みてください、わたしの地元/#04

遠い地方から上京してきた方でも故郷を大切に、初心を忘れずにいてほしい。

自分が生まれ育った「地元」だからこそ分かる魅力や今まで見てきた風景。

それらを作品を通して伝えていきます。今回は、日本写真芸術専門学校(NPI)在学生2人の地元です。

神奈川県出身 鈴木颯馬

自分の思い浮かべる相模原と言えば、自然と都市部の共存と古き場所が残る少しユーモアのある街だと思っています。

相模原市役所前の桜並木は、全長1.6キロにも及ぶ大通りの並木で、春には「桜まつり」が行われるなど市内でも1位を争う程のメインストリートです。近くに祖母の家があったことで幼い頃から毎週のように通っていたすが、ここ数年新型コロナウイルスの影響もあり、祭りが開催されずに行くことも無くなってしまいました。
今年は数年ぶりに開催されたのですが、雨が降ってしまい、いつもとは違う景色を見ることに。だからこそ、また来年が楽しみだと思っています。自分の中での相模原と言えばここ!と言える場所です。

合併でできた政令指定都市

相模原市は町村が合併を繰り返してできた3つの区からなる政令市で、西は山、東は都市部といった魅力的な構成からなる都市となっています。中央には今ではシャッター街になってしまった古い商店街「西門」が存在し、芸術家・岡本太郎さんがデザインした「呼ぶ赤い手・青い手」が設置されています。ノスタルジックな雰囲気を感じることの出来る西門は、ある意味面白い写真が撮れるのではないでしょうか。僕からすると、昔は開いていた店が閉まり衰退してしまった雰囲気に少し悲しさを感じる場所でもあります。

思い出の川

幼いころから夏はバーベキュー、川遊び、花火、その他色々と、地元を流れる大きな川「相模川」の河原で楽しんできました。そんな川を大人になった今1人で歩いてみると、様々な光景を見ることができ、なぜこうなったのかと考えながら歩くことができます。自然と共存しているところをしっかりと見ることが出来る津久井湖の湖畔では、ツーリングをする人、ドライブをする人、ハイキングを楽しむ家族など、様々な人が集まる公園があります。何があるかと言われれば特に何もないのですが、それがまた落ち着くわけです。自分自身父に昔連れてきてもらったりしていたこともありますし。

変わりゆく相模原

現在、橋本駅にはリニア中央新幹線が停車する予定となっていて工事が進められています。駅前にあった高校も移動してしまいました。見慣れた光景はどんどん消えてしまっているのが悲しくもあり、都市化する街にさらなる発展を思い浮かべ高揚する気持ちもあります。そんな工事の影響は川沿いにも影響が出ています。何も無かった川の近くでも、トンネルを掘るための重機がいたり。無事に完成すればいいな。純水都市さがみはら。

 

写真科Ⅰ部2年 鈴木颯馬

埼玉県出身 川本航大

私の地元は、埼玉県の川越市です。観光地も多くあり、関東の方に住んでいれば大体の人が聞いた事があると思います。そんな観光名所の多い川越市。観光地の駅前やその付近は、東京程の高さはないですが建物も多いです。

しかし、人の多い駅から数駅移動したり、駅から少し離れたりするだけで、街の表情が変わっていきます。どっちが良い悪いという訳ではないですが、都心部はどこに行っても高い建物だらけで、そこが大きな違いだと思います。

お気に入りの場所

私の住んでいる場所は、観光地から近くも遠くもない微妙な場所です。その中でお気に入りの場所がここです。そう。ただの田んぼです。家から自転車で数分。

観光地からは離れても、工場とかを含め地味に建物が多く、近場で開けた景色を見られるのがここなのです。特に5月と6月は水田を見られます。空が水に反射されて写る美しい景色が、特にお気に入りです。

同じ風景はない

上の写真は、別日に撮影した物ですが、田植えがされているかいないかだけでも見え方は変わります。場所は同じでも、見える表情は時期や時間よって変わるので、いつまでも飽きないです。

元々、風景写真が好きで、変わった雲の形や綺麗な夕陽などを見ると撮影せずにはいられません。どうやってここを見つけたのかは覚えていませんが、この場所を知ってからは、夕陽が綺麗!とか雲の形面白い!と思ったら、大体ここに行きます。

こんな出会いも

この日は、カモに遭遇しました。カモにもたくさんの種類があるみたいですが、このカモはおそらくカルガモでした。おそらくです。

餌を探しているのか、悠々と泳いでは、水の中に顔を入れては何かを食べていました。また、逆光ということもあり、シルエットがとても可愛らしく見えました。

いつかはなくなると思って

ここから少し移動すればすぐに交通量の多い道路に出ますが、この空間はとても長閑で心が落ち着く場所です。しかし近年、お米の需要や農家の減少に伴い、田んぼも減ってきていると聞きます。もしかしたらこの景色も、見られなくなる日が来るかもしれません。当たり前だと思っている地元や馴染みのある場所の景色も、数年後にも見られる保証はどこにもないです。だから私は良い景色だからという意味だけでなく、記録としての写真も撮り続けていきます。

写真科Ⅰ部2年 川本航大

 


 

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