描く力で夢の後押しを。夏夢詣と限定御朱印に込められた想い。

東京の下町「入谷」に鎮座する小野照崎神社。緑が溢れ、澄んだ空気に静かな雰囲気、まるで非日常空間に入り込んだようでした。芸術芸能の神様である小野篁公(おの たかむら)を御祭神としている神社です。小野照崎神社の権禰宜 小野亮貴さんにお話を伺いました。

御朱印の存在とは

神社にお参りいただいたになります。神社としての正式な証を通して、お帰りになった後も御朱印を開き想いを馳せていただいて、そしてそのときどういう気持ちだったかを思い出していただく。日常ではなかなかないことですよね。御朱印を通してお参りする機会でしたり、自分の心に想いをやる機会というのを増やしていただく一助になればと思っています。

日本には四季があり暦がございますから、四季折々、その月その月で違う花が咲いたり、色々な節句や行事がありますよね。月々のモチーフを設定して、それを御朱印に反映させる。12ヶ月の季節感と日本の祭事を感じていただきたいと、イラスト入りのものを作るようになりました。それに合わせて、背景となる行事を知識としても知っていただきたいという想いからリーフレットをご用意しています。御朱印リーフレット体験知識ですね。その両面をデザインを通して繋いでいただけたらな、と毎月の「月参り」を推奨しています。

御朱印のデザインチーム/イラストレーターとの出会い

御朱印のデザインチームは、私、イラストレーター、デザイナー、ライター、書家の5人です。毎月集まって、コンセプトや構図を決める作戦会議をしています。デザインチームができるまでは、月替わりの御朱印ではなかったです。4年前にこの構想を得て、少しずつ仲間を増やしていったという感じです。初期の御朱印は私とイラストレーターの方だけで考えたものです。

今まではデザインと文字をベースに、どういう形で良さを引き出していくか、みたいなことを考えて作っていました。今年からは、書家の方に入っていただいて、そもそもの文字の力を大事に、文字をメインに据えた御朱印を制作しています。毎月難しいんですよ。お正月だったら勢いのあるめでたい字とか、桃の節句だったら女の子ですよね、桜の時期も女性的な文字にしたり、お神輿なら堅い真っ当な字を書いたりしています。

御朱印のこだわりについて

今まで色々なことをやってきたので、デザイン要素的にやりつくした感があります。カラーやグラデーションを入れてみたり、拍の種類を変えたり。令和に変わるときには、即位の令と大嘗祭という行事が続き、それを4枚つづりのデザインにしました。

行事をみなさんに知っていただく機会ということもそうですし、その記念に神社からなにかできないかと考え、御朱印を作りました。七夕の御朱印は蓄光を使っていて、暗くなると光るんです。

最近は特に文字にこだわりを持って制作していて、その月の色味も含めて象徴的なものを選んでいます。

イラストレーターが夢を描く「夢詣」ができたきっかけ

まず神社とアーティストの方が、何か一緒にできないかというのが基本にあります。御祭神が芸術芸能の神様なので、日々アンテナの高い方々に多く来ていただいています。アーティストの方々と関わることで、たくさんの方に来ていただく、みんなで神社を盛り上げていくというのが一番いい形ですよね。

当日のイラストレーターは、普段グラフィックレコーディングという形で活動している方々です。お参りに来られた方の想いを聞き、その方の似顔絵を含め実際に願いが叶った図を絵にする。それをお正月なら絵馬に、夏だったら短冊にしたためて、お渡しするというようなイベントですね。しっかり話を聞いてあげないといけないですし、抽象的な夢を形にするのが難しいところだと思いますが、それに慣れている方々です。その方々と親交があったので、一緒に何かできないかと、神社でやるならどういう形がいいかを考え夢詣を始めました。想いを聞いて、見えないものを見えるようにする。これは神社の基本なんです。みんなでご奉仕をして、感謝を形にするのが神社にとって大事なことです。しかし、形にすることは難しい部分でもあります。デザインやアートの力で前向きな形にアウトプットできるといいねというので、夢詣が生まれたということですね。

https://www.youtube.com/watch?v=1JJe3Hk64Fg

見えないもの形にすること

お参りをするときに心を静めて感謝や願い、決意を伝えたりしますけど、言葉にするのは難しいですよね。夢が実際に叶ったときのイメージも、自分だけではできないこともあります。それをイラストレーターを介して、自分の中の見えないものを見えるようにしてもらう。そうすることでご神前でお参りをする際もより具体的なイメージが思い浮かび、前向きな気持ちでお参りいただけるようになると思います。また、夢詣は、そういうことなんだよと伝える活動の一つでもあります。夢詣において、自分の心を見つめてもらう、見つめる時間を作っていただきたいというのを、ご参拝の形以外で神社が伝えるという大きな意味を持っていますね。

最後に

クリエイターやアーティストと神社の共通項があるとすれば、見えないものを見えるようにするというのは大きいかもしれないですね。人と人、人と自然、人と神様、この3つのご奉仕をするのが神社の役割になります。神社で言うと、みなさんの目には見えない感謝の心を含めた色々な想いを、お祭りなどに置き換えて神様にお伝えをしたり。

そういった見えないものを見えるようにする力をクリエイターの方々は大いにお持ちだと思います。うちは芸術芸能の神様というのもございますから、こういった活動の中で、デザインを通じてどうしたら人の心に寄り添えるのかをお伝えできればいいなと思います。よろしければ是非一度お参りに来てください。

2022年7月の御朱印

https://twitter.com/onoterupr/status/1542128485602320384

 

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夢詣には神様に想いを伝えることと、見えないもの形にしてもらいたいという想いが込められているのですね。2022年の夏夢詣は、7/2(土)、7/3(日)の10:00~15:00に開催されるとのこと。心の中にある夢を短冊にして、成就を願いましょう。詳しくは小野照崎神社のホームページやSNSをご確認ください。

みなさまの想いや夢が叶いますように。

PicoN!編集部 木下

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