子相撲を通して何を伝えたいですか?

世界的にみると、女子相撲は様々な国で行われています。日本の相撲は伝統文化でもあるので、決まりや制限が多くあることに比べて、世界はそういったものがないのでキャリアを積めます。40歳の女性選手もいるんですよ。
ななは中学を卒業すると練習場がないし、相撲で有名な高校への進学も考えているけど、その後大相撲に出ることもできません。でも、ななはプロを目指しています。
中学卒業後についてはまだ決まっていないようですが、選手のななを追い続けたいと思っています。

女子相撲をもっと多くの人に知ってもらいたいというテーマで撮影は始まりましたが、社会的に女性に対するあるべき姿ということに対して挑戦している(相撲に適した体型を維持している)、コロナがあっても自分の夢に向かって頑張っているななの姿から、この展示を見た方には、自分の分野で頑張り続けてほしいというメッセージも入っています。

4年前から追ってきて、女子相撲の状況は遅いですが少しずつ変わってきていると感じています。テレビでも見るようになったし、ななも出演したこともあります。今ではネット検索するとそれなりに情報が出てくるようになりました。
私から見ると、土俵で戦うことは一緒だけど、大相撲は伝統的な要素が多く、極端ですがスポーツというよりはパフォーマンスのような部分もあると思います。女子相撲は完全にスポーツなので、別々で存在できるのではないかと思います。

ステートメントには、なな選手の現在の手形をプリントした。

 

ユーリア・スコーゴレワ
東京を拠点に活動するアーティスト写真家。
モスクワ大学で日本学を専攻しながら、舞踏家の通訳を務める。舞踏のユニークな芸術形態に魅了されたことが、芸術的なビジョンをベースに写真家としてのキャリアをスタートさせるきっかけとなった。2011年に来日し、その後日本写真芸術専門学校を卒業。
セバスチャン・サルガド氏、アルバート・ワトソン氏、世界的に有名なダンス写真家イサベル・ムニョス氏など、著名なアーティストのもとで写真を学ぶ。
写真家のキャリアを通じて、身体の動きやボディランゲージへの興味は変わらないが、現在は親密さ、関係性、逆境に立ち向かう精神など内面的な表現に焦点を当てている。
また、膨大なリサーチを伴うコンセプチュアルな表現手法により、新しい形の視覚的な物語を探求することを好み、異なる分野のアーティストとの創造的なコラボレーションを進めている。

 


 

いくら実績を積んでもぶつかってしまう壁が相撲の世界にはあることを知りました。
大相撲における女人禁制という伝統が背景にあることが、日本で女子相撲がアマチュア止まりの要因の一つなのではないかと思います。

そのような状況でも、あきらめずプロを目指し頑張る選手の姿を写真を通してたくさんの方に知ってもらい、阿部なな選手はじめ本格的に相撲に取り組む女性の未来が少しでも明るくなることを願ってやみません。

写真・PicoN!編集部 奥
文・PicoN!編集部 三浦

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